第二十七話 ミミック
ミミックに能力を発動させた。光に包まれ輝いているので、手応え有りだ。あとは人間になるまでの数分を待つだけだ。
俺がミミックをパートナーにする為に触れたと分かって、他の仲間も落ち着いている。ライムが連れてきたスライムが、リルの巣を清掃というか食事してるが、元々それほど汚れてないように思える。
「かなり綺麗よ。ゴブリンの巣なんて、残飯が腐ってたり、排泄物が転がってたり、とても鼻で呼吸できないですよ」
とミリーシャ。
ゴブリン討伐で不快な経験をした事があるようだ。オルソンが不意にニヤリと笑った。
「思い出した。それ、ゴブリン討伐で、ミリーシャが臭いに耐えられずにゲロ吐いたんだよな。エリックが世話したのが馴れ初めっていう、ぐっふぉおあッ!?」
ミリーシャの強烈な肘打ちがオルソンの脇の下に入った。あのあたりは、ちょうど鎧が覆ってない場所じゃないかな。
「余計なことは言わなくていいの」
「ふ、ふぁい」
そんな会話をしてると、ミミックだったであろう美少女が立っていた。濃い茶色の髪を三つ編みにしてサイドに流してる感じだ。
顔はタレ目で大人しそうな顔立ちだ。スタイルは良い。胸や尻が大きいのは、俺の願望なんだろうか?
いや、ライムはそこまで大きくないよな。触った事ないから、意外と「私、脱いだら凄いんです」みたいな事もあるか?
密かに驚いたのは、大きな革製に見えるデカイ鞄を持ってる事だ。元の世界で見たヤク◯トのお姉さんが持ってるやつ。
あれがもう少し大きくて革製だったら、こうなるみたいな。
ミミックはキョロキョロと周りを見て、そして俺を見つけた。でかい鞄を持ってるせいか、歩き方が可愛い。
「あの、あたし人間になってますね」
「そうだな、それは俺がやった。俺と一緒に旅をしないか?」
「はい! お願いします!」
背はリルと同じくらい、少し大きいか。
小さいせいか、何となく子供扱いして頭を撫でてしまうが、フニャッと笑顔になるところを見ると不愉快に感じてはいないようだ。
つーか、俺が触って嫌がるのはユーリだけなんだけどな。仕方ないか、元ユニコーンだし。
ミミックは他のパーティーメンバーに挨拶してまわってる。しっかりした子で嬉しい。
サァベルと挨拶後、なんか話してる。ロングソードを受け取ると鞄に入れた。あれ、ロングソードは鞄に長くて入らないよね。
ミミックの能力を見た。
・異次元収納
・状態保存
・異次元倉庫
・クリティカル攻撃
異次元収納は、元の世界の国民的猫型ロボットの四次元ポケットと同じだろう。あの鞄がポケットだな。状態保存は入れた時の状態を維持するんだろう。
異次元倉庫は鞄に入らない大きな物を収納する能力のようで、生物も入れるようだ。中に入ったら三十畳くらいの広さがあった。
「今は何も無いけど、倉庫いっぱいに宝を入れたいの」
と、ミミックは宝箱らしい抱負を語った。
クリティカル攻撃に関しては言うまでもない。
さて、名前をどうするか。
今までの命名パターンからすると、ミミ・ミミックになるんだけど、ミが四個は言いにくい。
ミク・ミミック、ミック・ミミック、ミッキー・ミミック。
よし、ミッキー・ミミックにしよう。
ミミックを手招きすると、とてとて歩いてきた。可愛いのでギュッと抱きしめる。ふわふわして可愛い。
冒険者をクリティカルな攻撃で倒すモンスターだったとは思えないな。
「なにか、あたしに御用ですか?」
「お前に人間としての名前をつけようと思うんだ。ミッキー・ミミック。これからは、そう名乗るんだよ」
「あたしは、ミッキー・ミミック。分かりました」
と笑顔を浮かべた。
笑顔が可愛いなぁと思っていたら、背中をつつかれた。振り返るとライム、サァベル、リルが並んでいる。
ユニコーンは離れた場所に立っていて、つまらなそうに、こちらを見てた。
「どう、したの?」
「私達も撫でて欲しい」
「ギュッとハグしても構いませんわよ」
「撫でて、ギュッとして」
言われた通り、ハグして頭を撫でながら、感謝の気持ちを伝えておこう。コミュニケーションが不足すると、気持ちが離れるかもしれないからね。
さぁ、これで草原でやる事は全部終わったぞ。
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