硝煙と紫煙
ドォオオオン―――!、ズドォォン―――!
地鳴りのような爆裂音が都市の中央部から鳴り響いている。
街はガレキの山、かつての中央都市「ミスリル」は跡形もない_____。
くそったれ!鼓膜がやられたみたいだ、、。
ひび割れたコンクリート防護壁を背に無数の7.62mm弾が踊るように飛んでくる。
大尉―!無事ですか!すぐに、応急処置を行いますから!
問題ない__少尉、部隊を集結させ防衛線まで後退するんだ!いいな!
俺はココで野蛮人共を食い止めてみせる___!
ここは中央都市ミスリル...貿易を生業とし、発展した西洋の都市である。
しかし、現在は周辺諸国の小国が我が国土に土足で踏みあがり、蹂躙しようとしている。
そう、彼らは欲しいのだ、我が国が開発した「国土防衛システム」を!
ハ――ァ こんなことになるなら、一度でいいから女を抱いてみたかったなぁ。
こっそりと、裏ポケットからZippoを取出し、口にくわえたタバコに火を点ける。
俺は24才、独身かつ童貞。ミスリル陸軍特殊部隊 「Zeft」の隊員である。
部隊員は俺のことをアレクと呼ぶ。
宿舎に持ち込み禁止の粗品を持ち込んだばかりに、上官の怒りを買い、今に至るわけだが。
―――大尉!!職務中のタバコは軍法会議ものですよ―!私も巻き込まれるんだから!
ん―、なんだって?聞こえないよ~。
だ・か・ら タバコ!やめてください!ま―た、大佐に怒られたいんですか?
分かったよ。だから早く防衛線に向かうんだ!
...大尉も気をつけて、防衛線で待ってますからね!
軽やかにお尻をこちらに向け彼女は去っていく――。
ったく、タバコの一本くらい吸わせろよ。
黙っていればいい女なのに...。
何故か口角が上がっている自分にふと気がつき、俺はそっと呟いた。
さーて戦おうか。野蛮人諸君。
―――――次回「伝説になりたかった男」