第4話「魔法について考察してみました」
それから、俺は起きている時間の大半を魔法の練習に費やした。
この世界には娯楽がほとんどない。
幼い体でやれることもなく、魔法を扱うことが唯一の暇つぶしだった。
そのおかげで、随分と魔法の扱いがうまくなった。
最初は小さな水球を一つ出すので精一杯だった。
今では、顔ぐらい大きい水球を10個以上出せる。
当たり前の話だが、水球の大きさに比例して魔力の消耗は大きい。
毎日魔法を使ってきたおかげか、それともの成長したおかげかはわからないが、確かに魔力量は増加している。
ちなみに魔法は出すよりも消す方が難しい。
これはどういうことかというと、一度、水球を出したら、それを消すのはとても大変だということだ。
できないことはないが、水球を消すときには緻密な魔法制御が必要になる。
だから、俺は水球を出す度に、そのままこぼしていた。
すると、「水遊びするなら庭でしなさい」と怒られた。
ていうか、母さん俺が魔法の練習してることに気づいてるよな。
水魔法が水遊びか。
この世界では魔法はそんなに特別なものではないのかもしれない。
ちぇっ。
魔法使えるのが100人に1人とかだったら、俺は天才だったのに。
2歳児が魔法使ってるんだから、もう少し驚ろかれると思った。
とりわけ、天才だとチヤホヤして欲しいわけじゃないから、構わないが。
それよりも「この子、恐ろしい」と思われないだけマシだ。
転生者だから気味悪がられる可能性も考慮したが、今のところ可愛がってもらえている。
そんなわけで、俺は伸び伸びと水魔法を使う事ができている。
最近はまっているのは、水球を出現させ、それをゆっくりと変形させることだ。
球状の水球から直方体や、棒状に変えていく。
今の段階では、単純な形でないと完成する前に集中力が切れ、形が崩れてしまう。
水龍を作るまでの道のりは険しいようだ。
なぜ、水龍を作りたいかと言えば、そこにロマンがあるからだ。
我が右手に宿りし龍よ。敵を殲滅せよ、と言って水龍を出現させたい。
ただし、龍の形を作るには緻密な魔力制御が求められる。
ちなみに、自然の水だと操作が段違いに難しい。
魔法で生み出した水は、自分の魔力が含まれるためだと考えている。
それと、自分で生み出した水でもしばらく放置すると、操作しにくくなる。
魔法は便利だが、制限もあるみたいだ。
今のところ、魔法を極めるつもりはないため、そこまで気にしてないがな。
多少、他の人より魔法が使える、という意識の低い目標に向けてコツコツやっていこう。