ここはどこ…?
真っ白な空間、身体の浮遊感。気持ちが良い。
いったいここはどこなんだと考える事もなく僕は必然的にこの状況を受け入れているみたいだった。
「君は死んだんだ」
どこからともなくそんな声が聞こえてきた。
「死んだ?僕が?」
そんなはずはない僕はさっきまでベッドの上で皆に見られながら…見られながら??
「そう、君は死んだんだ。言っただろ?」
「っていうか君は誰なんだ隠れてないで出てくれば良いじゃないか」
言った瞬間眩い光が辺りを包んだ。
「やあ、言われた通り出てきてあげたよ」
「よ、よう…せい…?」
それは10センチにも満たない小さな生き物だった。妖精と呼ぶにふさわしい小さな身体と背中に生えたキラキラ光る羽。
「妖精?あー人間界の物語ではそんな風に呼ばれているんだったね」
理解が追い付かない。なぜ今僕はこんな白い空間にいるのか、目の前に妖精がいるのかも。
「私の名前はスリン。スーとでも呼んで」
「スリン、僕の名前はカイト」
理解の追い付かない頭でなんとか自分の事を名乗った。
「知ってるよ?全部知ってるよ?」
その妖精は当然のような顔をしてそう僕に言ってきた。
「全部…知ってる?どういう事だ僕は君の事なんか見たことない」
「そりゃあね、私が人間の目に見えるわけないし、うーん、つまりそゆこと」
スーはめんどくさそうにそう呟いた。
「カイト、君は記憶をそのまま生まれ変わりたいなんて思ったことはない?過去の失敗をやり直したいと思った事はない?」
そんなことを突然言われた。僕の頭の理解はまだ追いついていない。
「何言ってるんだ?みたいな顔してるね、でも言葉の通りなんだ、どう?やり直してみない?」
そりゃあ僕はたくさんの失敗をしてきた。僕が昔プレイしていたゲームに「強くてニューゲーム」機能があったのを思い出し、そんな機能がリアルの人生であったら…なんて何度思った事か。でも、それは想像の話。そんな事出来ないのがわかってるから今までの人生を受け入れて生きてきたつもりだ。でもそんな想像を今目の前にいる生き物は当然出来るかのように、当たり前のように聞いてくる。
これがゲームなら間違いなく「はい」を選択している事だろう。
「迷ってるね?じゃあ今から説明したげる」
スーは小さい身体でそう言った。
こんにちはブレスです。
読んでいただきありがとうございます。
初投稿ですので至らない点が多々ありますが温かい目でこれから見守っていただけたらと思います。これからも「強くてニューゲームは果たして幸せなのか」をどうぞよろしくお願いします。