個人的な記念SS〜その2〜(※本編とは関係ありません)
「『ご〜ぉ、ろ〜く、な〜な、は〜ち…』」
俺とティアは1日の疲れを洗い流すため風呂にやって来ており、今は湯船に浸かって一緒に数を数えている。
ティアは胡座をかいた俺の上に背中を預けるようにして座ってニコニコしている。
「じゅ〜いち、じゅ〜に、じゅ〜さん…」
俺たちが順番に数を数えていっていると、途中からティアが顎を上げて黙って俺を見上げていた。
俺は「なんだろう?」と思い、数えるのを止めて上下反対同士の目で見つめ合っていると
「…セイ?」
ティアが風呂の熱気で頬を上気させた顔で尋ねてきた。
「ん、なんだぁ?」
「…ピ〜ブイってなに?」
「えぇ!?どうしたんだ急に?」
「…だってセイが嬉しそうにしてるから」
ティアの言葉に俺は自分の顔をペタペタ触ってみた。
…知らず知らずニヤニヤしていたようだ。
俺は出来る限り顔を引き締めティアに答えてあげる。
「PVってのはなぁ…。
まぁ、簡単に言うと誰かが俺たちを見た回数ってことかなぁ〜」
俺もよくわかっていなかったので、なんとなくの自分の考えを説明した。
「…ふ〜ん」
ティアは180度クルリと回って姿勢を変えると、分かったような分かってないような顔をして俺を見上げてきた。
「…ピ〜ブイ、セイは嬉しいの?」
「いやいやいや、別に嬉しくなんてないよ?
“俺たちを見た”って言っても、どうせチラ見な訳だしな!?
なんだったら、俺のズボンのチャックが開いている時の方が注目度が高いくらいだぞ!?」
俺は世の中に対して、まだ比較的オープンだった若かりし頃を思い出しながら答えてあげる。
「…じゃ、嬉しくないんだ?」
俺は純真な瞳で聞いてくるティアにたじろぐ。
「い、いや…嬉しくなくは…ないよ?」
まさかティアがチャックのことを聞いてるわけがないので、正直な気持ちを言ってみる。
するとティアは俺の背中に腕を回して、ギュッと抱きしめてきた。
「な、何してんの?」
「…ティアはね」
「うん?」
「…ティアはずっと見てるの」
なんだかすごく照れ臭くなった俺は
「ありがとう」
と言って、ティアの頭を優しく撫でた。
口には出さなかったけれど、俺だってティアを見ている。
それも、誰よりも近い特等席でだ…
なんだかんだでPVが1万になりました!!
これも、重箱の隅をつつくようにして私の作品を見つけてくれた読者さんのお陰です。
これ以上つつかれても何にも出せませんが、少しでも時間を潰せたと言って貰えると嬉しく思います。
この場を借りてもう一度「ありがとうございました」。




