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第20話 冒険者ギルド

第19話の一部修正しました。内容に変更はありません 2018年 07月02日

オールマイティーにこなせる職→細々と幅広くこなせる職

俺は緊張しながらギルドに入った。

ギルドは3階建のようだが、1階は正面に大きな掲示板があり、紙が何枚も貼られている。

おそらく依頼書があるのだろう。


入って左側はラウンジのようになっており、冒険者が何人もいる。

ただ座っていたり、情報交換なのか真剣に話し合ったりしていた。

その奥には隣の店と直接繋がっているようで飲食している人たちが見えた。


右側は受付カウンターで綺麗なお姉さんが数人座って冒険者の対応をしている。

カウンターの奥にはデスクが並べられており、そこにも仕事をしている人が数人いた。



俺は空いている受付カウンターのひとつに近づき


「すみません、冒険者に登録したいんですけど」と話しかけた。


俺の対応をしてくれたのはオレンジ髪を肩まで伸ばした受付のお姉さんで、人懐っこそうな愛想のよい笑顔で記入用紙を出してくれた。



俺は用紙を受け取り、さっそく記入していこうとしたが、いきなり躓いてしまった。


「名前か〜、名前どうしようかな?」


異世界なんだから本名をそのまま書かないでもいい気がする。

それに、そのまま書いて珍しい名前だったりすると逆に目立ってしまいそうだ。

俺はチラッとティアを見て決心した。


「名前はセイにするか。なんか慣れちゃったし」


次は…職か。

俺、いま無職なんだけど…

いや、それともゲームの(ジョブ)を書けばいいのか?

どっちだ!?


俺は悩んだ末、魔法戦士と書いた。

でも間違ってたらかなり恥ずかしい…

だってパスポートを作りに行って職業欄に魔法戦士って書いてるようなもんだからね。

そんなの書いたらどの国にも入れねーよ!

あ、でもそう考えると、俺、魔法使いじゃなくてよかった〜。


その後も多少苦労したが、なんとか記入欄を全て埋めて、少しヒヤヒヤしながら用紙をお姉さんに渡す。


少し行き違いはあったものの、名前も職も問題なく受け入れられたので、俺はホッと胸をなでおろした。


記入した内容を確認した後、お姉さんは優しくギルドの利用法を説明してくれた。


それによると、冒険者にはランクがあり、S〜Eランクまで設定されている。

登録後はEランクからだが、実績や紹介状があれば試験を受けられ、合格すればCランクから始められるらしい。

俺は当然Eからだ…。


ランク昇格するには依頼毎に設定されているRP(ランクポイント)を一定数獲得し、試験や審査を受けないといけないみたいだ。


そして依頼にはランク設定されており、自分のランク以下の依頼しか受けられないそうだ。

ただし自分のランクより低いランクの依頼を受けた場合、獲得できるRPが減少すことがあるとのことだった。


お姉さんは他にも細かい決まりがいろいろあるので、分からないことがあれば聞いてくださいと笑顔で言ってくれた。




登録と説明が無事に終わり、冒険者カードを受け取って受付カウンターから離れた。

俺は新しい玩具(おもちゃ)を手に入れた子供のように、受け取ったばかりの冒険者カードを眺めると


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ID:※※※:※※※:※※※

名前:セイ sex:M

Rank:E

職: 雑用

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あれ…?

なんか変じゃない?

職が〈雑用〉ってどういうこと!?

俺、魔法戦士って言ったよね?

どういうことだろ?


俺は振り返って、そっとお姉さんを見てみる。

お姉さんはさっきと変わらず人懐っこそうな笑みを浮かべている。

しかし何故か今、その完璧な笑顔に何か薄ら寒いものを感じ、俺は唾を飲み込んだ。


謎の圧力を放つお姉さんから急いで目を逸らし、カウンターから離れると、俺はそそくさとギルドを出た。


ギルドを出た頃には空が赤く染まる夕暮れ時だった。

そろそろお腹も空いてきていたが、街中で野宿するわけにもいかないので宿を探さないといけない。

なので、先に宿を確保してから食事をしようと決めて歩き出す。


あ、ギルドで聞いとけばよかったな〜。

でも、今日はもうあの怖いお姉さんに会いたくないし…。


俺は宿屋を探してキョロキョロしながら歩く。

高級そうな宿はすぐに見つけられるのだが、俺たちが泊まれそうな、いい感じでシケタ店がなかなか見つけられない。

そういうチンケな店は裏通りにあるのかもしれないと思い、チラチラ覗いてみるが、不慣れな街の裏通りに入る勇気がなかなか出ない。


そうこうしているうちにティアがお腹をすかせたような顔をしだした。

焦る俺は不注意になってしまい、またも人にぶつかってしまった。


「す、すみません」


俺は可愛らしい悲鳴をあげさせてしまった人に頭を下げて謝罪した。

そして俺は頭を上げて…そして見上げる…。


そこには…筋肉の塊のような…変態がいた…。

俺はまたしても化け物に遭遇してしまった。

俺は蛇に睨まれた、両手両足を縛られて味付けされたカエルのようになる。


そんな俺に構わず、俺に気付いた化け物は話しかけてくる。


「あら〜、あなたさっきもわたしにぶつかってきた子よね〜?

なに〜?もしかしてわたしに気があるのかしらん♡」


俺はぶるぶると一生懸命首を振る。

イメージとしてはバイブレーションだ。


「あら、残念♡

でも気が変わったら教えてね☆

わたしはいつでもウェルカムだ・か・ら♪」


俺はぶるぶると一生懸命首を振る。

速すぎて、もはや停止して見えるレベルだ。


化け物はウフフ♡と笑って去って行った。

去り際のウィンクはとても綺麗だったが、全体的に見るととてもグロかった。


その後、これ以上怖いものはこの世にない!という気持ちになることができた俺は、何人もの人に話しかけ、宿を教えてもらい、裏通りをズンズン進み、オススメされた一軒の宿に辿り着くことが出来た。


その宿は俺の希望通り、いい感じでシケタ、程よくチンケな店だった。

俺は満足しながら店に入ると



…ここにもあの化け物がいた。

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