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静電気は最強に憧れる  作者: ウエハル
開会
7/49

ソフィスティケイテッド・レディ その1




『今ッ!下克上の敗者復活戦がッ!!』


「敗者復活戦ヲ開始シマス」


『始まったァァアーーッ!!』


機械音声で始まった敗者復活戦。これに必ず勝たなければいけない。だが、この中で一番不利なのは俺なのに間違いはないだろう。

一回戦一戦目の敗者アルフレッド・コールマンは一度も能力を使わずに終わった。これだけならいいが、敗者復活戦の存在を知らされてなかったから他の敗者の2人、そしてあの飛び入り参加のやつの能力ももちろん知らない。全員の能力を知らないとは、つくづく運が悪い。

「ネックレスを奪い合う…どれだけ気配を消して忍び寄るかにかかってるな…」

足を踏みしめ、なるべく沿岸部の岩場を歩く。開けた場所ではあるが、見渡しやすいのに変わりはない。

「さすがにいないな…」

首を回転させ、周りを見渡す。人影はおろか生物の気配すら全くしない。それほど崖になっているわけでもなく、最悪海に飛び込んでも余裕で生還できそうではある。

たまに首もとのネックレスを確認しながらゆっくりと歩いていく。



「おいお前!速く逃げろォッ!!」

誰かの声が聞こえる。野太い濁声っぽい感じ、声の聞こえる方向を振り向くと、森の中なかの声だった。

「俺が追われているうちに!速く!」

森の中から葉や木の実を体につけたままウサイン・ボルトのように腕と脚を高く大きく上げ走り寄ってくる男。それは開会前に廊下であったあのハリウッドスターみたいな黒人の男であった。

「お、おい!止まれ!止まれと言っているんだッ!」

人の制止を聞かずにその男は目を瞑ったまま俺に向かってくる。すると目の前で見事に右を軸足に回転し、背中を向けてくる。

「お前!秋雄とか言ったな!共闘しないか!?」

背中を向けたまま言ってくる。今すぐにガス缶で燃やしてやりたいところだ。

「誰が追ってきている?」

森の奥を見ても誰かが近づいてくる様子はない。


「あの飛び入り参加の男だ…あいつはここには見合わない能力だ…!ここは俺が引きつける!お前は後ろから狙ってくれ!」

見た目がハリウッドスターなら台詞や仕草もハリウッドスターってか。拳を構え、男は森の奥を見つめる。


「悪魔だ…良い面構えてあの能力はちょっとばかしキツいぜ…」

いつまでたっても誰もこない。背中を向けているということは俺を信頼してくれているということだろうか。廊下で会っただけなのに案外良い奴だ。

「お前…俺のことを信用できるか?」

薄っぺらいきれい事でも案外胸に来る。

「ま、まあ。良い奴だとは思うよ」

不思議な質問になんとなくで答える。心の底から思ったことではないが、ちょっとは思ったことだ。



「ん…?」

何か胸の中なか熱くこみ上げてくる何かがある。感情ではなく、体が波打つみたいにグニャグニャになった感じで、言い表せない不思議な感覚に陥る。


「案外早かったな…ネックレスは私のもんだ」


「くぉっ…うっ…」

顔が細くなったり、胸が大きくなった感じが大きくなってくる。何かヤバい、これがこの男の能力…?

「(体に違和感のようなものを植えつける能力…か?)」

股間の辺りがムズムズするし、肩が重い。ふと、視線を下に向ける。 

そこには無駄に大きな乳と、細く長い手足が見えた。


「なッ!!何ッ!体が…女になってる?!!」

そこには、あの秋雄とは思えないほどのダイナマイトバディの美少女がいた。驚きを隠せず、体のあちこちを触る。

「これは現実だ…俺は女になった!?」

唖然とし、男を見つめる。



「私の名前は「オドゥオール・キバキ」45歳ッ!私の能力『ソフィスティケイテッド・レディ』は!私のことを嘘でもクールだとか親切とか思った人間の性別を入れ替える能力だッ!!」


「ネックレスは頂いていくぞォッ!!」





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