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静電気は最強に憧れる  作者: ウエハル
閉会後の決戦
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イマジン・ドラゴンズ その6




「フフフヒヒヒヒハハハハハハハ!!!」

気味悪く笑い続ける花岡を2人は警戒する。

窒素中毒とはいえ、いつぶっ倒れてくれるかもわからない。症状も窒素酔いと言われるほど微妙なモノだし、判断力の低下した花岡がなにをしてくるかも予測不可能だ。

「行くぞ、アクア」

ストライカードが先に走りだした。

「うん」

続くように咲妃も走る。

ストライカードに人を完全に殺すことの抵抗が生まれているこの状況。花岡を抹殺すべきなのは自分自身だ。


ストライカードは花岡の目の前にくると体を少し屈めた。花岡はそんなことに見向きもせずに笑っている。

拳を強く握る。

すると突然ストライカードが物凄いスピードで飛び上がった。

圧縮空気を利用し加速したのだ。


「アガァッ!!!」

拳は顎に綺麗に命中し、強烈なアッパーによって花岡も一緒に飛び上がった。


2人が飛び上がると、ストライカードの口からあの木の実が落ちた。

いつもの冷静な表情で花岡を視界の端で睨む。

「重力は逆転する…」

体を回転させ、花岡にサマーソルトキックのような蹴りの一発を再び顎に喰らわせた。

花岡は後ろにのけ反り、弧を描いて地面に落下する。


下に待ち構えていたのは咲妃。

花岡はそのまま咲妃に向かって落ちていく。


「あんたは私を「通過」するッ!」

咲妃はほんの少し、縄跳びをするときのように軽くジャンプした。


花岡は咲妃の頭に近づくと、咲妃を「通過」した。

瞬間移動のように咲妃の真下に来ると、その下にあるのは闘技台。

咲妃と闘技台の間はほんの少しのため、必然的に花岡の体が入るほどの隙間はない。

隙間は無理矢理作るしかない。


ゴッ――という重い衝突音と共に花岡は闘技台にめり込んだ。


頭をさすりながら花岡は仰向けになる。

体中に傷口を作り、血を流しながらも空に向かって笑みを浮かべる。


「!」

ここにきてやっと花岡が『オン・トップ・オブ・ザ・ワールド』を咲妃に向けて放った。


咲妃は二の足を踏んだ。

『パーフェクト・ストレンジャー』は、すり抜けることで効果を発揮する『オン・トップ・オブ・ザ・ワールド』を「通過」させることができるのか。そもそもあの龍は実体なのだろうか、幽霊のような存在も通過させられるのか。

咲妃はこの状況で確信のないことをしようとは思わなかった。

一番生きる可能性の高い「逃走」を選んだ。


咲妃は後ろに向かって走り出す。時々方向を変えながらも龍からなんとか逃れた。

花岡の思惑通りだとも知らずに。


「まずは1人…」

急に冷静になったと思うと、咲妃の足元に視線を向けた。


ストライカードは気づいた。

闘技台には碁盤の目のようになっている溝がある。それはいくつもの石盤が綺麗に並べられて闘技台の表面を作っているために微かに出来る溝である。

今、咲妃の足元にはその溝が1つも無かった。

「アクアッ!!」

圧縮空気を使い瞬く間に加速する。

体に走る激痛を無視して、ストライカードは咲妃に向かった。


「我が『イマジン・ドラゴンズ』は無敵だァッ!!」


咲妃の足元を中心に闘技台の表面が円形に黒く変色した。

直径4mほどの黒い円は咲妃を迎えた。


それはストライカードが先程地下室から地上に出る際に空けた巨大な穴であり、それに蓋をするように覆っていたのは花岡の『ナイト・ヴィジョンズ』であった。

闘技台にカモフラージュした『ナイト・ヴィジョンズ』は咲妃を穴に落とした。

急に空いた大穴を回避することはできず、突然空に放り出されたように咲妃は落下していった。


いくら咲妃の能力でも触れる物体がなければ意味は無い。

ストライカードの『ダウン・アンダー』や花岡の『ウォーリアー』のような能力であれば助かるだろう。

しかしそのような能力もない状態で、この高さから落ちた咲妃は何を通過しても死ぬことは確実だろう。



深い闇へと咲妃は落下した。

ストライカードの悲嘆の声や花岡の嘲笑は穴には響かなかった。



くどい説明だったらすいません。

アクアっていうのは咲妃のことです。

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