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静電気は最強に憧れる  作者: ウエハル
閉会後の決戦
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イマジン・ドラゴンズ その2





耳を劈くほどの勢いで爆音が連続で鳴り響く。

その轟音は大会会場内にいた4人にも聞こえた。

「まさか、もう誰かが…!?」

秋雄は只管に音の聞こえる方向に走る。

しかしその音はどんどん移動し、いくら追っても遠ざかっていく。

「クソ!動きすぎだろ…!」




「何やったらこんなに爆発するんだよ!」

ロッシは加速を使い縦横無尽に細い廊下を懸命に駆ける。

すぐ後ろからは廊下を覆い尽くす爆風が迫ってくる。

「(加速は永遠には使えない…しかし奴にも近づけない…!)」

加速によって発生する急激な速度上昇で体に負担がかかるため、永久には使えない。

しかもロッシの体は加速によって既に内部から徐々に破壊されている。そう長くは動けない。

「はぁ…はぁっ」

ロッシは廊下の角を曲がる。



「確か…『ラ・クイエテ』と言ったか?お前の能力は。なかなか良い能力じゃあないか」

既に花岡がいた。あのワインレッドの色をした龍「オン・トップ・オブ・ザ・ワールド」のみを構えて。

「クソォッ!!」

爆風と花岡挟まれてしまった。

どちらへ行こうが危険なことに変わりはないが、強いて言うなら花岡へと向かうほうがまだ安全だろう。

しかし待ち構えてのは分身を痛みを伴わずに殺したあの能力。


「仕方ないッ!!」

決死の思いでロッシは花岡に向かって突っ込むと、もちろん龍が正面から向かってくる。



「ウォォオーーッ!!!!」

ロッシの雄叫びが聞こえた。

しかしそれは花岡に突っ込んでくる目の前にいたロッシからではなく、背後からだった。

「!?」

花岡は驚愕し後ろを振り向こうとすると、何か大きなものに体を押された。

「まさかこいつ分身かッ!!」

花岡の体を激しく押したものはロッシだ。ただ感情がないように真顔で、少し体が宙に浮かんでいる。

つまり花岡が監視室からここまでの間にロッシは本体から分身へとすり替わっていた。今までどこにいたかは分からないが、ついさっき背後から聞こえた雄叫びは本物のロッシ。ロッシが分身を本物に戻しているため花岡は押されているのだ。

今まで分身であるはずのロッシが爆風を逃れるため「加速」していたと思っていたのはずっと本体に吸い寄せられていただけだった。

花岡の体は本物のロッシに近づく。



グサッ――と花岡の胸に鋭い刃が突き刺さった。


「がッ…!!」

分身は本体の中に入り込むまで永遠に本体のいる方向に磁石のように引っ張られるため、深くナイフが突き刺さっていく。

秋雄と戦ったときは3人の分身に押されていたため、押し返すことができずに吹っ飛ばされたが、今回は1人のため余裕で押し返せる。


「お前が余裕げに突っ立っていたのはその龍のおかげ。つまりその龍が爆発から身を防いでくれる…」


爆発は襲ってこない、というよりは止まっている。時間が止められたように、爆風がピタッと「停止」していた。


「それよりも…もし…そのナイフが、我が「ナイト・ヴィジョンズ」の能力で創られたナイフだとしたらどうする…?」

ニターッと、花岡は笑った。

ロッシはすぐさまナイフに視線を向ける。刺さっているし、血も出ているが、花岡が悶える様子はない。

「お前を少々気に入った。私の部下になってみないか…?」

この状況にきてそんなことを言う余力がまだあったとは。

「ッ!」

ロッシは更に力強くナイフを喰い込ませる。


「ッ!!!」

花岡が血を勢いよく吐き出す。その血はロッシの右肩にかかった。

ロッシは花岡を睨む。

「まあ今までのはただのハッタリだ…」


花岡がそう言うとロッシの肩にかかった血液が沸騰したように泡を出しながら、一点に集まる。

ロッシの右肩、つまり顔のすぐ真横で血が形成した物体。

それはロッシの持っていたナイフと同じほどの大きさのナイフの刃であった。

「なッ!!」

すぐに避けようとするが、もう遅かった。




無慈悲な刃はロッシの脳天に突き刺さり、造作もなくグチャグチャに掻き回した。その光景を花岡は自分の功績を讃えるように微笑みながら見つめる。


血にカモフラージュした「ナイト・ヴィジョンズ」をずっと口の中に含み、それをロッシに吐きかけ、至近距離に近づくことで殺したのだ。

ロッシの頭からは多量の血が噴き出し、辺り一面が血の海になっている。



「これで…何人目だったか…」

花岡は胸の穴を「ナイト・ヴィジョンズ」で補修し、ロッシの死体を背に去っていった。



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