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静電気は最強に憧れる  作者: ウエハル
閉会後の決戦
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ナイト・ヴィジョンズ その3


豪雨は止まず、雷鳴が絶え間なく轟く。

ロッシは颯爽と現れ秋雄を危機から救出した。

「お前が来たとこでどうするか…」

秋雄は頭を抱える。2人であれをやれるだろうか。

「俺だけと誰が言った」



龍は周りを見渡す。この駐車場に隠れる場所はない、人影も一切見えない。

「油断していた…消えるとは…」

すると龍は再び形を変え始める。徐々に縮んでいき、箱のような物体を創りだす。少しずつその形に成っていく。

サーモグラフィーカメラ。一見防犯カメラのような形をしている。そのカメラは宙に浮きながらグルッと回った。

温度を捉えるカメラは、鮮明に青一面の景色を映し出した。

「…いない」

ふと呟くと、今度は上空を見上げる。

「む…」

秋雄が割った窓の当たりを見つめると、そこに微かながら赤いものが動いていた。つまり人間が三階の印刷室にいたのだ。

赤い人影は誰かは分からないが、人であることは確かだ。

すると奥から赤い人影が新たに1つ現れた。

「仲間がいたか…」

龍に形を戻すと、蛇行しながら上に昇り始める。

絶対的な自信は消えることなく、警戒というものを知らなかった。

すると昇っていく龍の前に、割れた窓から人が顔をヌッと現した。


「!」

それは秋雄ではない。金髪の艶やかな髪、色白で凛とした顔の女。かすかだが見覚えがあった。

女と目の合った龍は驚き、すくに方向転換し背面跳びのようにビルから垂直に逃げた。

「あれは!ヴェロニカ!!」

急な事にまだイン・ディスペアを発動していなかったため助かったが、発動していたら負けていた。

龍は空中で止まり、ビルの窓に目をこらす。

「もう一人…あいつはジュンハオか…」

ヴェロニカとジュンハオが三階の印刷室にいた。2人はキョロキョロとしている。おそらく龍を探しているのだろう。


「さすがに事を大きくしすぎたか…」

天気の急変や爆音・銃声はやはり会場まで届いていた。だかそれでも自信は失われない。

「所詮はカスの集まり…どうということはない…」

龍には気流を感知し相手の動きを読むという能力がある。それによって目を瞑っていても短い距離なら意識すれば相手の動きは分かる。

「…やるか」

殺しても得にも損にもならないが、ここはあえて殺しにかかる。自信からくる調子に龍は乗っていた。ただの気晴らしかもしれないが、『ウォーリアー』が鷹匠を捕らえれば終わること。暇潰しにも似た感覚だろう。 


龍は目を瞑り、一直線に印刷室に向かって飛ぶ。

既に印刷室に2人はいなかったが、廊下にいることは感知できる。

風を切り雨を弾き飛行する。

直前で機関銃に変形し、印刷室に入り廊下に出る。

「右か…」

方向を変えると、すぐに2人が廊下の角を曲がっているのが見えた。そこからの行動も手に取るように分かる。

4度目。ビル内に響き渡る銃声。

金属の塊は空を引き裂き壁にめり込み、2人をひしひしと追い詰めていく。

無駄に銃弾を放つその姿には大きな余裕が感じ取れた。

角をドリフト気味に曲がると、廊下に2人はいない。

「…逃げても無駄だ」

気流から感じ取った部屋のドアを撃ち抜き入ると、するとすぐに仁王立ちをするジュンハオが目に入った。


「誰だか知らないが!そういうのはよくないなァ!ハハ…!」

誰にだって分かる強がりは、精一杯の抵抗だった。

ぱっと見宙に浮く機関銃にヒーローまがいの言葉を浴びせる変な男だ。

「…」

機関銃は撃つのを止めていたが、特に躊躇いもなく撃ち始める。火花は散り、ジュンハオを容赦なく撃ち抜く。

「ヴッ…!!!」

ジュンハオの体に穴が空き、無惨な姿になっていく。

すると散った火花が大きく飛んだ時。

ボォオッ――

大会で何度も聞いたその音。

何かに引火し炎が現れる音。突然宙に炎が出現したのだ。

「ここは…給湯室…」

ジュンハオは既にガスの栓を外しガスを充満させていた。そのガスを機関銃の火花が引火させたのだった。

しかし龍は気にしない。

「だからどうしたというのだ…」

決死の作戦だった。それがこんなもので終わるわけがない。

倒れたジュンハオの手の平から、いつの間にか噴水のように白い粉が吹き上がっていた。ジュンハオの能力『アングザイアティ・インヒビター』が生じさせる粉だ。

その粉は止まることなく、上空に舞い上がり天井まで到達していた。ガスと粉が部屋を満たしていたのだった。

「こっからが…作戦…だ…!」

死にかけのジュンハオが必死でそう言い放つと、粉を炎が包み込んだ。

「粉塵爆発…か」

一瞬で炎は巨大になり、炎は「爆発」になる。


給湯室なんてものは軽々と吹っ飛ばし、衝撃は最上階まで届き、ビルに大きく穴を開ける。轟音はどこまでも響いていた。

黒煙が立ち上り火は広がっていく。



黒煙が充満する中、瓦礫や天井・床の隙間から黒いドロドロとした液体が蠢き、一カ所に集まる。

「馬鹿め…無駄死にだな…」

液体は固まり徐々に固体と成っていく。

虚しくも再生しかけの龍が黒煙の中から現れる。水道管から激しく水が吹き出し、雨に混じって激しく降り注ぐ。

すると休む暇もなく目の前に吹き出している水から瞬く間に人影が現れた。

「!」

吹き上がる水を裂き現れたのはヴェロニカだった。瞬きする時間も与えず、ヴェロニカは目を大きく見開く。

再生しかけの龍は、まだ目玉が宙に浮いたままで、野晒しになっていたため、ヴェロニカの目から放たれた「見えない光」は一直線に目玉に向かった。

静寂。『イン・ディスペア』は既に発動していた。はずだった。


「危ない危ない…」

グチャグチャと気持ちの悪い音を立て、龍の再生しかけの黒い液体の中から2つの赤い物体が出てくる。

「なっ!」

黒い液体を滴らせるその2つの球は「目玉」だった。ヴェロニカの見た目玉とは違う、2つの目玉が。

その目玉はヴェロニカの見た目玉の横に並び、蜘蛛の如く4つの目玉を並べる。

すぐにその2つの目玉はシャッターを閉じるように黒い液体に覆われた。

「偽の目玉を創っておいて助かったよ…これからはお前の光を見ることはない…」

完全に再生し龍となる。

ヴェロニカは焦燥としながら怒りを浮かべ息を荒くするが、美しさは失われてはいなかった。

目の消えた龍を見つめる。

「あんたを許さない…」

ヴェロニカは突然龍に向かって話し出す

「?…あの中国人に惚れたか?」


「そんなんじゃない…その能力…『ナイト・ヴィジョンズ』は私の兄の能力…やっと…やっと見つけた、兄の仇…」


ごちゃごちゃしててすいません

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