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静電気は最強に憧れる  作者: ウエハル
開会
20/49

落とせ恐怖に打ち克つまで その2




『なんともお茶の間に流してはいけないような映像だァッ!!ジュンハオ選手10m以上の位置から地面に叩きつけられたッ!!』



ストライカードは軽蔑するような目でジュンハオを見つめると

「もう1回やるか?」

その挑発を聞いたのか、ジュンハオは生気のない死魚目で立ち上がる。


「ハッハッ…ァァァアーーーーーッッ!!!!!」

ジュンハオはフックを持ち上げ、奇声を上げながらストライカードに襲いかかる。能力を介さない攻撃、能力を発動させるための攻撃でないので既に反則だが、もうジュンハオには関係ない。

誇りの欠片もない攻撃。しかしそんなものは通用しなかった。

 


「『ダウン・アンダー』…」

口からあの粒を落とすと、ゴォォ―というスカイダイビングをする時のように風を切り、高速で上に落ちる。



「…」

再び粒を口から上に落とすと、4mほど上からストライカードは落下する。

なにかの体制をとるわけでもなく、ただただ棒立ちの状態のまま、ジュンハオの肩と頭に足をめり込ませる。

特に大きな音を立てる訳でもなく、押し倒されたようにジュンハオはその場に倒れる。


「アァァーーッ!!!」

奇声ともとれる断末魔を上げ、ジュンハオは完全に息絶える。よく見ると骨はおかしな方向に曲がっており、口から血を出してボロボロの状態だった。

その姿を見ても顔に曇りを一切浮かべないストライカードは、まさに不気味で異常だった。



『にッ、二回戦2戦目勝者はァアーッ!オーストラリア出身ジェイス・ストライカードだアァァーーッ!!!決勝へコマを進めたァァッ!!!』




『ダウン・アンダー』本当に大会の参加条件満たしているのか不思議なくらいに強い能力だ。多分上に落とせるのは本体だけだろうが、それでも恐ろしい。


控室で策を考えているとドアの開く音がした。

「フーンフフーンハーン…フフーンフフフン…」

背後から呑気な鼻歌が聞こえる。誰だかはすぐに分かった、だがあえて振り向かない。


「…「クイーン」…大好きなんだ。フレディの力強い歌声と引き込まれる歌詞…ブライアンの重厚で巧――


「部屋間違えたんなら出て行けよ」

こいつはなかなか掴めないやつだ。一人称も俺なのか僕なのか、ペテン師なのか過去の出来事からの性格なのか、それは本人にしか分からない。

「結構昔のバンドなのが寂しいんだけどさ…」

何が本気で何が嘘なのか、もう話したくもない。

海外のことなんて知ったことか。

「これから試合なんだかさ、仲良くいこうぜ…な?」

視界の隅に大きな手がスッと現れた。

一回戦の時も同じように笑顔で挨拶してきたが、頭がおかしいのだろうか。ましてや対戦相手と仲良くするなんて考えられないし、一度負けているんだぞ?バカにしているのか。


「…」

秋雄ほゆったりと立ち上がり、控室の扉から出て行く。

そっちが出て行かないならこっちから出て行く。


「フフフンフンフフン…」

何故か俺の控室で鼻歌を歌い続ける。申し訳ないという心はないらしい。

控室を出て廊下を何も考えずに歩いていると聞き慣れた声が聞こえてくる。


「秋雄-!秋雄!」

小皺の目立つ無理に化粧をした顔は年齢をこれでもかと感じさせる。保護者感満載の母は秋雄へと駆け寄ってくる。

「母さん!」

今一度考えてみると、この大会の広告や観客はどういうふうになっているのだろうか。テレビでCMをやっているのを見たことはないし、会場には一人で来た。不思議な大会だ。

「さっき来たんだけどあんたどうなの?」


「これから試合をやるところ。絶対優勝して見せるから安心して見てて」


「そう…?よく分からないけど頑張ってね」

最初から最後まで心配している顔だった。

ここで優勝しなければただの恥さらしになってしまう。なんとしても、何があろうと優勝しなければいけない。



『ただいまより、二回戦3戦目。シード枠。アダムズ・ハント選手対金崎秋雄選手の試合を開始致します』

抑揚のない女性の声のより、始まりを告げる。






なるべく早めに終わらせたいのですがなかなか終わりそうにありません

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