表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

プロローグ

 聖王が治めるサリオン王国は、かつては栄光に満ちていたが、今では王都フローレンスとその周囲の小さな平野、そして取り囲む切り立った竜の牙と呼ばれる山々しか国土を残していない。


 贅沢な暮らしに明け暮れていたサリオン王国は、この数百年の間に戦争にことごとく負け、独立した国々に領土を切り取られたのだが、しぶとく存続している。何故なら竜の血統・聖王と言う名前に人々は弱かった。大陸を統一し、戦乱の無い世界を築き上げた聖王カリエスは今でも神の如く崇拝の対象なのだ。


 プラチナブロンドに紫の瞳! 伝説のカリエス聖王の血を自国の王家に取り込もうとする各王家の野望のお陰で、サリオン王国は生き延びている。サリオン王国の一番の輸出品は、聖王の血を引く姫君だった。


 サリオン王国から嫁いだ姫君は、各王家でプラチナブロンドの王子を産み、そして自国との友好関係を築いていった。


 王都フローレンスまで征服されそうになると、姫君が嫁いだ王国が援軍に駆けつけ、どうにか残された領土を護ってきたのだが……ここにきて、新興勢力であるカルディナ帝国が力をつけてきた。


 大陸の南方の小国に過ぎなかったカルディナ王国は、ギデオン王が即位してから、周辺の諸国を併合し、帝国と名乗った。


「聖王は何百年も前に死んだのだぞ! それを有り難がる気持ちがしれぬ! 父上も何を考えておられるのか、あんな腐ったサリオン王国の姫を娶れとは!」


 傲慢に言い切るギデオン皇帝の跡取りであるアルディーン皇太子は、皮肉な事にプラチナブロンドに紫の瞳という聖王の血を引いている。


「まぁ、まぁ、そんなに怒らないで下さい。サリオン王国の姫君を娶るのは各王家の伝統みたいなものですから」


 諌める乳兄弟のテムズにアルディーンは遠乗りに行くぞ! と言い捨てて、高い王宮の塔から滑空する愛竜のシリウスに飛び乗った。


「アルディーン様! なんて危険な真似をなさるのです!」


 一瞬、滑空するシリウスに乗るアルディーンの勇姿に見惚れていたテムズだが、急いで階段を駆け上がると、自分の竜に飛び乗って追いかける。嫌な縁談を押し付けられた鬱憤を喧嘩などで晴らされたら困ると気遣うテムズだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ