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暗黒騎士と聖騎士の異世界戦記  作者: 黒沢 竜
第二十章~信念を抱く神格者~
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第三百二十一話  決着と終焉の魔法


 ノワールが飛んでいる場所から離れた場所では、ハナエが目を鋭くしながらノワールを睨んでいる。ノワールが浮遊島の近くに移動したことでハナエは面倒な状況になってしまったと感じていた。


「ノワールが浮遊島の近くに……これじゃあ、攻撃範囲の大きい最上級魔法は使えないわ」


 折角ノルンブレッシングで最上級魔法も瞬時に使えるようになったのに最上級魔法が使い難い展開になってしまったことにハナエは不満を口にする。使おうと思えば使えるが、そんなことをしたら浮遊島までもが最上級魔法の被害を受けてしまう可能性があった。

 ハナエの役目は浮遊島の防衛をしながら攻め込んで来たノワールとビフレスト軍を撃退することなので、自ら浮遊島に被害を出すような行為は絶対に取ることはできなかった。


「……まさか、ノワールは私が浮遊島を傷つけることができないのを計算して浮遊島に接近した?」


 ノワールの作戦に気付いたハナエは顎に右手を当てながら考え込む。

 ハナエにとって浮遊島は何があっても死守しなくてはならない物、最上級魔法の発動すれば高い確率で浮遊島を傷つけてしまう。それに気付いたノワールは最上級魔法から身を護るために浮遊島の近くまで移動したのではとハナエは予想した。


「やられたわ……まさか最上級魔法を封じるために浮遊島を利用するなんて。しかもあの位置なら浮遊島に侵入することも可能、そうなったらますます戦い難い状況になってしまう」


 有利に戦えていたのにいきなり不利な戦況になってしまいハナエは不機嫌そうな表情を浮かべる。しかし、それでもまだ圧倒的に不利な状態ではないため、ハナエは軽く深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから状況の確認をした。


「……でも、浮遊島の近くで戦うことになったとしても、全ての最上級魔法が使えなくなった訳ではないわ。状況と場所をしっかり確認すれば使うことができる。仮にノワールが浮遊島に逃げ込もうとしても、転移魔法で回り込めばそれも防げるわ。何より、彼は既に最上級魔法を受けてかなりのダメージを負っている。今なら最上級魔法を使わなくても倒せる自信がある」


 戦況とノワールの状態から十分勝機はあると確信するハナエは遠くにいるノワールを見ながら呟く。そして、自分の隣と後ろにいる三人の美女を確認した。


三女神の加護ノルンブレッシングの効力も残り僅か、効力が切れる前に決着をつけてやるわ」


 自分が少しで有利な状態であるうちに戦いを終わらせようと表情を鋭くしたハナエは勢いよくノワールに向かって飛んで行く。ノワールは自分に向かってくるハナエを見ながら体勢を整えると、両手をハナエに向けて迎撃のための魔法を発動させる。

 

凍結突撃槍フリーズランス! 火炎突撃槍フレイムランス!」


 ノワールの右手の前に青い魔法陣、左手の前に赤い魔法陣が展開され、そこから氷の槍と炎の槍が同時にハナエに向かって放った。

 ハナエは迫ってくる氷と炎の槍を見ると鬱陶しそうな顔をしながら右に移動し、飛んできた二つの槍を回避する。そして、ノワールに反撃するために移動しながら右手をノワールに向け、手の中に黄色い魔法陣を展開させた。


棘岩の雨スパイクレイン!」


 叫ぶのと同時にハナエの手の中の魔法陣が消え、ノワールの頭上に大量の棘がついた大きめの円形の岩が無数に出現し、ノワールに向かって落下し始めた。

 <棘岩の雨スパイクレイン>は敵の頭上から棘のついた岩を雨のように降らして攻撃する土属性の上級魔法。広範囲に大きめの岩を落とすことから命中率が高く、集まっている大勢の敵を相手にする時に効果がある。更に殴打と刺突のダメージを与えることができるため、ダメージを与えるだけなら強力な魔法だ。

 ノワールは頭上から降ってくる岩に気付くと前後左右に動いて岩を一つずつかわしていく。幸い岩の落下速度は速くなかったため、ノワールは難なく回避できた。しかし、岩の回避に集中したことでハナエの接近を許してしまい、ハナエはノワールの数m手前まで近づいて来た。

 ハナエの接近を許してしまったノワールはハナエの顔を見て目を大きく見開く。そんなノワールを見つめながらハナエは右手の人差し指をノワールに向けた。


貫通熱線バーナーレーザー!」


 指先からオレンジ色の熱線をノワールに向けて放つ。岩の回避に意識を向けていたノワールはハナエの攻撃に反応が遅れ、左肩に熱線を受けてしまった。

 熱線の痛みと熱さにノワールは表情を歪めながら右手をハナエに向け、手の中に赤い魔法陣を展開させた。


深紅の新星クリムゾンノヴァ!」


 ノワールは魔法陣から大きな火球をハナエに向けて放つ。ハナエは右へ移動してノワールの火球をかわし、両手を前に出して反撃の魔法を発動させようとした。すると、ノワールはハナエを無視して180度回転し、浮遊島に向かって飛んで行く。

 浮遊島に向かって飛ぶノワールを見たハナエはノワールが浮遊島に侵入しようとしていることに気付き、しまった、という表情を浮かべる。だがハナエは慌てることなく、目を鋭くして移動するノワールを睨んでいた。


「行かせないわ。次元歩行ディメンジョンムーブ!」


 ノワールを浮遊島にこれ以上近づかせないようハナエは転移魔法を発動し、ノワールが向かう先に転移した。正面に回り込んだハナエを見たノワールは両手をハナエの向け、右手に赤い魔法陣、左手に青い魔法陣を展開させる。


深紅の新星クリムゾンノヴァ! 深海の砲アビスキャノン!」


 魔法が発動され、赤い魔法陣から大きな火球、青い魔法陣から大きな水球がハナエに向けて放たれ、ハナエは二つに魔法を見ると迎撃するために両手を前に出す。すると、火球と水球はハナエにぶつかる直前に接触し、大きな音を立てながら蒸発した。同時に周囲に濃い水蒸気が広がってノワールとハナエを包み込む。


「これはさっきの……」


 少し前に同じことが起きたことを思い出したハナエは感覚を研ぎ澄ましてノワールの気配を探る。前は自分が水蒸気に隠れてノワールの隙をついたが、今度は自分が隙をつかれると思い警戒心を強くしながら周囲を見回す。

 ところが、いつまで経ってもノワールは水蒸気から姿を見せず、攻撃もしてこない。何もしてこないことにハナエも流石におかしく思い始めた。


「どういうこと? 視界を奪ったのだから強力な魔法で攻撃してくればいいのに、なぜいつまで経っても……ッ!」


 何かに気付いたハナエは目を軽く見開き、勢いよく急上昇して水蒸気の中から飛び出した。水蒸気の真上に出たハナエは水蒸気の周りや浮遊島の近くを確認し始める。そして、浮遊島を囲む城壁の上にある通路の上で防衛部隊の砲撃蜘蛛を魔法で倒すノワールの姿を見つけた。


「やっぱり! あの子、奇襲を仕掛けるためじゃなく、浮遊島に近づくための時間を稼ぐために水蒸気を発生させたのね……クッ! 私としたことがこんな単純な手に引っかかるなんて!」


 最も注意すべき点を見逃してノワールを浮遊島に近づけてしまったことをハナエは心の底から悔しがる。

 戦況では自分の方が有利で体力にも余裕があり、ノワールの狙いも分かっているため、自分はこれ以上ノワールに出し抜かれるようなことはないとハナエは自信を持っていた。にもかかわらず、最大のミスを犯してしまい、ハナエはこれまで感じたことのない屈辱と情けなさを感じる。


「……まだよ。まだ浮遊島への侵入を許してしまっただけ、私は敗北してないわ。急いであの子を倒し、ビフレスト軍に勝てばいいのよ」


 ハナエは両手の強く握りながら低い声を出す。失敗したからと言っていつまでも後悔したり、悔しがっていても何も変わらないため、ハナエは何とか気持ちを落ち着かせながら城壁の上にいるノワールを見つめた。

 既にノワールは近くにいた城壁上のモンスターを全て倒し、城壁の内側や遠くに見える王城を確認していた。それを見たハナエはこれ以上ノワールの好きにさせるわけにはいかないと勢いよくノワールの方に向かって飛んで行く。

 一方、城壁の上に立つノワールは城壁の内側に体を乗り出して内側や城壁の真下を確認している。城壁の内側は町となっており、城壁の前には広場や街に続く道があった。そしてそこには大勢のLMFのモンスターが集まっている。

 集まっているモンスターにはゴブリンのような下級モンスターからストーンタイタンのような上級モンスターなど様々な種類がおり、全て城壁を見上げたりなどして待機している。中にはノワールの存在に気付いて鳴き声を上げているモンスターもおり、その反応から他のモンスターたちもノワールに気付いていた。


「……流石はジャスティスさんたちの本拠地、空中以上に数がいるなぁ……殆どが楽に倒せるモンスターだけど、この状態だと簡単に倒すのは難しいかも……」


 そう言ってノワールは自分の体の傷を確認する。ハナエとの戦闘でノワールはかなりのダメージを受けており、いつもの調子で戦えるか微妙な状態になっていた。

 ノワールは浮遊島に突入し、モンスターを倒しながら身を隠す場所を見つけ、そこでハナエを倒す作戦を考えるつもりでいた。しかし、予想以上にモンスターの数と自身が受けたダメージが多かったため、自分よりレベルの低いモンスターたちが相手でも苦戦するかもしれないと若干不安を感じているのだ。


「一応、回復用のポーションは持ってるけど、できれば使わずに勝ちたいし、まだハナエさんとの決着がついていないのに使うって言うのも……」


 ハナエという強敵と戦っている以上、いくらポーションで体力を回復させてもすぐに削られてしまい、ポーションを使った意味が無くなってしまうかもしれない。かと言って、使わずに体力が減っている状態で戦い続けるのも危険だ。ポーションをどのタイミングで使うべきか、使わずに勝利することはできないのだろうか、ノワールは腕を組みながら難しい顔をして考え込む。

 ノワールが考えているとハナエがもの凄い勢いでノワールの後ろから飛んでくる。ハナエの接近に気付いたノワールは振り返り、目を鋭くして迫ってくるハナエを見ると軽く目を見開いた。


「……思ったよりも早く気付かれたなぁ」


 水蒸気による目くらましがあまり長続きしなかったことにノワールは残念そうな反応を見せる。しかし、それでも浮遊島に近づくという最大の目的は達成できたので良しと思っていた。

 ハナエはノワールが自分に気付いたことを知ると更に飛行速度を上げてノワールに一気に近づき、城壁の上にいるノワールに右手を向けた。


流星の光弾シューティングスター!」


 右手の中に白い魔法陣が展開され、ハナエの周りに作り出された無数の白い光球が一斉にノワールに向かって飛んで行く。ノワールはハナエが攻撃を仕掛けてきたのを見ると素早く城壁の内側に飛び下りる。ノワールが城壁から飛び下りたことで光球は目標を見失い、全て城壁上の通路に命中した。

 飛び下りたノワールは落下しながら浮遊魔法を発動させて宙に浮き、空中から地上の様子を確認する。真下で大勢のモンスターたちがノワールを見上げながら騒いでおり、ノワールはモンスターの数と興奮している様子を見てうわぁ、という表情を浮かべた。

 ノワールが下を見ていると、ノワールを見つけたハナエが真上から急降下してくる。ハナエの姿を見たノワールは地上にいるモンスターたちに向かって一気に降下した。ハナエはモンスターたちに向かって行くノワールを見て一瞬意外そうな顔をするが、すぐに表情を鋭くしてノワールを追撃する。

 地上に向かって急降下するノワールは集まっているモンスターたちに徐々に近づいて行く。そして、モンスターたちの2mほど真上まで近づくと方向を変えてモンスターたちの頭上を勢いよく飛びながら街道に入る。モンスターたちが自分たちの頭上を通過していったノワールを見ながら鳴き声を上げた。

 傷だらけでモンスターと戦うのが難しいのなら無理に戦う必要は無いと判断したノワールはモンスターたちを無視して街に入り、安全な場所を見つけてそこでハナエとどう戦うか作戦を練ろうと考えたのだ。

 しかし、モンスターたちが侵入したノワールを見逃すはずもなく、街に入ったノワールを追うために一斉に動きだす。勿論、ハナエもノワールと同じように飛んで彼の後を追った。

 静かで薄暗い街道を飛びながらノワールは安全な場所を探す。飛んでいる間、ノワールは街の様子を見ながら若干薄気味悪さを感じていた。今ノワールがいる町にはモンスター以外誰もいないため、町の中はゴーストタウンのような状態だったのだ。


「……本当にこの町にはモンスター以外誰も住んでいないみたいだ。ジャスティスさんは本当に信用できる人だけをこの浮遊島に招き入れるみたいなことを言ってたけど、ジャスティスさんは本当にこの世界の人々を招くつもりでいるのかな?」


 ジャスティスの本心を疑いながらノワールは街道を飛び続けて町の奥へと向かう。すると、後方から突然火球が飛んできてノワールの真横を通過する。驚いたノワールが後ろを確認すると、そこには右手を自分に向けながら追ってくるハナエの姿があった。


「止まりなさい! これ以上この島に土足で踏み入ることは許さないわ」


 ハナエはノワールを睨みながら力の入った声を出し、右手から火球を連続で放って攻撃する。ノワールはハナエの姿を確認すると面倒そうな顔をしながら前を向き、上下左右に移動して放たれた火球を回避した。

 ノワールとハナエの飛行速度は並のモンスターでは追いつけないほどの速さであるため、地上にいたモンスターたちはノワールに追いつくことができなかった。だが、ハナエだけは唯一ノワールと互角の速度で飛ぶことができるため、ノワールを見失わずについてくることができたのだ。そのため、今いる街道にはノワールとハナエの二人しかいない。

 飛行速度を維持しながらノワールは街道を飛び続け、ハナエも火球を放つ続けながらノワールの後を追う。街に大きな被害を出さないようにしているのか、ハナエは弱めの魔法だけを使用して攻撃していた。


(街の中だからハナエさんも強力な魔法は使ってこないだろうけど、弱い魔法でもこれだけ連続で撃ってこられたら厄介だ。しかもハナエさんの魔法攻撃力は高いから下級魔法でもかなりのダメージが予想できる。何とか反撃する隙を作らないと……)


 逃げ続けていては埒が明かないと感じたノワールは何とかハナエの追撃から逃れ、攻撃するチャンスを作らなくてはと考える。しかも今ノワールがいるのは浮遊島に作られた町の中、配備されている敵モンスターといつ遭遇してもおかしくない状況なので逃げ続ける時間も限られていた。

 ノワールが狭い街道を飛び回る後ろでは、ノワールを逃がさないようハナエが全速力で追跡し続けている。浮遊島に侵入されてから向かって来ずに逃げ続けるノワールにハナエは徐々にに苛立ちを感じ始めていた。


(まったく、さっきから逃げてばかりで全然攻撃してこない。こっちが見失うまで飛んで逃げ続けようとしているの? それとも三女神の加護ノルンブレッシングの効力が切れるのを待っている? ……いずれにせよ、このままノワールを追いかけ続けるのは得策じゃないし、私自身もそろそろ嫌にやって来たの。ここで一気に決めさせてもらうわ!)


 ハナエはノワールの後ろ姿を睨みながら両手をノワールに向けて伸ばし、右手の中に青い魔法陣、左手の中に緑の魔法陣を展開させた。


雹の連弾ヘイルブラスト! 放射電流スプレッドスパーク!」


 魔法を同時発動させたハナエは右手から無数の雹を、左手から電撃を放射状に放ってノワールを攻撃する。ノワールは迫ってくる雹と電撃に気付くと移動しながら攻撃をかわしていく。しかし、全ての攻撃を回避することはできず、幾つかの雹が腕や足に命中し、電撃も肩などに当たってダメージを受けてしまった。

 痛みにノワールは僅かに表情を歪ませ、同時に攻撃を受けたことで空中で体勢を崩してしまい、近くにあった無人の民家の中に窓ガラスを破って突っ込んでしまった。

 ノワールが民家には飛び込んだのを見たハナエは急停止し、空中からノワールが消えた民家を見つめる。普通であれば止めを刺すために民家の中に入るべきなのだが、視界から消えたことでノワールが何をしているのか分からない今の状態なので迂闊に入ったことはできない。

 何も考えずに民家に入れば物陰から飛び出して襲ってくるかもしれないため、ハナエは外でノワールの動きを警戒していた。だが、かと言って何もせずにジッとしていればノワールに休んだり作戦を練る時間を与えてしまう。


「……動きが無いのを見ると、やっぱり家の中で休んでいるみたいね。それなら、この民家ごと吹き飛ばしてやるわ。マスターもノワールを倒すためなら民家の一軒を吹き飛ばしても許してくださるはず」


 ハナエは右手を民家に向け、赤い魔法陣を展開させて魔法を発動させようとした。すると、突然民家の玄関と思われる扉が破壊され、中から大勢のモンスターが現れる。そのモンスターは枯れた木の体に目と口と細長い鼻、長い枝の手を持ち、根を足代わりにして移動していた。

 木の姿をしたモンスターは全部で六体おり、宙に浮いているハナエを見上げながら鳴き声を上げる。モンスターたちの様子からハナエに敵意を向けているのが一目で分かり、ハナエは目を細くしながらモンスターたちを見つめた。


「あれはマッドエント、どうしてマッドエントが此処に? 防衛部隊にはマッドエントなんていないはず……」


 現れたモンスターが自分の仲間でないことに気付いたハナエはマッドエントを見つめながら疑問に思う。だが、すぐに答えが分かり、納得したような反応を見せた。


「……確かノワールはサブ職業クラスにハイ・ドルイドを選んでいたわね。ハイ・ドルイドはマッドエントを召喚できる魔法を習得できたはずだったわ」


 ハナエは現れたマッドエントがノワールが召喚したモンスターだと知り、同時にノワールが何らかの時間稼ぎをするためにマッドエントを召喚したのだと知る。ノワールが何かを狙っていると悟ったハナエは時間を与えないためにも急いでマッドエントを倒し、民家を吹き飛ばそうと考えた。


「邪魔よ、深紅の新星クリムゾンノヴァ!」


 右手をマッドエントたちに向けたハナエは魔法陣から大きな火球を放って攻撃する。火球はマッドエントの一体に命中すると大爆発を起こし、近くにいる他のマッドエントたちも吹き飛ばす。そして、ノワールが飛び込んだ民家も爆発に巻き込まれて吹き飛び、民家の半分が消し飛んだ。

 マッドエントと民家が吹き飛ぶとハナエは軽く息を吐いた。すると、ハナエの傍に寄り添うように付いていた三人の美女が静かに光の粒子となって消滅する。どうやらノルンブレッシングの効力が切れたようだ。

 神格魔法の効力が切れたことでハナエは不満そうな表情を浮かべるが、今はそんなことを気にしている場合ではない。ハナエはノワールがどうなったか民家の中を確認する。民家の中は爆発のせいでボロボロになっており、一部が黒焦げになっていた。しかし、ノワールの姿は何処にも無い。

 民家の中で爆発がギリギリ届かない場所に身を隠しているのでは、そんなことを考えながらハナエはノワールを探す。すると、玄関があった場所の反対側にある窓が開いていることに気付き、ハナエは窓を見ながら表情を少し険しくした。


「窓が開いている……私がマッドエントたちに意識を向けている間に窓から外に出て逃げた? でも、マッドエント程度じゃ大して時間稼ぎができないことぐらい彼も知っているはず。となると、彼はそれほど遠くには行っていない可能性が高いわ。もしかすると、まだこの近くに隠れているのかも……」


 ノワールがまだ近くに潜んでいると考え、ハナエが周囲を見回しながらノワールを探していると、吹き飛ばした民家の近くの街道が薄っすらと紫色に光っているのが見え、ハナエはそこにノワールがいるのかと思い、街道に向かって飛んで行く。

 街道に到着したハナエは光の正体を確認すると、そこにはハナエの予想どおりノワールが街道の真ん中で立っている姿があった。しかも、彼の周りには無数の紫色の魔法陣が展開されており、それを見たハナエは目を見開く。


「意外と気付くのが遅かったですね、ハナエさん?」

「ノワール、それはまさか……」

「ええ、神格魔法です。今度は僕が使わせてもらいます」

「さっきのマッドエントも神格魔法を発動させるための時間稼ぎとして召喚したのね」

「そのとおりです。貴女が使った作戦をそのまま使わせてもらいました」


 小さく笑いながら語るノワールを見てハナエは奥歯を噛みしめる。だが、すぐに落ち着いた表情を浮かべてノワールを見つめた。

 自分と同じ方法で神格魔法を発動させようとしていることには驚いたが、ハナエには余裕を持ってノワールの魔法発動の妨害をする自信があった。なぜなら、ハナエが神格魔法を発動してきた時と違い、ノワールが稼いだ時間は短かったからだ。

 今の段階なら神格魔法の発動準備が整う前に攻撃してノワールの邪魔をすることができる。上手く攻撃が命中すればノワールに決定的なダメージを与えることができ、運が良ければその一撃でノワールが倒せるかもしれない。もし倒せなかったとしてもノワールにダメージを与えることができ、今後神格魔法を発動させようとしても次からは楽に妨害できるとハナエは思っていた。

 ハナエはノワールとの距離を詰めるために勢いよくノワールに向かって飛んで行き、同時に右手で手刀を作り、次元斬撃ディメンジョンスラッシュを発動させる体勢に入る。自分はノワールと違って絶対に神格魔法を発動を阻止できるとハナエは確信していた。すると、ノワールはハナエを見ながら小さく笑い、懐から何かを取り出してハナエに見せる。


「……ッ! そ、それは!」


 取り出された物を見た瞬間、ハナエは驚愕の表情を浮かべる。それは何と、自分が神格魔法を発動させる時に使用したマジックアイテム、セイズの砂時計だったのだ。


「そう、僕も貴女と同じようにマスターからマジックアイテムを与えられていたんですよ」


 ノワールは自慢するかのように笑みを浮かべ、ハナエは自分が持っていたマジックアイテムと同じ物をノワールが持っていたことに対して悔しさを感じ、同時にノワールがマジックアイテムを所持しているかもしれないと警戒しなかった自分を愚かに思った。

 ハナエはノワールにセイズの砂時計を使われる前に妨害しようと更に移動速度を上げる。だが、時すでに遅し、ノワールはハナエが妨害する前にセイズの砂時計を使用し、発動時間を短縮した。そして、セイズの砂時計を使用したことで発動準備が整い、魔法陣が消滅する。

 魔法陣が消えるとノワールの右手の中に太陽のような光球が作られ、それを見たノワールはよし、と言いたそうに頷く。神格魔法の発動を許してしまったハナエはせめてダメージだけでも与えようと考える。


次元斬撃ディメンジョンスラッシュ!」


 ハナエはノワールに向けて手刀を振って攻撃する。それに気付いたノワールは咄嗟に転移魔法を発動させてハナエの見えない斬撃をかわした。

 ノワールが消えるとハナエは周囲を見回してノワールを探す。するとハナエの後方、100mほど離れた場所の上空にノワールが転移し、ノワールに気付いたハナエは振り返り、浮遊魔法を発動させてノワールに向かって飛んで行く。

 ハナエはノワールの正面、10mほど離れた場所で停止してノワールと向かい合う。真剣な表情を浮かべているノワールを見てハナエは静かに口を開いた。


「まさか神格魔法の発動を許すなんてね……これは、浮遊島の一部が破壊されるのを覚悟しないとダメそうね」


 浮遊島の被害を最小限にして護り抜くことはできないと悟ったハナエは苦笑いを浮かべる。今のハナエにとってはノワールを倒してビフレスト軍を撃退することが重要であるため、浮遊島に被害が出てもノワールを倒せるのであれば仕方のないリスクだと考えていた。


「……残念ですが、一部を破壊される程度じゃ済みませんよ?」

「何ですって?」

「あと、僕はこの一撃で貴女を倒すつもりでいます」

「どういうこと?」


 突然、決着をつけると言い出したノワールを見ながらハナエは目を鋭くして尋ねる。いくら強力な神格魔法でも当たらなければ何の意味もない。たった一撃で自分を倒すなどできるはずがないと思っていたハナエはノワールがはったりを言っていると考えていた。

 ノワールはハナエを見つめながら右手の中にある太陽のような光球を改めて見せ、ハナエはノワールが作り出した光球をジッと見つめる。


「……そう言えば、その光球、いったいどんな神格魔法なの? 私はLMFにいた頃、貴方が習得している神格魔法は全て見たけど、そんな魔法は見たことがないわ」

「当然ですよ、この魔法はこっちの世界に来てからレベル100になって習得した魔法なんですから」

「レベル100? 貴方、既にレベル100になっているの?」

「ええ、マスターが身を隠している間にレベル上げをしてましたから」


 いつの間にかノワールが自分と同じレベル100になっていたことにハナエは目を軽く見開いて驚く。だが同時にレベル100であればここまで激しい戦いを繰り広げたことも、自分に勝つと自信を持って言ったことにも納得ができた。

 しかし、今のハナエにはノワールがレベル100になったことよりも、ノワールが発動させた神格魔法のことが気になっており、ハナエは気持ちをノワールが作り出した光球に切り替えた。


「それで? 貴方がレベル100になって習得したその魔法は何なの?」

「……終焉の最終戦争エンドオブラグナロクです」

「なぁっ!!?」


 ノワールが発動させた魔法の名前を聞いたハナエは今まで見せたことのないほど驚愕する。


終焉の最終戦争エンドオブラグナロクですって!? あり得ないわ、終焉の最終戦争エンドオブラグナロクはプレイヤーでも習得することが困難と言われているほどの魔法よ! それを使い魔である貴方が習得したなんて……」

「そんなこと言われましても、こうして僕は習得したわけですし……」


 信じないハナエを見ながらノワールは少し困ったような表情を浮かべ、自分の手の中にある光球に視線を向ける。ハナエが信じられないのも仕方の無いことだった。なぜならノワールが発動させた魔法はLMFの魔法の中でもとんでもない魔法だったからだ。

 <終焉の最終戦争エンドオブラグナロク>はLMFで最強と言われている闇属性神格魔法。発動すると光球が作られ、それを敵に向かって投げつけると大爆発を起こしてダメージを与える。神格魔法の中でも最大の攻撃力と攻撃範囲を持ち、魔法攻撃力の高さによっては大都市を跡形も無く消し飛ばしたり、レベル100でHPが満タンのLMFプレイヤーやモンスターを一撃で倒すことが可能だ。ただし強力な分、習得するのが非常に難しく、消費するMPも非常に多い。更に習得したプレイヤーは三回しか発動できず、三回発動すると二度と終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを発動させることはできなくなる。

 攻撃力が高すぎるため、終焉の最終戦争エンドオブラグナロクはLMFプレイヤーたちからゲームを崩壊させるのでは、とまで言われていた。その故に習得する条件がとても厳しい。その条件というのは、レベル100でメイン職業クラスを魔法使い系の上位職にしており、神格魔法を四つ以上習得し、魔法で敵を三千体以上倒しているということだ。

 レベルを上げたり、魔法で敵を倒すということはそれほど難しくないが、神格魔法は習得するのに複数の条件を達成させる必要があるため、一つを習得するだけでもかなりの時間と労力を必要とする。

 習得の難しい魔法を四つ以上を習得しなくてはならないので終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを習得できているLMFプレイヤーは極めて少ない。現にダークが異世界に転移するまでの間で習得したプレイヤーは僅か二人しかいなかった。

 しかもLMFプレイヤーが習得するよりも使い魔が習得する方がより難しく、使い魔が終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを習得するのは不可能だと言われていた。しかし、その魔法を使い魔であるノワールが習得したの言うのだからハナエも驚きを隠せずにいたのだ。

 ハナエは大量の汗を流しながらノワールの手の中にある光球を見つめる。ノワールが最強の魔法を習得したなど信じられないが、現実に発動されているため、ハナエは本当にノワールが終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを習得したのだと無意識に心の中で受け入れていた。


「……いったいどうやってその魔法を習得したの? プレイヤーですら習得するのが非常に難しいと言われている魔法なのに……」


 僅かに震えた声を出しながらハナエはノワールに尋ねる。ノワールは視線を光球からハナエに向けると静かに口を開いた。


「マスターはジャスティスさんがギルドに姿を見せなくなってから、いつかジャスティスさんが帰ってきた時にもう一度模擬試合をしてジャスティスさんとハナエさんに勝てるよう僕を育ててくれました。優れた魔法使いにするためにマスターは僕を魔法重視で強くし、習得できる魔法は全て習得させました。そうしている間に僕は終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを習得する条件の内、幾つかをクリアしていたんです」

「そ、そんな馬鹿な……」


 気付かないうちに習得する条件を達成していたと聞いたハナエは呆然とする。狙ってもいないのに最強の魔法を習得できるようになっていたなんて、どれだけ運がいいのだとハナエは思っていた。


「この異世界に転移してからはマスターはジャスティスさんと再会することはないと諦めていましたが、ジャスティスさんと再会したことでマスターは僕にレベルを100にするよう命じ、僕はレベルを100まで上げました。レベルを100にしたことで習得する最後の条件をクリアし、僕は終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを習得したんです」


 ノワールが終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを習得するまでの流れを説明し終えるとハナエは険しい顔でノワールを見つめる。自分とジャスティスが終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを習得するきっかけになったことを知り、ハナエは奥歯を噛みしめた。同時にLMF最強の魔法をノワールが習得したことを同じ魔法使いとして悔しく思う。

 ハナエが悔しがっている中、ノワールは右手を上げ、手の中にある光球を掲げる。ノワールが動いたのを見たハナエはノワールが光球を自分に向かって投げると感じて素早く構えた。


「ハナエさん、さっきも言ったように僕はこの一撃で貴女を倒します。逃がすつもりもありませんので、覚悟してください?」

「……無理ね、貴方に私は倒せないわ……正直、貴方が終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを習得していたことには驚いたけど、どんなに強力な魔法も当たらなければ怖くないわ。その光球は命中することで大爆発を引き起こし、周囲にいる敵を吹き飛ばす。でも、その光球をかわせば貴方の攻撃も失敗に終わる。冷静に対処すれば問題無い」


 最初は終焉の最終戦争エンドオブラグナロクのことで動揺していたハナエだったが、冷静さを取り戻すとどうすればいいかを考えてノワールと終焉の最終戦争エンドオブラグナロクへの対抗策を見つめた。ノワールは神格魔法を前にしても精神を乱さないハナエに改めて感服する。だが、そんなハナエを前にしても絶対に勝てるとノワールは確信していた。


「残念ですけど、貴女に終焉の最終戦争エンドオブラグナロクをかわすことはできません。なぜなら、僕は光球を直接貴女には投げず、こうするからです」


 そう言ってノワールは掲げていた光球を勢いよく真下に向かって投げる。真下には浮遊島の町があり、光球を目で追っていたハナエは町を見た瞬間に目を大きく見開く。


「貴方、まさか!?」

「ええ、光球を下の町に落として大爆発を起こし、その爆発で浮遊島を破壊します。そして、その時に発生する爆発でハナエさんも攻撃します」

「な、何てことを!」


 ノワールの作戦を知ったハナエは再び驚愕の表情を浮かべる。

 終焉の最終戦争エンドオブラグナロクが浮遊島に対して発動すれば間違い無く浮遊島は消滅し、ジャスティスとハナエは重要な本拠点を失ってしまう。ハナエにとってもそれは絶対に許してはならないことだ。何があっても光球を止めなくてはならないが、終焉の最終戦争エンドオブラグナロクは強力すぎるため、ハナエの力では浮遊島を護ることはできない。つまり、ハナエには浮遊島を護る手段は何も無いのだ。

 ノワールが言っていた一部を失う程度じゃすまないという言葉の意味を理解したハナエは最悪の状況に表情を歪ませる。

 主人であるジャスティスの本拠点を使い魔として何としても護らなくてはならない。しかし、魔法では防ぐことはできず、身を挺して光球を止めようとしても自分に当たった瞬間に爆発が起きるのでどの道爆発を防ぐことはできず、ハナエは完全に八方塞がりの状態だった。


(何てことなの! マスターから護るよう言われた浮遊島を護れないなんて……)


 ジャスティスに対する申し訳なさと役目を果たすことができなかった情けなさにハナエは奥歯を噛みしめる。そうしている間も光球は真っすぐ地上に向かって落下していき、爆発までの時間が徐々に迫っていた。


(……やむを得ない、脱出するしかないわ。浮遊島を失えばこちらは大損害を受けることになるけど、マスターがいらっしゃればまだ勝機はある。マスターの下へ向かってノワールが終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを習得していることを知らせないと……)


 唯一の希望であるジャスティスにノワールの情報を伝えるため、ハナエは転移魔法を発動しようとする。浮遊島とそこを護る大量のモンスターを失うのは痛いが、浮遊島を移動させることもモンスターたちを脱出させることもできないので仕方がない。ハナエは悔しさを胸に浮遊島から脱出することを決意した。

 ハナエはジャスティスの下に転移するために魔法を発動させようとした時、ノワールがハナエの背後に回り込み、羽交い締めでハナエを拘束した。


「なっ! ノワール、何をするの!?」

「ハナエさん、転移魔法で此処から離れるつもりなのでしょう? 最初に言ったじゃないですか、貴女を逃がすつもりは無いって。確か敵に捕まっている状態では転移魔法は発動できないんでしたよね?」


 ノワールはハナエの狙いを読んでいたらしく、逃げられないようにするためにハナエを拘束したのだ。ハナエは必死にノワールの拘束を解こうとするが、ノワールの力が意外に強く拘束を解くことができない。


「僕の役目はハナエさんを倒し、浮遊島を制圧することです。そして、もし浮遊島が制圧できないのなら、浮遊島を落とすつもりでいました……僕は予想以上のダメージを受けた今の段階では浮遊島は制圧できないと判断しました」

「ま、まさか、最初から浮遊島を落とすために終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを習得したの?」

「いいえ、終焉の最終戦争エンドオブラグナロクはハナエさんとジャスティスさんに勝つために習得しました。でも、結局浮遊島を破壊することに使う羽目になってしまいましたけどね」


 ハナエを拘束したままノワールは苦笑いを浮かべる。本人はちゃんとした戦闘で終焉の最終戦争エンドオブラグナロクを使用したかったようだが、それができずに浮遊島を破壊するために使うことになってしまい残念に思っていた。

 ノワールが笑っている間も光球は真っすぐ街に向かって落ちて行き、それを見たハナエは更に焦りを露わにしながら体を大きく動かして拘束を解こうとした。ノワールもハナエを逃がすまいと力一杯ハナエを押さえつける。


「無駄ですよ、ハナエさん。貴女には此処で浮遊島と一緒に爆発を受けてもらいます」

「貴方正気!? こんな至近距離で爆発を受けたら貴方もただじゃ済まないわよ!」

「問題ありませんよ。マスターのためなら、僕は喜んで命を捧げます」

「ダークさんが、そんなことを望んでいるとは思えないけど!?」

「ええ、これは僕の勝手な判断です。マスターには申し訳ありませんが、これも僕らが勝つためです……因みに仲間のモンスターたちにはメッセージクリスタルで浮遊島からできるだけ離れるよう既に指示を出しました」

「や、やめなさい!」


 ハナエは必死に自分を道連れにしようとするノワールを説得するが、ノワールは全く耳を貸そうとしない。爆発が起きれば二人は間違い無く命を落とすだろう。しかし、浮遊島を護れずに命を落とすハナエと目的を達成して命を落とすノワールとでは死と引き換えに得られるものの大きさが違いすぎた。

 二人が空中で騒いでいると、遂に光球は街道の真ん中に落ち、ノワールとハナエの視界は白い光で一杯になる。光の包み込まれながら絶望の表情を浮かべるハナエと満足そうな笑みを浮かべながら目を閉じるノワール、光は次第に強くなり、町全体を包み込むほど大きくなった。

 

「……マスター、必ず勝ってくださいね」


 ノワールは笑いながら囁き、ダークの勝利を願う。その直後、ノワールとハナエは光に完全に包み込まれ、光球が落ちた場所を中心に大爆発が起きた。

 爆発は浮遊島全体を呑み込むほど大きく、王城や町、城壁など浮遊島に存在する物は爆発で吹き飛ばされ、浮遊島にいたジャスティスのモンスターも爆発に呑まれて消滅する。浮遊島の外で戦っていたモンスターたちも爆発に巻き込まれてしまい、運よく爆発から逃れたモンスターたちも爆発の衝撃と爆風を受けて遠くへ吹き飛ばされてしまう。その中には城塞竜の姿もあった。

 浮遊島以外にも爆発の影響が出ており、浮遊島の真下の海は爆風で大きな波を発生させ、陸地では木々が爆風で大きく揺れる。そして、その爆風はバーネストにまで届き、住民たちは突然の突風に驚く。

 しばらくすると爆発と光が治まって爆発が起きた場所が見えるようになる。そこには浮遊島は勿論、残骸なども一切残っておらず、ノワールとハナエの姿も無かった。


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