第三十八章 それぞれの道
羽竜、蕾斗、あかね、未来はどうですか?もう魔帝やダイダロスとの戦いは始まっているのでしょうか?
あなたたちが未来へ帰った後、セイラ様は世界再生を行う為に旅立ちました。そしてそれは確実に行われました。
ミドガルズオルムはどこかへ消え去り、焼けた大地に草花が生えて、再び太陽が姿を現しました。
ジョルジュもまた、東洋へと旅に出ました。なんでも東洋には凄腕の剣士がいると聞いたとかで。彼は戦士として生きる事を選んだのです。死に場所を見つけたと言ってたっけ。
(男とは理解出来ない生き物です。)
エアナイトの力は、きっと伝えられていくものだと信じてます。
それからリスティですが、セイラ様無き後の国を復興させる為に、色々奮闘してます。
元々頭がいいみたいで、復興組織のリーダーとしてみんなから慕われています。
私はと言うと、セイラ様から王位を託され国王となりました。初めは誰もついて来てくれないんじゃないかと不安でしたが、セイラ様が帰るまでの代理として納得させました。
これから色々大変だけど、あなたたちの時代まで未来を繋ぐと誓ったし、頑張って王様やり抜きます!
どうかあなたたちも未来を繋げて下さい。子供、孫、さらにその先まで。
祈りを込めて……
メグ・ベルウッド
「よしっ!オッケー!」
「メグ様、一体何をしたためたのですか?」
ドレスに身を包んだメグに、召し使いの女が声をかける。
「ふふ。遠い遠い友人達への手紙よ。」
「手紙ならばこのようなところに入れるのは不自然かと……」
メグが手紙を入れようとしている場所は、バベルの跡地に立てた石碑の中だ。
石碑の後ろには台座がある。
そこにカルブリヌス………エクスカリバーを封印する為の台座だ。
「いいのよ、ここで。ここが私達の思い出の場所になるんだから。」
死闘を繰り広げた場所が思い出とは、せつない気もする。
「メグ様、さあ剣を。」
側近に促されてカルブリヌスを台座に突き立てる。
「ありがとう、カルブリヌス。」
愛用した剣を台座に突き立て、二度と抜けぬように固めてしまう。
「よろしかったのですか?」
召し使いが名残惜しくカルブリヌスを見ていたメグを気遣う。
「いいのよ。もう剣は握らないって決めたの。戦士には戻らないわ。」
「それなら構いませんが……………さ、もう行きましょう。大臣がお呼びです。」
フランシア国の大臣が、セイラがいなくなった事実を受け止め、メグに協力している。
意外と物分かりのいい大臣で、メグが国王としてやれてるのには、彼の協力は欠かせない。
「先に行ってて。すぐに行くから。」
そうメグに言われ、召し使い達は馬車へと戻る。
「羽竜…………蕾斗…………あかね…………ジョルジュ…………そしてセイラ様…………見てて、誰にも負けない立派な王になってみせるから!」
かつては剣を握っていた拳。今は希望を握っている拳を、降り注ぐような太陽に突き出した。