あおいのとの約束
必ず一位になる
ーーその思いでただひたすらに走った。
もうどれくらい走ったかもわからない 。ただひたすらに一位になることだけを目指して…
俺 ー 大蔵宗介は陸上部だ。中学の頃からやっているだけあり高校の中では常にトップのタイムだ。
練習終わりにコーチに呼び出された。
「おまえ、今度の地区代表選考レースにこの羞明高校代表として出てみないか?」
嬉しいサプライズだ。 地区代表選考レースを一位で勝ち抜けば全国大会への出場権があたえられる。
答えはもちろんYes。
「全力で努めさせてもらいます!」
そう宣言した俺はすぐに支度をし校門を出た。
あおいに会うために・・
学校を出てすぐに向かうところがある。
それは市立病院。 ここに俺の中学からの彼女がいるんだ。 彼女ーあおいは高校1年の時にがんで余命一年の宣告をうけた。その事をあおいから聞かされた時は本当に衝撃だった。
でも今では残された時間を楽しく過ごそうと前向きな姿勢だ。あおいが入院してから病院に通うのが俺の日課になっている。
「あおい!俺羞明高校の代表としてレースに出られるようになったんだ!」
「凄い! ずっとでたがってたモンね」
そう 選考レースに出ることは俺の目標でもあった。
「応援してろよ。必ず一位になるからな!」
「私応援しに行く! 宗介が選考レースに出るまでに絶対病気に勝ってみせるから!宗介必ず一位になるんだよ。私もがんばるから!
あともし一位になれてらきすしてあげる」
「おう!絶対一位になるさ!」
こうして二人の間にかたい約束が結ばれた。
選考レースの3日前、、
衝撃的な知らせだった。
宗介は急いで病院に向かった。
「あおい!!」
そう叫んで病室に入ったが返事はない。
電話ではよく状況がつかめなかったが病室に入るとすぐに理解できた。
あおいの死を
あおいは頑張った。余命一年と言われたのに半年も長く生きたのだ。最後は苦しむことなくゆっくりと息をひきとったという。
「あおいが宗介君にって最後に」
そう言ってあおいの母親がおれに手紙を渡した
宗介へ
宗介がこの手紙読んでるってことは私もうこの世にいないってことだね。宗介が一位になる瞬間見れなくて本当に悔しい。
でもね宗介。 私宗介なら必ず一位になれるって思ってる。だって一番練習してたの宗介だもん。
宗介と出会えてからこれまで本当に楽しかったよ。
宗介 大好き
涙がこぼれた。
必ず一位になってやる。
ここで俺は誓った。
俺は走る。
一位を目指して あおいの期待に応えるために。
風の如く。誰よりも早く。先へ 先へ
周囲の歓声などもう耳に入らない。
あおいとの約束をかなえるためにひたすら!
ゴールテープを切った瞬間、風が俺のほうをくすぐった。
あおいとの約束が叶った。