伝説の大魔法 1
「いってくる」
「いってらっしゃいませ」
「……っ」
なぜかカナン様が、見送ろうとしていた私の横を通り過ぎ家の中へ引き返す。
彼はしばらくすると戻ってきた。その手にはネックレスが握られている。
「やっぱりこれもつけて!」
「……あの」
すでに私の首にはネックレスが下がっている。しかも三重に……。
それだけではない。イヤリング、全部の指に指輪、ブローチまで……。
「重くて何もできませんわ」
「守護魔法をかけた。君の安全には変えられない。いや……やっぱりティアラも!」
「……もう、早く行ってきてください!」
「誰か来ても扉を開けてはいけない。一応君たちを害する者が入れないようにしているが、万が一を考えて……」
「わかりました。遅刻してしまいますよ?」
「いってくる……」
カナン様は、ようやく私に背を向けた。
振り返り、振り返り去って行く。
カナン様は陛下のお呼び出しにより王城へ出掛けたのだ。
確かに彼は心配しすぎかもしれないが
気持ちはわからなくもない。
なにかが起こったとして、彼と違い、私には戦う術がないのだ。
「とりあえず、シェリアのご飯を作りましょう」
朝ごはんを作り食卓に並べる。
その間も指輪はとても邪魔だった。
「安全のためなら……しかたないわね」
そろそろカナン様は、王城に着いた頃だろう。
「シェリアはまだ寝ているのかしら?」
先ほどは、スヤスヤ気持ちよさそうに寝ていたので起こさなかったが……。
「そろそろ、声をかけて朝ごはんを食べさせないとね」
寝室に向かうと扉が少し空いている。
その隙間から紫の光が漏れ出していた。
「シェリア〜?」
「わわっ――大変なの!」
「え?」
扉を開くと、シェリアが勢いよく飛び出してきて私にぶつかった。
「大変なの!」
「何があったの!?」
カナン様が邪竜を倒したあと、死にそうになっていた件もある。
私が顔を青ざめさせると、シェリアが再び口を開く。
「急いでドレスを着るの!!」
「えっ?」
「はやくはやく!!」
シェリアは私の手を引いて隣の部屋に行くと、クローゼットを開けた。
そこには、いくつかドレスが収められている。
「シェリーとお父さまの目の色がいいよね! うんうん、マリルもそう思うって!」
彼女の頭の上には、今日も光の精霊マリルがのっている。
「今日はどこにも出掛けないのよ?」
「だめなの! 精霊のみんな……シェリーに力を貸してね!」
「きゃっ!?」
緑の光が私にぶつかると、服が風に飛ばされるようにどんどん脱げていって、シミューズとドロワーズ姿にされてしまった。
青い光がクローゼットからコルセットを運んできた。
赤い光が化粧道具を運んでくる。筆やパフがフワフワ浮かんで私をメイクアップしていく。
黄色い光がコルセットのヒモをかなりきつめに引っ張った。
最後にマリルが私の周りをグルグル回る。
星屑のような光がばらまかれ私を取り囲み……光が消え去ると、私はドレス姿になっていた。
「こんな格好にして……どうするの?」
「来て!!」
再びシェリアに手を引かれて寝室へ。
ベッドの上には、カナン様を連れ戻した、あの大きな鏡が出現していた。
面白いと思っていただけましたら、ぜひ広告下の☆を押して評価をお願いします。
大変励みになります(*´▽`*)




