王都とお城 2
今年もよろしくお願いいたします
(*´▽`*)
「して、二人の馴れそめは」
「……陛下、ご容赦を」
国王陛下との謁見は、少人数でひっそりするのかと思ったが、案外大人数が集まっていた。
……騎士団長グレイ・イードル卿、王族の皆さま勢ぞろい、魔術師団の団員まで。皆、姿絵で見たことがあるような有名人ばかりだ。
「皆気にしておる。戦線を離脱して、よもや愛する女性と娘のところに飛んでいたとはなぁ」
「……光の精霊の導きにより」
「せめて馴れそめくらいは聞かんと、皆納得せぬ」
「彼女は俺の唯一の光でございますゆえ……他の者に知られるなど嫉妬に駆られてしまいます」
会場がざわめいた。
驚きの声の大多数は「まさか、あのカナン・オルトが!?」というものであった。
私としては彼なら言いそうなことだとしか思えないが……いや、もしかして話をはぐらかすための? いや、本音のようにしか思えない。
「唯一の光か」
「ええ……これから先の人生は、王国への忠誠に生きると同時に家族を守ると決めております」
「なるほど、変われば変わるものだ。して、アルフレド」
「は……」
続いて陛下が声をかけたのは叔父様だった。
「王都のすべての商いを手に入れるのは時間の問題と言われながら、すべてを投げ出してしまったときには驚いたが……より多くを手に入れて舞い戻るとは」
「これからも我が商会の存在意義は、陛下と王国のためにあることでしょう」
「……喜ばしいことだ。オルト卿よ、彼女のことはオルト夫人と呼んで差し支えないか?」
陛下が質問してきたのは、私たちがまだ神殿に認められた夫婦ではないからだ。
庶民では子が生まれてから結婚することもあるが、貴族はそうではない。
私の行動は、婚前交渉をしたふしだらな女と見られてもしかたがない。
「もちろんでございます、陛下。私には生涯彼女しかおりません。つ……妻? のために手にした栄誉はすべて捧げたいと思っておりますし、急ぎ式を挙げ……ていいのか? いや、あげたいと存じます」
「どうかオルト夫人とお呼びくださいませ!」
この件についてカナン様に喋らせるのは得策ではない。
「早く式を挙げて正式な夫婦になり、子を安心して育てたいと存じます」
「そうか、急ぎ中央神殿を式場として押さえるとしよう。英雄の結婚式は盛大にしなくては――吟遊詩人も呼ぶとしよう。話題の詩を聞いてみたい」
――ひえぇ。国王陛下の耳にまで届いている。恥ずかしさのあまり赤面しかけたが、なんとか堪える。
そこで冷たい視線に気がついた。
第五王女殿下、彼女はまだ結婚していない。
本音を言えば、王家としてはカナン様と王女を結婚させたかったのだろう。
全属性の強い魔力は、王家の力を強くする。
私が彼の子を産んだことは、誰にも知られていなかった。
叔父様が尽力してくださったのだろう。
そして今度は吟遊詩人を使い王国全土へ詩の形で広められた。
王家であっても揉み消すことができないほど、私とカナン様の馴れそめは王国中に広まった。
「オルト家のご令嬢の魔力は?」
「娘は幼く、まだ属性はわかりません。それなりの魔力は持っているようですが」
「皆さまお揃いのようですね。遅れてしまって申し訳ありません。トリス・マール、陛下にお声がけいただき馳せ参じました」
「おお、トリス! 本当に歩けるようになったとは!」
そこに幼くも元気な声が響いた。
「トリスさま!」
「シェリア嬢!」
二人は走り寄り、止める間もなく抱き合った。シェリアはまだ三歳でわかっていなかっただろうが、何となくトリス様は……。
「まさか、確信犯」
もしかするとトリス様は、可愛らしく精霊に愛され、自分を呪いから救ってくれたシェリアに恋をしてしまったのかもしれない。
カナン様の言葉は不敬ではあるが、私はちょっぴり彼の言葉に同意してしまうのだった。




