第七話 強敵
「ってわけで玲夜、一緒に来ない〜?」
勉強室で勉強している玲夜に青柳が誘っている
「な、なんで俺なんですか? 4階にいた強そうな人とか俺より実戦経験を積んでる人の方がいいんじゃ…」
青柳は呆れた表情をする
「玲夜、そんなんじゃ強くなれないよぉ? それに危なくなったら僕が助けてあげるからさ」
「た、たしかに じゃあいきます」
青柳が笑顔になる
「よし、じゃあ準備ができたら出発するよ」
「了解です」
青柳が勉強室を出ていく
「青柳という者はお前のことを気に入ってるみたいだな」
「そうかな? まぁ青柳副隊長良い人だからいいんだけど…って武綱?!」
いつの間にか背後に武綱が浮いている
「なんで?てかどうやって入ってきたの…?」
「速く入ったら入れたぞ」
玲夜が困惑する
「は…?」
「あとは霊力で気配を消した 」
玲夜の表情が暗くなる
「郷田隊長より恐ろしい人がこんな近くにいたとは…」
「にしてもここの者はかなり強いな それにここは衣食住揃っており強くなるための設備の性能が高い」
「ここいれば確実に強くなれるだろうな」
「うん、ほんとに感謝してもしきれないよ」
武綱が険しくなる
「だが、玲夜 貴様はほんとにそのままでいいのか?」
玲夜はうつむく
「正直俺はまだまだ強くなりたい だけど俺は才能がないから成長が遅くて全然時間が足りない」
武綱がニヤリと笑う
「そう言うと思った、玲夜 一旦自分の部屋に戻れ 特訓を始めるぞ」
玲夜が慌てる
「で、でも青柳副隊長に準備しろって言われてるしそもそも部屋で特訓って…」
「大丈夫だ そんなに時間はかからない」
玲夜がしぶしぶ承諾して部屋に向かう
「わ、わかったよ」
玲夜は部屋の椅子に座る
「で、どうすればいいの?」
「お前はただ目をつぶるだけでいい」
玲夜が困惑しながらも目をつぶる
「はぁ?目をつぶるってそんなのでなにが起こるっていうんだよ」
「開けろ」
「あ、あけろ…?」
玲夜が目を開けると真っ白な広い空間にぽつりと立っている
「なんだ、ここ?」
玲夜の目の前に一人の男が立っている
「きたか ここは拙者の精神霊界」
「精神霊界…?てか武綱ってそんな姿してたんだ」
「精神霊界では生前の姿を具現化できるからな さらに現実世界の1時間が精神霊界では1週間」
武綱の言葉に玲夜が驚く
「1週間?!1時間で1週間…?」
「青柳や郷田という者が短時間で強くなれたのはこの精神霊界をつかっていたからだ」
「だが精神霊界を開くことができるのは達人の域を達している守護霊だけで普通は開くことすらできない」
武綱が笑みを浮かべる
「玲夜、喜べ 貴様は運がいい これから1週間ここで特訓するぞ 保証しよう今の倍強くしてやる」
「全力でかかってこい」
玲夜が武綱を見つめる
「ありがとう武綱 いや、これから師匠と呼ばせてください!」
玲夜が拳に火を纏いさらに足から水を出し間合いを詰めてストレートを武綱に打ち込もうとする
「守護霊頼りはいつまでたっても強くはなれないぞ」
武綱が向かってくる玲夜の頭を刀の柄で叩く
「ぐはっ!」
武綱が玲夜を見下す
「おい、これで終わりとは言わないだろう?」
「まさか!俺は諦めないが取り柄なんだよ!」
それから精神霊界で1週間、武綱からの指導の地獄のような特訓がはじまった 1時間後…
「そろそろ1時間が経つな」
玲夜が驚く
「もう1週間経ったの?!」
「あぁ、だが貴様は倍強くなった いってこいそして帰ったらまたここで特訓だ」
「おう!」
玲夜が目を閉じ再び目を開けると現実世界に戻っている 玲夜が時計を確認する
「ま、マジか 本当に1時間しか経ってない」
「や、やべ!こんなことに驚いてる場合じゃない 準備しないと!」
30分後 玲夜の部屋の扉からノックが聞こえる 玲夜は扉を開ける
「青柳副隊長!」
「やぁ、玲夜 準備はできたかい?」
玲夜の表情に覚悟が宿る
「はい!できました」
「じゃあ、いこうか!」
青柳と玲夜は基地の門へ向かう 門の前には郷田と玲夜以外に4人部員が並んでいる
「皆本くん、きたか」
「郷田隊長! えっと、こちらの方たちは…?」
郷田隊長が部員の方をチラッと見る
「この者達は、皆本くんと一緒に戦う部員だ」
「この人たちが…?」
4人の部員は玲夜を見つめている 4人のうちの1人眼鏡をかけた真面目そうな青年が玲夜に話しかける
「皆本くん、よろしく 僕の名前は藤田 刺死の守護霊の力を持っているよ」
「よろしく、藤田」
藤田に引き続き他の3人も玲夜に自己紹介を行う ポニーテールで小柄な女子が玲夜に声をかける
「私は矢田っていいます!医師の守護霊の力を持っています よろしくです!」
玲夜が笑顔になる
「へぇー!医師の守護霊とかいるんですね」
矢田が明るく答える
「そうなんです!他にも看護師や医者の守護霊など戦いには向いてないんですけどサポートに回れるんです」
「戦闘だけかと思ったけどサポート系もいるんだなぁ」
矢田が隣の人物を指す
「ちなみにこの人も私と同じサポート系の人です!」
中年の男性が玲夜に向かって一歩近づく
「やぁ、皆本くん 俺は松田 エンジニアの守護霊を持っていて通信を利用してみんなと遠くからも話すことができるよ これでね」
松田はトランシーバーのようなものを玲夜に渡す
「そんなこともできるんですね」
松田は笑いながら応える
「正直、自分でも驚いているよ ははっ」
「守護霊はホントに無限大だと思うよ」
短髪で不良のような見た目をしている青年が玲夜に声をかける
「おい、お前が新入り?」
玲夜はその姿を見て苦手意識が出てしまう
「はい…あ、あなたは?」
青年がにっこり笑顔になる
「俺は花藤健太郎! 焼死の守護霊の力を持っているぜ 夢は悪霊を全滅させることだ!」
玲夜が困惑する
「ほ、ほう?」
「てかお前の溺死の守護霊なんだろ?俺と良いライバルになりそうだな!」
「ライバルなんて…別に…」
花藤は謎に気合を入れる
「よっしゃー!負けねぇぞ」
郷田が口を開く
「自己紹介はそれぐらいにしてさっそく桜蘭城に向かうぞ」
青柳と玲夜含む部員5人の表情が真剣になる
「了解!」
桜蘭城から5メートルほど離れているところに玲夜たちは身を潜めて桜蘭城の入り口を見つめている
「入り口に悪霊が4体か 青柳いけるか?」
「もちろん」
青柳が片手を銃のような形にして指先から細い水を発射させ悪霊4体の眉間を正確に撃ち抜く
「よし、いくぞ」
桜蘭城の入り口まで近づき郷田が中を覗く 桜蘭城は複合式天守で天守に付櫓という小天守が直結した形式 今郷田が覗いているのは小天守の中の様子
「悪霊が15体ほどで1体はなかなかやるな それに奥の方の天守から禍々しいものを感じる」
郷田が部員5人に指示を出す
「藤田含む5人の部員はここを突破してもらう なお、もし万が一負けそうになったら松田の通信機で私たちに応援を要請してくれたまえ」
「了解!」
「青柳、いくぞ」
「はい!」
部員たちが先に小天守に入り注意を引かせその隙に青柳と郷田は天守に向かう 悪霊が部員たちを見てケラケラと笑い始める
「なんだこの人間ども、ここに入ってくるとか馬鹿すぎるだろ」
「へへっ!5人もいるじゃねぇか1人は俺がもらう」
悪霊が騒いでいる中横になっている悪霊が立ち上がる
「お前ら、うるさい」
その一言で悪霊たちは怖気づいて静まり返る この場にいる悪霊の中で確実に格が違う者が1体
「お前ら悪霊退散部隊だろ?俺はだらだらしたいから帰ってくんね?」
花藤が声を荒らげる
「何言ってんだお前、俺らはお前をぶっ潰すんだよ」
悪霊の空気が変わる
「あーだりぃ そっかじゃあお前ら死ね」
目黒亮容疑者 中学校時代、授業がだるいという理由でメリケンサックを着用して教師を殴り半殺しにして脳に障害を負わせた犯罪者 判決の結果、傷害罪で少年院に
青柳と郷田は天守に入る 初重には誰もいなく妙に静か
郷田は端に行き天井を爆発させて飛んで二重に移動する 二重には1体の悪霊が座って読書をしている
「おやおや?お客さんかな?」
大人しい雰囲気で見た目も人間っぽく戦意は感じられないがなんとも言えない嫌な霊気を放っている
「青柳、ここはお前に任せるぞ」
青柳は郷田の方を見てニコッと笑う
「任せてください、郷田隊長は上の禍々しい奴をやっちゃってください」
郷田は二重の天井を爆発させる
「あぁ、こっちは任せておくれ」
郷田が飛んで三重に移動する 青柳と悪霊が対面
「あれ、いっちゃった」
青柳が悪霊を見つめる
「なんかずいぶん余裕そうだね?相当強いんだろうな〜」
悪霊がニヤリと笑う
「えぇ、まぁ」
「そう言うあなたもかなりやるようで? しかし上に行った人は可哀想ですね あの方と戦うことになるんですから」
「それはそっちでしょ?うちの隊長をなめないでほしいな」
「なめるなんてとんでもない 私は人を煽るようなことはしません」
青柳が悪霊をじっと見つめる
「ホントかな?悪霊なのに」
「まぁいいや、君を倒してさっさと仕事を終わらせるよ」
「倒せるものならぜひ」
青柳が片手を銃のような形にして指先から水の弾丸を悪霊めがけて発射させる
「まずは準備運動だ さすがに耐えれるよね?」
水の弾丸が悪霊をとらえた…ように見えたが悪霊は傘のようなものを開いて完璧防いでいる
「へぇ?」
悪霊が傘のようなものを閉じる
「いやぁ、驚きましたよ あなたみたいにお強い方がいるとは」
「これは楽しめそうです」
青柳が再び水の弾丸を生成するがさっきとは比べ物にならないほどでかい
「じゃあ次はもっと楽しめるものをプレゼントするね」
水の弾丸を悪霊に発射させる 悪霊は傘のようなものを開いて水の弾丸を受け止めてさらに傘のようなものを少しずつ閉じてまた開き水の弾丸を跳ね返す 跳ね返った水の弾丸が青柳に向かって飛んでくるが青柳は足から水を出し横に避ける
「意外と使えるんだね それ」
悪霊がニヤニヤしながら青柳を見つめる
「まだまだこれはほんの一部にすぎませんよ」
高原誠二容疑者 雨の中知人を人気のない道に誘い後ろから所持していた傘で後頭部を何度も叩き殺害した殺人犯 殺人罪で刑務所に
郷田は三重に着くが暗くほぼ何も見えない
「何も見えないがなにかこっちに近づいて来ているな」
「それもかなりでかい」
郷田は後ろに走り壁を爆発させ外に飛ぶ
次の瞬間、郷田が地面着陸したと同時郷田が爆発させた穴から大型トラックが飛び出してくる 大型トラックが上から郷田に向かって降ってくる
「爆死乱法三花 大爆発」
大型トラックが空中で爆発し、跡形もなく消える
「所詮は霊力で具現化したもの 威力は高いが普通の大型トラックほどではない」
三重の壁の穴から何者かが郷田を見つめている 小型のトラックを階段のようにして一台を一段にしながら降りていき郷田の前に立つ
「参ったなぁ 城は弁償代結構かかるのに」
「あ、そうだ あんちゃんを殺してお金もらって弁償すればいいっか」
「すまんが、お金はもってない」
「嘘は良くないよあんちゃん 持ってんだろ?お金以外にもその命ってもんをな」
郷田が鼻で笑う
「貴様が私に勝てるとでも?」
悪霊は上に飛び後ろに下がり大型トラックを出現させ郷田に向かって東西南北の方向で四台四方向爆走させる
「あんちゃんぐらいなら勝てるさ」
迫り来る大型トラックに郷田はぽつりと立っている
「なにか勘違いしてるようだな」
大型トラックが突然爆発して粉々になる
「ん?何が起こったんだ」
「爆死乱法 四花 地雷」
「貴様が罠にかかっただけだ」
悪霊はニヤリと笑う
「これはますます轢きたいねぇ あんちゃんを」
岡田鉄平容疑者 大型トラックの運送業者 飲酒運転をしている時横断歩道をゆっくり渡る年寄りに腹が立ちアクセル全開で轢き殺しそのまま逃走 逃走中も信号無視をし数人を轢いて重症を負わせている 危険運転致死罪の凶悪犯
玲夜を含む部員五人は悪霊と対峙している 藤田は包丁を操り次々と悪霊を切り刻む
「花藤くんと皆本くんはあの強そうな悪霊を頼むよ 僕は雑魚を相手する!」
花藤が目黒を見つめる
「おうよ!任せとけ! 焼死葬法 一花 炎殴!」
花藤は目黒に向かって大振りの炎を纏った右拳で顔面を狙う
「ま、待て!」
目黒が呆れた表情で花藤を睨む
「こんな馬鹿 初めて見たわ」
目黒は拳にメリケンサックを宿し花藤の拳に直撃させる
「くっ、こいつの拳硬すぎる…」
花藤の拳は炎を纏ったこともあり骨折まではいっていない だが相当痛めており右手が使えなくなる
玲夜が花藤に声をかける
「花藤!そいつは1人じゃ無理だ 俺と力を合わせて2人で倒すぞ!」
花藤が嫌な顔をする
「ちっ、ライバルと共闘は気が進まないがやるしかないな!」
目黒の腕がまるで筋肉を圧縮したような細いが異様な形となりメリケンサックは拳と一体化する
「2人で来ても変わらない 一瞬で終わらせる」
服部が玲夜の様子を見つめる
「さぁ、玲夜 一週間の努力をここで活かしてみせろ」




