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第四話 憎悪

知らない声が話を続ける


「俺の言った通りに体を動かしてくれ まずは構えだ」

「両手を顔の横まで上げ、脇を締める 右手が顔の近くで顎をガードし、左手は目の高さに構える」


「こ、こう?」


「よし、次は足だ 左足を一歩前に出し両足のつま先を相手に対して斜め45度に向け少し腰を落とす」


「おぉ、なんか見たことある」


玲夜はボクシングの右利きオーソドックスの構えの体勢になる


「それじゃあ一気に距離を詰めるぞ、次に教えるのはステップだ」

「前足の左足を少し浮かせ、後ろ足である右足で地面を蹴る この時注意するのは飛ぶんじゃなくて前に移動するように進む」


黒井は玲夜の体勢を見て驚く


「なに…あいつまさかボクシング経験者か? クソ、嫌なことを思い出させてくれるなぁ!」


黒井は激怒し炎を放出しようとすると同時、玲夜が言われた通りに実行


「相手からしたらまるで一瞬消えたように見える これを俺たちはゴーストステップと呼んでいる」


玲夜が一瞬消えたように見え黒井が混乱する


「はっ?」


次の瞬間、黒井の目の前に玲夜が現れ一瞬で間合いを詰められる


「なにっ?!このステップ…まさか!」


再び玲夜の頭に声が響く


「さぁ、いよいよ攻撃だ まずは左手を真っ直ぐ突き出せ、この時相手に当たる瞬間に拳を握れ!」


黒井の顔面にジャブが飛ぶ


「ぐはっ!」


「そして、素早く左手を引け 自分の腕をゴムだと思え」

「力を入れすぎだ もっと力を抜いて連発してみろ」


玲夜のジャブが次々と黒井は顔面を捉える


「く、クソが こんな初心者に負けるかぁぁ!」


黒井が打たれながらも無理やり攻撃を仕掛けようとする

玲夜の頭に次の指示が響く


「さっきのはジャブ つまり本命じゃない 右手を繰り出す時右足を外側に捻ると同時に体重をかけて腰を回転させる これがストレート だがおまけをつける」


玲夜がストレートを繰り出そうとした時拳から炎が出てくる


「な、なんだこれ?!」


「言っただろ、おまけをつけるって 思いっきりぶん殴ってやれ」


「あ、あつくねぇ…お、おう」


黒井の顔面に炎を纏ったストレートが直撃する

初めて味わった炎の熱さに黒井はパニックになる


「あ、あついよぉ!ぐわぁぁぁ!」


玲夜の頭の中で声が叫ぶ


「今だ!畳み掛けろ! ジャブ ジャブ ストレート ジャブ ストレート ジャブ ストレート ジャブ ジャブ」


黒井は玲夜の連打で何も抵抗できない


「ぐはっ!がはっ!」


黒井が腕を普通の形に戻しガードの体勢に入ろうとする


「このまま素人に負けてたまるか…」


玲夜の頭の中で声が響く


「これで最後だ KOするぞ(決めるぞ)

「ジャブ」


玲夜がジャブを繰り出そうとした時 黒井が動きを見て先読みをする


「ジャブか、やはり素人だから読める! このまま外に避けてカウンターをくらわせて…」


玲夜のジャブが黒井の顔面を捉えようとしたその時、黒井が外に避けてカウンターを仕掛けようとする

だが突然玲夜のジャブが消える


「はっ?これは…」


「そうだよ、フェイントだ」

「そしてKOするのは(決めるのは)こっちだ 右手の拳を横から繰り出し右足を軸に体重を乗せ、体幹と腰を回転させながらパンチを打つ」


黒井が思い出し叫ぶ


「ジャブのフェイントからのフック…服部(はっとり)いいいいい!!」


玲夜の拳が炎を纏い黒井を打ち抜く


「被害者の痛みを知れ」


黒井は吹っ飛び倒れる 霧のように消えていく中玲夜の姿を見て自分の過ちを思い返す

黒井の中学生時代はボクシングに明け暮れる日々だった コーチが黒井に向かって声を荒らげる


「ラスト1分!黒井、まだいけるだろ!」


「は、はい!はぁはぁ」


服部が黒井に声をかける


「黒井!最後までやりきれ!」


服部は得意のジャブのフェイントからのフックを黒井に打ち込む 黒井はもろにもらい倒れそうになるがなんとか踏ん張る 黒井は服部の発言に対して心の中で憎んでいた


「くそっ…わかってるよ でも限界なんだよクソ野郎」


タイマーが鳴りスパーリングが終了する 服部が黒井にアドバイスする


「もうちょっとガード上げろよ 隙だらけだったぜ」


黒井はムカつきながらも話す


「あ、ありがとう服部くん」


「おう!分からなかったら聞けよ?アドバイスしてやるからさ!」

「じゃあまたな!」

「うん、またね」


服部は俺と違って数々の試合に勝ってコーチからもまわりからも期待されていた その反面俺は負け続け成長が遅く同級生であることから服部と比べられどんどんやる気と自信を無くしていった そして徐々に服部への憎悪が溜まっていき殺意が芽生え始めた そんなある日

服部が俺に話しかけてきた


「黒井、お前ボクシングやめたら?」


「え…?」


「正直、コーチとかまわりのやつがお前の愚痴で気悪いつーか」

「お前、ボクシングのセンスないし違うことやった方がいいと思う」


服部の言葉に黒井は唖然とする


「ボクシングをやめる…?」


「ごめんな、でもお前のためを思って言ってるんだよ」


黒井は無理やり笑顔を作る


「はは、わかったよ 服部くんありがとう」


「おう、こちらこそ理解してくれてありがとう 違うところで頑張れよ!」


そして服部の言葉で俺はボクシングをやめた

ボクシングをやめてからは服部を恨み続ける日々で服部を殺す計画しか考えてなかった

それから数ヶ月が経った日のこと年1回行われる祭りが開催された


「気分転換にいってみようかな…」


黒井は何も買わずただ屋台で売っているものを遠くからベンチに座ってボーッと見ていた

黒井の目の前に3人組の男子が通る 黒井の耳にその3人組の話し声が通る


「服部今日来れないらしいぜ」


「えー?なんで?」


「両親が共働きだから病弱の弟を世話しなきゃいけないらしい」


「それは大変だな でも偉いな~あいつ」


「だよな~ あいつのためになんか買ってやろうぜ」


「賛成ー!」


黒井は3人組の話し声を聞いてニヤリと笑みを浮かべる


「チャンスだ 俺の計画が実行できる 絶好の…」


黒井は走って家に帰り服部を殺すために考えたものをリュックに入れて服部の家に向かう


「着いた、これで俺の恨みが晴らされる!」


黒井は服部の家のチャイムを鳴らす

ピンポーン 服部が玄関を開けて黒井の姿を見る


「おー!黒井!久しぶりだな どうした?」


「服部くん!栄養が豊富なおいしい飲み物見つけたから、ぜひ飲んでほしいんだよ」


「へぇー、そんなのあんのか! 俺の弟病弱でよ 弟にも飲ませたいんだけど」


黒井がまるでこの展開を知っていたような笑みを見せる


「ちょうど数本渡すつもりだったから2人とも飲んでよ」


「おう、ありがとな! 立ち話もなんだし中で話さないか?」


「うん ははっ」


黒井は服部の家の中に入り服部の部屋に案内される


「これなんだけど」


黒井はリュックの中から見たことないであろう海外のペットボトルのジュースを取り出す


「へぇー?こんなのあるんだな」


「うん、青汁と比にならないぐらい体にいいよ」

「せっかくだし、弟くんと一緒に飲んで感想を聞かせてほしいな」


「おう! まさるー!」


服部は部屋から出て弟を呼びに行く 黒井は頭の中で計画を見直している


「本当はとってもおいしい飲み物って言おうと思ったんだけど病弱な弟がいるなら話は別だ」

「栄養のある飲み物と言って上手く弟と服部2人を飲ませることに成功しそうだ」


服部と弟が部屋にくる


「こいつがまさる」


「こんにちは、黒井さん まさるっていいます!」


「まさるくん、こんにちは」


服部と弟がペットボトルを手に取りキャップを開けて一口飲もうとする


「じゃあ早速飲んでみるか」


「うん!」


服部は勢いよく飲み弟は少しずつ飲んでいる 黒井が問いかける


「ど、どうかな?」


服部と弟は笑顔で答える


「うまいよこれ!」


「とってもおいしいです!」


黒井が不気味な笑みを浮かべる


「それは良かった」


服部と弟に異変が起こる 2人とも視界がぼやけまぶたが重くなり座ることでさえ困難になる


「な、なんだこれ…ねむい」


「あ、あれ…」


服部と弟は横に倒れ眠ってしまう 黒井がリュックを背負い玄関に向かう


「さてと、眠らすことに成功したしあとは仕上げだ」


黒井はリュックの中から燃料とマッチを取り出し玄関を燃料まみれにする


「さようなら、服部くん」


マッチに火をつけて床に落とす 燃料があることから火は激しく燃え広がりすぐにまわる 黒井は玄関の扉を開けて何事もなかったようにその場を立ち去る

近所の人はみんな祭りに行っており誰も火事には気づかず、運が悪いことに服部の両親は残業で帰りが遅くなっていた

数分後 3人組の男子が服部の家に向かう


「服部、喜んでくれるかな?」


「どうだろうな〜」


服部の家に着き3人組の中の1人がチャイムを鳴らす


「おーい、服部!」


返事はなく3人組は違和感を感じる


「な、なんかおかしくないか? 変な音するし」


「おう、おい!服部!」


3人組のうちの1人が扉に手をかける 玄関が空き3人組は驚く


「あ、あいたぞ! 服部!」


玄関の向こう側に広がる光景に目を疑う 家の中は火の海と化していた


「う、うそだろ…は、早く消防署に電話しないと!お、おいはやく!」


「お、おう!」


その後 消防車と救急車が呼ばれ服部と服部の弟は救出され運ばれていった

数日後 とある病院で服部の両親と医師が話している 母親は泣きながら医師に話しかけており父親はうつむいて黙っている


「先生…! うちの子は助かるんでしょうか?」


医師は深刻そうな顔で口を開く


「残念ながら目を覚ます可能性は低いかと…」

「目覚めたとしても全身やけどに後遺症もかなりひどい状態なのでスポーツは難しいかと」

「特に弟さんの方はかなり厳しく危険な状況です」


医師の言葉を聞いた瞬間母親は膝から崩れ落ちただ泣くことしかできない


「うぅ…お願いだから目覚めて…」


数ヶ月後 服部は奇跡的に目を覚ました ナースがたまたま目を覚ますところを目撃する


「服部くん!わかりますか?」


「はい…わ、わかります」


「すぐに先生を呼んできますね」


ナースは医師を呼びに行き医師が服部の状態を確認する


「すごいな、奇跡と言っても過言ではないよ お母さんとお父さんきっと喜んでくれるよ」


すぐに両親が病院に駆けつけ服部に会いに行く 母親は泣きながら服部を抱きしめ、父親は目覚めた服部の姿を見て静かに泣いている


「こうじ!よかった…本当によかった」


「母さん…」


服部は両親に今まであったことを話される


「そ、そうだったんだ」


服部は自分の焼けただれた手を見る


「俺、もうボクシングできないんだな」


母親が悲しそうな目で服部を見つめる


「こうじ、火事が起きる前なにがあったか覚えてない?」


服部は記憶がフラッシュバックする


「そうえば、黒井ってやつにもらったジュースを飲んでから何も覚えてないな」


服部の証言に両親は警察にそのことを話し黒井は逮捕された

服部の弟は目を覚ますことはなく時間が経つだけだった こうして放火事件は幕を閉じる

だが数ヶ月後服部がリハビリをしている時のこと、母親が話しかけてくる


「こうじ!あの黒井って子自殺したらしいわよ」


「え?」


黒井が自殺する前日


「はぁ…もう失うものはないし未練もない もう俺の人生はおわりでいいや」


黒井は刑務所内で自殺をした後、罪償監獄に送り込まれ拷問を受け続ける日々を送ることになった

場面は戻り玲夜が黒井の消えていく姿を見つめている 服部は独り言のようにつぶやく


「黒井…ごめんな 俺のせいでお前を変えちまった 最初はボクシングが一生できないことでお前を憎んだけど俺よりずっとお前はボクシングができなかったんだな 次からは絶対黒井みたいな思いをするやつがでないようにボクシングを継いでやる だからどうか安らかにな」


玲夜が口を開く


「だ、誰か知りませんがありがとうございます あなたのおかげで何とか勝ちました」


服部が気持ちを切り替える


「おう、こちらこそありがとな ところでよ…これからもボクシング練習してみないか?」


玲夜がにっこり笑う


「お願いします、俺は強くならないといけないので」


服部が心の中で覚悟を決める


「黒井、俺はこいつを必ず楽しくボクシングさせて強くしていくからな!」

「じゃあまずは坂道ダッシュからだ!」


「い、いきなり?!勘弁してくださいよ!」


武綱が玲夜を見つめている


「守護霊が二体だと?それに霊性条件はさっきの戦いを見たところ満たした様子はない」

「玲夜…貴様は見れば見るほど気になってくる」


玲夜が倒れそうになる


「おっとっと…流石に二体も相手したらキツイな…マジでぶっ倒れそうだ」


武綱が玲夜に近づく


「最初であそこまで守護霊の力を使いこなすとは大したものだ」


「いやぁ、服部さんが教えてくれたんだよ 倒し方…いや!KOのしかたをな!」


「ふんっ、まぁまだまだだがな あと貴様は少し変わっている」


「変わってる?」


「普通、守護霊は一体までしか力を使えない なのに玲夜は今の時点で二体だ 」


「そ、そうなのか?!」


「それに霊性条件を満たしてない点もおかしい」


「そうえば、守護霊の力を使えるようになる前変な夢?みたいななのを見るんだよな」


「夢?」


「おう、海で溺れて死んだ夢とか火事で全身火傷になって死にかけた夢とか」


「溺死に焼死しかけた?それと霊性条件が関係あるのか?」

「話したいことはまだ山ほどあるが、とりあえず貴様はボロボロだからここにいろ 3階の悪霊の相手は拙者がする」


「わ、わかった」


武綱は階段で3階に上がる 3階には服屋があり洋服などの様々な服が並んでいる

服屋に一体の影が動いている 武綱に気づき正体を表す


「あらぁ?子猫が迷い込んだと思ったんだけどただのゴミじゃない?」


「ほう、貴様が3階の主か」


武綱の目の前には派手でオシャレな服を身に纏まった160cmぐらいの女性の悪霊が立っている 女性の悪霊は呆れた表情で武綱を見つめる


「はぁ、ゴミが喋んないでくれる?私は服選びで忙しいの 見てわからない?さっさと去りな」


武綱が鼻で笑う


「醜い心を持っている貴様にそんな立派な服など似合わないぞ」


女性の悪霊が激怒する


「なんですって!もういいわ、あんたは痛い目見て消えてもらうわよ」


武綱が構える


「消えてもらうのは貴様の方だ」















































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