第三話 死因
「どうなってるんだ?!なんで俺は海の中にいるんだ?」
「とりあえず!陸に上がらないと!って…なんだこれ…体が全く動かない…」
玲夜は自分の体を見渡す
「至る所が切り刻まれてる?しかもこれ…俺の体じゃない?!」
「見た感じ…大体…幼稚園児から小学校低学年の体っぽい?」
「くっ…まずい、息がそろそろ限界だ…これが溺死なのか?」
「あっ…ゴポゴポ…」
玲夜は窒息して溺死してしまう 空から謎の少年が玲夜の姿を見て独り言のように喋る
「これで僕の力をあげれるのかな?」
玲夜が目を開けるとショッピングセンターの中に戻っている
「うん…?あれ…生きてる…?体も俺の体だし…さっきのは一体なんだったんだ…」
玲夜が前を向くとこちらに迫ってくる悪霊を見てしまう
「ってま、まずい!あいつがこっちに近づいて来てる?!」
「武綱は?!よかった…こっちにきてる」
武綱は玲夜を見つめて疑問を抱く 玲夜の上に半透明の少年が浮いている
「ん?なんだあの小僧…?さっきまでいなかったのに」
「も、もしや…玲夜の守護霊か!これは見物だ!玲夜…悪いがお前の守護霊の力見させてもらうぞ」
「霊性条件を満たせたからあの小僧が現れたんだろう」
武綱は止まり玲夜の様子を伺うが玲夜は急に止まった武綱を見てパニックになる
「は?!なんで急に止まるんだよ?!武綱!助けてくれ!おーい!」
玲夜の声は武綱に届いていない 悪霊が玲夜に向かって刺そうとする
「まずは1回目だぁ!さすがに死ぬなよ?」
玲夜は悪霊の刃物のような手が迫ってくるのに対して目をつぶって両腕をクロスして必死に防ごうとする
「うわああああああ!!」
悪霊の刃物のような手が両腕に当たろうとしたその時、玲夜の両腕が水のように液体になり相手の攻撃を流す 悪霊の手は地面に刺さり悪霊は驚き玲夜の両腕を見る
「なっ、俺の攻撃を流しただと?!」
玲夜は何が起こったのかわかっていない
「な、なんだ?!なんで俺生きてるんだ?!とりあえず逃げる!」
玲夜は悪霊と距離をとるために走る 走る際に玲夜の足から水が出てきて流れるように地面を滑っている
「俺の足から水が出てきた?! すげぇ…移動がすごく楽だし速い!」
玲夜の耳元に少年の声が囁かれる
「お兄ちゃん!後ろ!」
玲夜は少年の声を聞いて立ち止まり後ろを振り返る
「うわぁ!追ってきてる!く、来んな!」
玲夜は悪霊に向かって手をかざす 手に力を入れると手からホースのように水が放出される
「うおっ!やっぱ…足から出るってことは手からも出るんだ!」
悪霊は水の攻撃を食らうが水圧がホース並みなので片手で防ぎながらこちらに近づいてくる
「はっ?全然効いてない?!ど、どうすればいいんだよ!?」
武綱が動き出す
「玲夜、最初にしてはよくやった方だ あとは任せろ」
武綱が悪霊に向かう 悪霊が刃物のような手で武綱の斬撃を防ごうとするが手ごと斬られ頭が宙を舞っている
「なっ…?」
「玲夜の良い成長になった、そこだけは感謝する」
悪霊は霧のように消滅していく
武綱が玲夜に問いかける
「貴様の守護霊の力 見させてもらったぞ、貴様の弟のようだな」
玲夜が疑問を抱く
「これが守護霊の力なのか…でも俺には弟なんていないぞ?」
武綱が少し驚き問いかける
「じゃああの小僧とはどういう関係なんだ?」
玲夜が武綱の発言で混乱する
「いや、一体誰の話してるんだよ?俺はその小僧なんか見てないぞ!」
武綱が驚き辺りを見渡す
「確かに小僧がいたはずなんだが…なぜいないんだ?」
「それによく考えたらこいつはいつ霊性条件を満たしたんだ?」
武綱は玲夜に命令する
「玲夜、もう一度さっきの守護霊の力を使ってみろ」
玲夜が頷く
「お、おう?」
玲夜が手をかざし水を放出しようとしたその時、上の階から衝突事故のような大きな音が鳴り響く
「うわっ?!今度はなんだよ!」
武綱が玲夜に問いかける
「おい、このショッピングモールとやらは何階だ?」
玲夜が答える
「え、えっと、3階まであるよ ここは1階」
武綱が気配を察知する
「どうやら、この1階だけではなさそうだな」
階段の奥から不気味な雰囲気が漂ってくる
「うお…2階と3階にもいるのか?」
武綱が険しく答える
「あぁ、これは1階の奴より遥かに強いぞ 玲夜、いくぞ」
玲夜が驚き止めようとする
「いや!俺たち2人で勝てるのかよ?!ここは一旦引いた方が!」
武綱が鼻で笑う
「ふんっ…玲夜 拙者を舐めているようだな 見せてやろう、拙者の3割程をな」
玲夜が息を飲む
「うそだろ…さっきのは3割も出してなかったのか?」
武綱が笑う
「あんなの拙者からしたら1割も満たんな」
「これで少しは安心できたか?」
玲夜がゆっくり息を吐く
「わかった、じゃあいくか このクソ不気味な階段の先をよ」
玲夜と武綱は階段を登っていく
ショッピングモールの2階はゲームセンターがあり、そこにはメダルゲームやクレーンゲームなどゲーム機が様々配置されている 武綱が不気味な気配をより強く感じる
「ここが2階…さっそくおでましか」
様々なゲーム機の椅子に真っ黒で不気味な影が座っている 全員が玲夜と武綱の方を向いているがわかる
玲夜が冷や汗をかく
「なんだこれ…まるで1階にいた悪霊とは訳が違う」
座っていた悪霊のうち1人が口を開く
「1階のあいつらはなにしてるんだ?まさかあそこの人間ごときにやられたのか?」
違う悪霊がヘラヘラ笑い始める
「まぁ別にいいんじゃねぇの?黒井さんが喜ぶだろ」
「ははっ!たしかにそうだな そうと決まれば呼ぼうぜ」
悪霊が大きな声で叫ぶ
「黒井さーん!人間が迷い込んできたっすよ!」
悪霊が叫んだあと、奥の方から何かが歩いてきている
玲夜が薄目で遠くを見つめる
「あ…?あいつだけ何か違う…」
身長は大きくなく170cmぐらいで他の悪霊と比べると人間らしい姿 悪霊の1人が話しかけ玲夜を指差す
「黒井さん!あいつっすよ!いつも通りやっちゃってください」
黒井はじーっと玲夜の方を見つめそっと口を開く
「燃やしがいがありそうだな」
黒井の腕が変形し火炎放射器のような形になる
黒井がニヤリと笑みを浮かべる
「全身火傷はつらいよ?」
黒井学容疑者 生前は現住建造物等放火罪で逮捕されており2名に全身火傷を負わせている
黒井が玲夜に火炎放射器のような腕を向ける
玲夜は慌てて武綱に話しかける
「た、武綱!はやくやっちゃってくれよ!」
「ってあれ?!なんでいないの?!」
武綱はいつの間にかゲーム機の後ろに身を潜めていた
「すまんな、玲夜 ああは言ったものの貴様の守護霊の力をみたい どのような可能性があるのか」
黒井が火炎放射器のような腕から炎を放つ
玲夜が炎を見てすぐ手をかざす
「やべぇ!、こうなったらやってやる!」
玲夜の手から水が放出され黒井の炎と衝突する
武綱が玲夜の様子を観察している
「ふむ、咄嗟に水を放ったのは良い だが」
玲夜から放たれる水が黒井の炎によってどんどん押されている
「くっ、このままじゃ水が押し負けてやられる!」
武綱が前へ出る
「威力はまだまだだな」
たったの一振…たったの一刀が凄まじい暴風を巻き起こし黒井の炎を消し去る 黒井以外の悪霊は暴風に耐えられず吹っ飛んでしまう
上に向かって大きく一振 一閃が上に吹っ飛んで浮いている悪霊を切断する
黒井が驚き武綱に視線を向ける
「ちっ!あの刀いつからいたんだ しかもこの威力只者どころじゃない」
武綱が玲夜に指示する
「今だ、玲夜! そいつ向かって走れ!」
玲夜は武綱の言葉のとおりに黒井に向かって走る 足から水が出てきて速さが上昇する
「もっと速く、滑って、まるで流れるように…」
黒井が向かってくる玲夜に火炎放射器のような腕をかざして迎え撃とうとしている
武綱が次の指示をかける
「玲夜、飛べ!」
次の瞬間、黒井の腕から炎が放出される それと同時に玲夜が跳躍する
「飛べつったってそんなに高く…」
玲夜の足の下から水が出て水が床に突く
「たっか?!でもこれ着地した時足折れるくね…?」
武綱が叫ぶ
「玲夜!そいつを思いっきり踏んづけてやれ!」
玲夜は黒井に向かって上から急落下していく 上に手をかざし水を放出し落下のスピードを上げる
黒井が両手をクロスにして受け身の体勢に入る
「クソ これは間に合わない」
玲夜が足に水を纏わせ叫ぶ
「うおおおお!!俺の足よ、どうか折れないでくれぇー!!」
黒井に玲夜が衝突する 玲夜は後ろに飛んで距離をとる
足の痛みに耐えながら黒井の様子を見る
「いってぇ!でもちょっとは食らっただろ」
黒井が両手を元に戻し玲夜を見てニヤリと笑う
「はは…君面白いね 水という弱い能力をここまで活かすとはね おかげで腕にかすり傷がついてしまったよ これはお返ししないと」
玲夜が絶望する
「嘘だろ あの落下でただのかすり傷? こんなのどうすればいいんだ」
黒井が両手を玲夜に向かってかざそうとした時武綱が助けに入ろうする
「回避 移動は優れているが欠点は攻撃力か 良いものが見れた さてさっさと助けるか」
玲夜は黒井の攻撃が来ると思って目をつぶる
「やべぇ…どう考えてもこいつを倒す方法が見当たらない 結局武綱に頼るしか…」
「それにしても静かだな 武綱がもう倒してくれたのかな」
その時 幼い声が玲夜の耳に響く
「お兄ちゃん!!」
玲夜は目を開けて目の前の光景に驚く
「ん? どこだここ!? 誰の家なんだ?」
幼い男の子が玲夜に話しかける
「お兄ちゃん!やっと起きた…なんか部屋の中が息苦しいの あと熱い」
玲夜は状況が呑み込めていない
「誰なんだこの子 しかもこの子の言う通り息苦しい とりあえず外へ!」
玲夜が外に出ようと部屋を出て階段を降りようとしたその時自分の目を疑う
「な、なんだよこれ 下の階が炎で焼き尽くされてるじゃないか…」
玲夜が状況を理解する
「この家は今燃えているんだ つまり火事…」
「どうすればいいんだ 消化器なんてないし何よりこの子がまずい」
幼い男の子の息が荒くなっていく
「ハンカチ、ハンカチかタオルは!」
玲夜は部屋中の引き出しを漁りハンカチかタオルを探しハンカチを見つけすぐさま男の子に渡す
「あった! これで口と鼻を抑えて!」
男の子はハンカチを受け取り口と鼻を抑え少し楽になる 玲夜がハンカチを抑えながら携帯電話を探して119に連絡する
「なんでこんなに火が回るのが早いんだ?それに近所の人もこれだけ火が回れば気づくはずなのに」
「119番消防です 火事ですか 救急ですか」
「火事です!」
「あなたのお名前とご住所を言ってください」
玲夜は戸惑う
「住所…?ここがどこかもわからないのにそんなもの知らないし、俺はさっきお兄ちゃんと呼ばれていたからこれは俺の体じゃない…名前もわからない」
「この子が住所を知ってたとしてもとても言える状態じゃない…どうすればいいんだ」
「見たところここには窓がない 個人情報が記載されているものもない」
「どうされましたか!」
「やばい 頭使い過ぎたのかな 倒れそうだ それに焦ったせいで煙も吸いすぎた 」
玲夜は倒れてしまう 気を失っている間火がどんどん家中をまわり玲夜のいた部屋まで燃え広がる
燃える熱さでぼんやり目が覚める
「火がここまで来たのか 全身が熱い 苦しい でもそんなことよりこの子を助けられなかったのが悔しい 自分が情けない 」
救急車と消防車のサイレンの音が聞こえてくる
「このサイレンの音 助けがきたのか でもこの状況で生きれるのか…」
玲夜はまた気を失う その時知らない声が聞こえてくる
「これで君に力を与えれる どうか仇をうってほしい 火をつけたのは黒井なんだ あいつの倒し方は教えるから どうか俺の弟と俺の人生を燃やした…あいつを…倒してくれ」
玲夜がふと目を開けるとさっきの場面に戻っており黒井が自分に腕をかざそうとしている
「あれ…ここは?さっきのは一体なんだったんだ…?それに倒してくれって 俺にそんな力…」
玲夜の脳に直接声が響く
「今からあいつの倒し方…いや、あいつのKOの仕方を教える」
玲夜はその声に集中する
「けいおー?」




