第十話 搦手
横に放出される大雨が高原を襲う
「どう防ぐかな」
高原は迫ってくる大雨に対して巨大な傘を出現させる
巨大な傘は回り始めて風を起こす
「お返ししますね」
高速で回転する巨大な傘は強風を巻き起こし横に放出される大雨を跳ね返し青柳の方に向かわせる
「まさか跳ね返すとはね!」
さらに小さい傘を数本出現させそれを高速で回転させる そして傘の先っぽを発射する
傘の先っぽは高速で回転するのもあってかスピードが確実に上がっており回転もかかっているのでまるでドリルのように鋭い
「小さい分避けづらいな!」
青柳は跳ね返ってくる大雨に対しては無傷で何事も無かったように立っているが迫ってくるドリルのような傘の先っぽに防御の体勢へと入る
「コントロールだけじゃどうにもならないから自分の勘を信じようかな」
青柳は体の一部を水にして一つ二つと傘の先っぽを避けていく だが軌道が複雑になっていくごとにだんだん体をかすめてしまう
「さすがに勘は厳しかったかも?」
高原が一歩前に出て口を開く
「そろそろ終わらせましょうか」
青柳がニヤリと笑う
「奇遇だね、僕もそう思ってたところだよ」
高原が開いた状態の巨大な傘を青柳に向かって飛ばす 青柳の視界が傘で覆われる
「見えないのならコントロールも意味を成さないでしょう」
開いた状態の巨大な傘を傘の先っぽがドリルのように鋭く突き破る それと同時巨大な傘は消えていき傘の先っぽが青柳を襲う 青柳は視界を塞がれていたので対応が遅れてしまう
「これはやばいね さすがに躊躇できないな」
突如上からまるで滝のように流れる水が傘の先っぽを地面にたたき落とす
「霊力をかなり使うからあまり使いたくなかったんだけど仕方がないか」
「これはこれは大胆な防ぎ方をしますね」
青柳が高原に向かって踏み込む
「防いだばっかじゃいられない!」
流水刃剣型を片手に握り高原に振り下ろそうとする だが青柳の頭上に無数の閉じた状態の傘が構えている
「もうそれは読めてるよ」
振り下ろそうとしていた青柳だが流水刃 剣型を上にふるって変則的に閉じた状態の傘を見ずに一太刀で真っ二つにする
「少しは食らってほしいな」
青柳が高原に流水刃 剣型が振り下ろす 高原が傘を開きガードの体勢をとる
「思ったんだけどさそれ自ら視界を遮ってるよね」
流水刃 剣型がピタッと止まり高原の後ろから無数の水の弾丸が迫る
「これは一本取られましたね」
後ろが無防備の高原は背中に無数の水の弾丸をもろに食らってしまう
「ふっ…!」
高原の身体中を突き破り無数の穴を作る
「食らってしまいましたが消えることはありません」
高原は自ら自分の足に傘の持ち手の部分をかける 片足ずつに前と後ろに二つつけており次の瞬間高原の足の前についている傘の持ち手の部分が動き高原は後退する
「これでスピードアップです」
青柳が目を細める
「それちょっとダサいね?」
高原が片手に傘を持ち周りに無数の閉じた状態の傘を出現させ回転をかける 回転の威力は先ほどとは凄まじくまるで最後の力を振り絞る様
「傘にかっこよさなど求めないでください」
無数の閉じた状態の傘が発射する同時、高原の足の後ろについている傘の持ち手の部分が動き高速で前に進む 青柳が流水刃 剣型を構える
お互いの武器が激しく激突するがやはり傘の方が削れていく だが発射した無数の傘が青柳を襲う
「おっと危ない」
青柳は傘を避けるが体勢が崩れていき腕の力が避けるごとに弱まってしまう それを狙うかのように高原は一気に攻める
「クソッ、体を水にしても絶対食らってしまう 僕が身体の一部しか水にできないのを計算して確実に急所を狙ってきてるな」
「反撃のタイミングは…」
「あ、傘を離してしまいました」
高原は突然傘を手放さす 傘は手放したと同時に開いて回転する
「ここで回転か!」
「もうちょっとタイミングを見計らっておきたかったんだけど…今やるしかないみたいだね」
「溺死流法 三花 死之雨」
高原の頭上からものすごい勢いの大雨が降ってくる
「今度は引っかかりませんよ」
高原は上そして360度のあらゆる方向に開いた状態の傘を出現させ完全防御に徹する
ものすごい勢いの大雨が高原を襲うが攻撃は届いていない様子 だが大量の傘を出現させたことで青柳と相対していた回転している傘の威力が弱まる
青柳は回転している傘を切り刻みなんとか耐える
「攻撃の隙がまるでないな 一部を除いて」
「まぁそりゃそうか、誰も傘を下にさすわけないしな」
高原の下から大雨がものすごい勢いで上昇する
「予想できなかったよね 下から振る雨なんて」
高原を守っていた傘が次々と消滅していき高原の姿があらわとなる
「す、素晴らしかったです 私の想像をはるかに超えました」
高原はボロボロで人間界でいえば瀕死の状態
「溺死流法 三花 死之雨 天地降水 上と下で降らせるから強力だけど霊力をめちゃくちゃ使うんだよ」
高原は立っているのも限界な様子
「お見事…」
青柳は高原に向かって歩く
「あんたこそお見事だったよ」
高原が少し笑う
「はっ…あなたみたいな人ともっと早く出会えていればなにか変わってたかもしれませんね」
「僕もあんたみたいな人ともっと早く出会ってれば仲良くなれたかもしれないよ」
高原が目をつぶる
「ありがとうございます」
青柳が流水刃 剣型で高原の首をはねる 高原は霧のように消えていく
「ふぅ、僕ももっと強くならないとな」
こうして青柳と高原の戦いが幕を閉じた
そして郷田と岡田の戦いの続きにうつる
郷田に向かって四つのタイヤが発射される
「爆死乱法 三花
大爆発 四連爆撃」
向かってくる四つのタイヤに対して一つずつ郷田は爆発を纏った拳を叩き込む
「ふんっ!」
タイヤは爆発により粉々になって破片が吹き飛ぶ
「さすがはあんちゃんだ!でももう遅いぜ」
スペトラの足の部分のトラックが郷田に向かってタイヤが回りスペトラが動き出す
図体には似合わずとんでもないスピードで迫る
「さっきも言った通りトラックの最高時速は90キロ 普通のトラックならな」
岡田が声を荒らげて笑う
「だが俺のスペトラちゃんは200キロ出るんだよ!ははっ!」
まさに回避不能なスピード さらに隙がない巨大な体
「たしかに、脅威だな」
「ところで貴様は…足元を気をつけたことがあるか?」
「そんなのいちいち気にするわけ…!」
スペトラは郷田の目の前まで来た瞬間、足元が爆発し背中から大の字に倒れてしまう
「ちくしょう、ここで地雷ってやつか!」
そう言って岡田はスペトラの足の裏を地面につけて勢いよく上半身を起き上がらせる
「時間がないからはやく死んでくれよ!」
郷田に向かってスペトラの拳を振りかざす 足と同じまたはそれ以上スピードで次々と叩きつける
「大きな拳にこのスピード…捌ききれるかどうか」
郷田は拳に爆発を纏い応戦する お互いの拳が衝突し合いスペトラの拳が少しずつだが削られていっている
「やっぱあんちゃんつぇな! けどいつまで続くか!」
衝突する度郷田の拳にも傷が入っていく さらにはだんだん拳でさばききれずお腹 脇下 太ももなどにダメージが通ってしまう それをいいことに岡田は調子になってさらに連撃を重ねる
「ははっ!もうすぐあんちゃんは死ぬなぁ!」
続く連撃に郷田は応戦するのをやめて防戦一方
「どうしたんだよ!あんちゃん さっきの威勢は!」
連撃の中の一つが郷田の腹に直撃する
「くはっ…!」
郷田は腹のダメージが大きかったせいかガードが崩れ膝から崩れ落ちる
「じゃあな、あんちゃん 楽しかったよ」
膝をついている郷田に向かって岡田はスペトラの拳を振りかざそうとする
「しねぇぇぇ! くっ…!がはっ!」
スペトラの拳が寸前で止まる 岡田がなぜかもがき苦しむ
「なんだ…めまいに頭痛?それに体が重い 」
郷田がニヤリと口角を上げる
「苦しいだろう?」
スペトラの頭の窓から顔を出し郷田を睨みつける
「あんちゃん…なにしたんだ…ぐはっ!」
スペトラがだんだん消えていき岡田は地面に落ちる
郷田が立ち上がり岡田に近づくように歩く
「さっきの攻防は貴様の連撃をさばくためだけにやったことじゃない」
「ど、どういうことだ…」
「対悪霊放射線を気づかないように放射するためでもあったんだ」
「対悪霊放射線…?」
「いやぁ、窓を開けていたからな 容易く浴びせられたよ」
岡田は先ほどの攻防を必死に思い出す
「くそっ…!あの連続の爆発と同時に放射線を生んで俺に浴びさせたのか」
「その通り、まぁ目視できないから気づけないのも無理はない」
岡田が立ち上がろうとするが体が重く動かない
「くっ!体が重すぎる…!」
「無駄だ、そもそも放射線は白血病やがん、さらには障害などを発症させる最悪なものだ」
岡田は郷田の話を聞かずトラックを出現させようとするがぼやけたようなトラックしか出現しなく最終的に消えてしまう
「私の対悪霊放射線は普通の放射線の何倍も辛く人間が発症する白血病やがんを悪霊にも発症させるように改善した」
「さっきから何言ってんだよ…だいたい…ぐはっ…悪霊は死んだ身…白血病もがんも発症するわけないだろ」
「貴様の身に起こっていることがなによりの証拠だろう?」
岡田の体はさらに重症化する
「くっ…!な、なんでだよ!俺は死んだ身なのに!」
「では、病名をつけたら納得するか?」
岡田に向かって郷田が拳を振り下ろす
「病名は…黒祓病」
郷田は岡田の頭に爆発を纏った拳を直撃させる 頭が潰れ地面に叩きつけられる
岡田は霧のように消えていく
「脅威な敵だった これで少しは轢かれた被害者が報われるといいんだが…」
郷田は桜蘭城を見つめる
「青柳副隊長そして皆本くんを含む部員たちからの連絡がきていない」
「つまり彼らも無事に倒したんだろうか」
岡田と郷田の戦いが終わり郷田は再び桜蘭城に向かう
郷田は玲夜たちがいる小天守の中に入る
「倒せたみたいだな」
部員五人が一斉に郷田の方を向く 玲夜が口を開く
「郷田隊長…そっちも終わったんですね」
「あぁ、君はすごいな そして」
郷田が花藤の方に視線を向ける
「彼も」
奥から足音が聞こえてくる
「あれ?みんな揃ってる」
足音が聞こえた方に全員が視線を向ける 視線の先には青柳の姿があらわになる
「青柳副隊長…!」
「君も無事だったか」
「いやぁ、結構強敵で驚きましたけどね〜」
「私も同感だ」
青柳が玲夜に近づく
「勝利おめでとー!これはお祝いしないとね」
「え、祝うほどのことじゃ…」
「ね!みんな!」
青柳が振り返り玲夜以外の四人を見つめる 四人とも笑顔になる
「私は賛成です!」
「僕も」
「俺ももちろん」
「あぁ!ぱーっとやろうぜ!」
青柳が素早く花藤の背後にまわる
「君は祝われる側だよ?」
「うおっ?!急に背後にまわるのやめてくださいよ!」
「ははっ! 他のみんなもよく頑張ったね」
郷田が全員に声をかける
「それでは基地に戻るぞ」
「了解!」
郷田と青柳と玲夜含む部員五人は悪霊退散部隊の基地門の前に立つ 郷田が違和感を感じる
「ん…?騒がしい それに門の護衛はどこへ…?」
門を開けると多くの部員が負傷しており治療されている そこには指示を出す星野訓練長が動いている 郷田は星野に近づき声をかける
「星野訓練長、何があったんだ?」
「郷田隊長!実はさっき悪霊からの奇襲を受けたんです」
「奇襲だと…?」




