第一話 悪霊
地球という人間界の空の上には霊界が存在する
そして霊界は「悪霊界」と「守護霊界」の2つに分かれており罪を犯した者または人として悪の心がある者は「悪霊界」に人を助けたり人として良の心がある者は「守護霊界」に死んだあと死後裁判所で閻魔によって送り込まれる、悪霊界と守護霊界の間は閻魔が結界を貼りお互いに侵入できないようにして争いを事前に防いだ
悪霊界は大きな刑務所のような建物、罪償監獄がありそこで地獄務官によって毎日拷問をされて自分の罪がどれだけ重かったのか思い知らされる地獄のような世界
一方、守護霊界は平和な街のような所で自分の身内の人間や親友などをタブレットのようなもので見ることができ天国のような世界
霊界は人間界を見れるだけで触れることも話すこともできない最強結界が貼られている死者の世界だ それと人間界と霊界には時差があり霊界の方が早く時間が進んでいる
もちろん人間界も霊界を見ることも触れることもできない だが…それも過去の話になってしまう
ある日突然、人間界と悪霊界の間にある最強結界が何者かの手によって亀裂が走り大きな穴があいた
同時刻、人間界では巨大な音と地震が発生した
地獄務官は亀裂が起きた場所に向かうが紫髪のロングヘアーのシスターのような格好をした女性が立っており立ち止まってしまう
次の瞬間、紫髪の女性が地獄務官に向かって紫色の光線を手のひらから放ち次々と消滅させていく
圧倒的な力でその場にいた数百人の地獄務官を全滅させて罪償監獄の正門を破壊し一部に穴を開けた
悪霊たちは異変に気づき次々と罪償監獄から出ていき外の様子を見にきて紫髪の女性に近づいていく
悪霊たちはそれぞれが紫髪の女性に対して魅力や感激を抱いており互いにコソコソ話し合っている
紫髪の女性は悪霊たちにこう言った
「極悪な死者どもよ!、貴様らにチャンスをやる」
悪霊たちはザワつき偉そうな何者かに怒りを感じる者もいた 一人の細い体の悪霊が問いかける
「急に現れてなんなんだ?!お前の目的は一体なんだよ!」
女性は軽く自己紹介を始める
「私の名前はアクア 貴様ら死者の正に女神と言っていいだろう」
一人のガタイのいい悪霊が鼻で笑いアクアに言う
「何が女神だぁ?ずいぶんと偉そうだなぁ?」
アクアが一人の悪霊に言う
「雑魚は黙っておけ、さっさと私の話を聞け」
一人の悪霊が腹を立ててアクアに突進する
「はぁ?雑魚だと? てめぇ!調子乗るのもいい加減にしろよ!一発ぶん殴って態度を正してやる!」
アクアは手を一人の悪霊にかざす
「はぁ…話を聞けばいいものを…脳みそがないのか?あ、死んでるからないか、」
一人の悪霊はアクアに殴りかかろうとする
「消えろや!クソ野郎!」
アクアの手から紫の光弾が出てくる
「消えるのは貴様だ、身の程をわきまえろ」
一人の悪霊は一瞬にして紫の光弾によって消滅された
アクアが何事もなかったように口を開く
「さて、話の続きをしようか」
悪霊は消滅したら二度と蘇ることはできなく存在そのものが消えてしまう
実際、地獄務官の手によって消滅した者は数え切れないほどにいる、そして他の悪霊が消滅したところを見た悪霊も少なくはない
それもあって悪霊たちはアクアの圧倒的強さに恐怖を抱き本能的にアクアの話を聞こうとする
「貴様ら悪霊は私のおかげで人間界に入ることができる」
悪霊たちは驚愕してお互いに顔を見合わせる
「ま、マジかよ?!」
「触れたり話すことができるのか…?」
「あ、あいつ何者なんだよ?!」
アクアが口を開く
「貴様ら、黙れ」
悪霊たちは一瞬にして静まり返る
アクアが話の続きをする
「もちろん…ただでは人間界に入れることを許可しない ある条件を飲んだ者だけ許可する」
「その条件は…人の命を奪うことだ、どうだ?お前らの大好きなことだろう?」
悪霊たちはニヤニヤと悪魔的な笑みを見せる、元々悪霊とは罪を犯した者で全員が人の命をものだと思っており人の心がない正に悪魔なのだ
一人の不気味な悪霊がアクアに問いかける
「本当に人の命を奪ってもいいのか?またあの快感が得られるのか?」
アクアが口角を上げながら話す
「気色の悪いやつだ、そうだ、命をいくらでも奪っていい ただし殺し方にも条件があってな」
「お前たち悪霊が人間を殺したら殺された人間の魂が浮かんでくる それを集めて私の元へ持ってきてほしい」
不気味な悪霊が笑みをこぼす
「本当にそれだけでいいのか?俺はその条件…飲むぞ だから…早く人間界に行かせろ…」
アクアがニヤリと笑みを浮かべる
「あー、それともう一つ言い忘れていたが…魂を100個集めた者は生き返らせてやる」
悪霊たちがまたもや驚愕する
拷問以外何もないこの世界から脱出する絶好のチャンスがめぐってきたのだ
「なんだと?!」
「生き返ったら食べることも寝ることもできるぞ!」
「こんな地獄な所にもいなくてすむ!」
アクアが突然、片手を上にかざす
「贈罪」
アクアの手のひらから無数の紫黒い光が放つ
悪霊たちはその光を浴びて困惑する
アクアが大声で悪霊全体に声をかける
「どうだ!貴様ら!条件を飲む気になったか?なった者は人間界に飛び込め!」
「あとそれと貴様ら悪霊はこの私がある特別な力を一人一人にプレゼントした!」
アクアが満面の笑みを見せる
「私のプレゼントは人間界で開けてみろ」
光の正体を察した悪霊たちは次々と大きな穴に飛び込んでいく そしてアクアは他の場所の罪償監獄に行き悪霊たちを解き放っていった
こうして人間界にそれぞれの欲を持った悪霊たちが侵略していく…
数十分前…(夜中)
コンビニに1人の男がレジ打ちをしている
「いらっしゃいませ〜 こちら温めますか?」
俺の名前は皆本玲夜コンビニアルバイトをしている高校三年生だ
なぜ俺がアルバイトをしてるかって?それは俺の家庭の事情が原因だ
俺の母親は俺が生まれてすぐ亡くなって父親は数年前病院で息を引き取った まぁそんなことがあって両親が残した一軒家で一人暮らしをしてなんとかお金を稼いで生活をしている
最初は父親の死なんか受け入れられなくて大泣きしたし葬式は涙も出ないぐらい感情が凍っているような感じだった
でも父親の遺書を読んだ時その凍った感情がとけるように温かさを感じてこれから先頑張ろうって思ったんだ 今は店長はいい人だし親友はそこそこいるし自分なりの幸せを作っている
玲夜はため息をついてコンビニに置いてある時計を見る
「はぁ、あと20分か…流石に学校終わってからのアルバイトはしんどい…週5だし…」
コンビニの入口が開く
「いらっしゃいませ〜」
ガラの悪い金髪のヘッドホンを被った男性がレジの前に来る
「たばこの53番くれ」
玲夜は内心嫌悪感を感じながらもタバコを手に取る
「お会計450円です」
ガラの悪い男性はヘッドホンをしており玲夜の声が聞こえてない
玲夜が大きな声でガラの悪い男性に声をかける
「お客様!お会計を!」
ガラの悪い男性は玲夜に気づき舌打ちしながら財布を取る
「うるせぇんだよ!クソ店員がよぉ?」
ガラの悪い男性は100円玉4枚と50円玉一枚を玲夜に向かって投げつける
「二度と来るか!こんなクソコンビニ」
玲夜はあまりにも理不尽な態度の客に怒りを抑えながら小銭を拾う
「あのクソ野郎…落ち着け俺…我慢だ…ここで我慢できなかったら親父が俺を見損なっちまう…」
玲夜は客がいなくなったことを確認するとコンビニの品を補充したり並びなおしたりする
「なんで店員が俺一人だけなんだ…あと二人は来るはずだったのに二人ともサボりやがって…」
「まぁいいや…その分給料が上がることになったし店長マジ最高〜!二人ともざまぁ!」
突然、巨大な音と地震が発生する そして停電
「な、なんだ?!地震か?でも地震はこんな音鳴るか…?」
「もしかしてあの金髪クソ野郎転んだりして…」
地震がピタリと止まりコンビニの裏から50代の男性の店長が懐中電灯を持って出てくる
「皆本くん大丈夫か?!怪我とかしてないか?!」
玲夜は笑顔で店長を安心させる
「大丈夫ですよ、僕は無事ですよ」
玲夜はスマホのライトをつける
「ですが…コンビニの中はめちゃくちゃですね…」
店長は安堵な表情になる
「皆本くんが無事ならそれでいいよ」
「よし、一時閉店して片付けようか」
「片付けが終わったら皆本くんはあがっていいよ」
店長と玲夜はコンビニの片付けをはじめる
場面が切り替わる
2人の酔っぱらいのサラリーマンが道を歩いている
先輩はかなり酔っており後輩が肩を貸している
「先輩…飲み過ぎですよ…もう帰りましょうよ〜」
「うるせぇ!もう一軒いくぞ!」
「勘弁してくださいよぉー!」
後輩が先輩に問いかける
「にしてもさっきの地震と巨大な音なんだったんすかね?」
「ネット見ても宇宙人が来たとか隕石が落ちたとかバカなこと言うやつしかいないし」
先輩は後輩に笑いながら自慢する
「宇宙人だぁ?この俺様空手黒帯がボコボコにしてやるよ」
「死体売ったら大金になるんだろうな!」
「先輩…何言ってるんすか…」
2人のサラリーマンの前から不気味な人形の何かがこちらに歩いてくる
周りの人たちはその不気味な何かに気味悪さを感じ距離をとって歩いている
「うん?先輩!なんすかあれ…?」
「人…?にしては黒すぎるし…まるで影みたいな…」
先輩は調子に乗る
「おー?あいつが宇宙人ってやつか?」
「ちょうどいい一攫千金じゃー!」
後輩が声をかけて止めようとするが先輩は不気味な人形の何かに向かって走っていく
「待ってくださいよ!先輩!」
手をポッケに入れて喧嘩腰で話しかける
後輩が先輩に追いつく
「おい、てめぇ?宇宙人か?それとも何かのコスプレ野郎か?なんとか言ってみろよ!」
後輩が小声で先輩に話しかける
「先輩、やめましょうよ…」
不気味な人形の何かは目を大きく開けて牙をむき出しにして笑顔になる
「ちょうどいい…お前から殺してやる…」
先輩は鼻で笑う
「はっ!殺す?てめぇ、なめてんなぁ?俺の正拳突きでてめぇなんか一発で仕留めて…」
不気味な人形の何かは片手に力を入れる
次の瞬間、手が大きくなり爪が長く鋭くなる
「はは、あの女が言ってたプレゼントはこのことか…」
「さて、どのくらいの威力か試させてもらうぞ」
先輩は大きな手を見て酔いが覚めて震える
「な、なんだよ…それ…お前何者なんだ?!」
「ば、化け物だ!」
不気味な人形の何かが笑いながら手を振りかざす
「俺の名前は田中、生前は殺人未遂で捕まった者だ」
「自己紹介はこのくらいでいいだろ?俺は人間界に入ってから天下をとるんだ!お前は最初の踏み台だ!」
田中裕太郎容疑者 生前は学生時代、同級生と揉み合いになった時相手の頸動脈を爪で刺して殺そうとした殺人未遂の犯罪者
先輩は指の数分の5等分に切り刻まれる
後輩が膝から崩れ落ち叫ぶ
「せんぱーーいいい!」
「うわああああああああ!」
周りの人たちは殺された男性を見て悲鳴を上げて逃げていく だが後輩は足の力が入らない
田中は興奮しながらもう一度手を振りかざす
「ははっ!俺は最強だ!!」
「お前も死ねぇ!」
後輩も5等分に一瞬にして切り刻まれる
そして白いオーラを放った水色の玉ようなものが2人の死体から浮かび上がってくる
「あん?これがあの女が言ってた魂ってやつか」
「私に渡せとか言ってたけどまぁいいか…もうちょっと殺してから渡しに行くか」
田中はニヤリと笑う
「俺は生き返ることなんてどうでもいい…とにかく殺したい…殺したくて仕方がない!」
田中は辺りを見渡す
「ほぉ?コンビニがあるじゃないか」
「あそこでちょっくら大量に殺すか!一振りで終わるかもしれないけど…はは…」
アクアが悪霊界から水晶のようなもので田中を眺めている
「ふん、本当に気色の悪いやつだ」
「まぁ魂はまとめて持ってこられたほうがこっちとしてもありがたい」
「さぁ!犯罪者どもよ、思う存分暴れて殺せ!」
アクアは眺めるのをやめ、地獄務官の虐殺を再開する
玲夜の視点に切り替わる
「店長、かなり片付きましたね!」
店長が笑顔になる
「あぁ!皆本くんのおかげだよ!」
「もうあがっていいよ」
「あとは私がやるから!」
玲夜は店長に頭を下げる
「ありがとうございます!それじゃあお言葉に甘えてお疲れ様で…」
コンビニのガラスが突然割れる
玲夜は割れた方を向く
「な、なんだ?!」
「うん?あれは…人…?」
田中が2人の人間を見て少しガッカリする
「なんだ、二人だけか…まぁいい殺したら他をあたればいい」
田中がゆっくりとコンビニの中に入っていき手を上にあげる
店長が玲夜の視界に入り守るように両手を広げて本能的に叫ぶ
「皆本くん!裏口から今すぐ逃げろ!」
次の瞬間店長が5等分に切り刻まれる
玲夜は驚きながら叫ぶ
「てんちょうおおおおおお!!!」
田中は大きな手じゃない方の手で耳をほじる
「あれ、1人取り逃したのか、まぁいい…もう一度切ればいい!」
玲夜は田中が手を振りかざす前に裏口に向かって全力で走る
「うおおおおおお!店長が守ってくれたんだ!死んでたまるかぁぁぁ!!」
田中が手を振りかざすが玲夜はギリギリのところでかわす
そのままコンビニを出て家まで走る
「なんなんだよあれ!間違いなく人じゃない!」
「店長…ちくしょう!!でも今はそんなこと考えてる場合じゃない!後ろを振り向かずに全力で走るんだ!」
田中がのそのそとコンビニを出て、走る玲夜を見ている
「ちっ!ねずみが逃げてんじゃねぇよ」
田中が手を思いっきり約40m離れてる玲夜に向かって振りかざす
「死ねぇ!」
振りかざした瞬間鋭い風圧が玲夜を襲う
だが玲夜は運良く道を曲がる
建物に亀裂が走り一部が崩れていく
「な、なんだ?!今建物がゆれたような…」
田中が蚊を捕り損ねたかのように腹を立てる
「クソがっ!運のいい奴め!追いかけてやる…」
玲夜は息を上げながらポッケから鍵を取り出し家の玄関を開けて家の中に入りすぐ玄関を閉める
「はぁはぁ…なんだったんだ…あいつ…」
「でも…まずい…ここにいるのも時間の問題だ…すぐバレる…」
「でもどうすればいいんだ…警察なんかがあいつに勝てるのか…?」
玲夜は靴を脱いで一番奥の和室に隠れる
スマホを取り出し電源をつける
「ネットを見てみよう…」
「な、なんだよ…これ…あいつだけじゃないのか…?」
ネットでは至る所で玲夜が見た化け物と同じような化け物が見つかっており撮られて投稿され拡散されている 被害も壮絶で全国がパニックに陥っている
「あの真っ黒の目と口だけの化け物は日本中…いや、世界中で出現してるのか?!」
「しかも…一体一体が全く違う特性を持ってる…」
突然、玲夜の家の玄関が壊される
「うわっ?!ま、まずい…」
玲夜は口を両手で覆い息を殺す
「うぅ…」
徐々に足音が大きくなる
次の瞬間玲夜のいる和室の襖が5等分に切り刻まれる
玲夜の視界にドス黒い笑みを浮かべた化け物が目の前に立っている
「やっと、見つけたぁ」
「逃げ足だけ速いクソネズミがよぉ?おかげでこっちは殺意がマックスなんだぁ」
「それじゃあバイバイ」
田中が思いっきり手を上げる
玲夜はぎゅっと目を閉じ心の中で悔しさを感じる
「クソッ!我慢したまま、俺は死ぬのか!」
「俺は…なんのために今まで我慢して努力してきたんだよ…親父!」
「こんなの…あんまりだろ!信じて進んだのに!」
その時、また巨大な音と地震が発生する
田中がバランスを崩し手を下ろす
「ちっ!なんだ?!またあの女の仕業か?」
玲夜は困惑する
「こ、今度はなんだよ?!」
地震がピタリと止まる
田中が少し腹を立たせながら手を上げる
「やっとやんだ、さっさと終わらせる」
「いい加減死ねぇ!」
田中が手を振り下ろす瞬間
玲夜は過去を振り返る
「あー…結局死ぬのか、最後の最後まで見つけれなかったなぁ…俺の宝…」
病院のベッドで横になっている父親と中学生の玲夜が話している 父親が驚いた表情で問いかける
「才能がないから学校をやめたい?!」
「そんな理由でやめれるわけないだろ!」
玲夜が必死に自分の気持ちをぶつける
「で、でも俺はやめたいんだ!本気なんだよ!」
父親が怒る
「学校をやめてどうするんだ!!中学校中退のやつがどうやって働いていくんだ!」
玲夜が泣きながら訴える
「才能がある親父にはわかんねぇんだよ!!才能がない俺の気持ちなんか!」
父親が叫ぶ
「なんだと!父親に向かってその口の利き方はなんだ!」
玲夜が泣きながら話す
「親父は…わかんのか?」
「サッカーをしたらボールを蹴れず空振ってこける…野球をしたらボールを投げる時ボールがわけわかんねぇ方向にいくわ、遠くにも飛ばないし速くもない…」
「勉強だってそうだ…すごい記憶力も計算力ももってないし要領も悪いし理解するのも一苦労だ」
「絵も下手だし楽器もできないしみんなが一つは持ってるものを俺はもってない…」
父親は黙り込む
「もう…生きる意味さえ失いそうで…」
父親が口を開く
「俺は才能がある奴だけが良いとは思わないけどな」
玲夜は驚く
「え…?」
父親が話を続ける
「才能がある奴はお前みたいに努力しなくてもある程度のことはできる」
「なぜか、それは才能がある奴は1からスタートじゃなくて2、3からスタートしてるからなんだ」
「一方お前みたいに才能がない奴は1から下手したらマイナスからスタートだ」
玲夜がショックを受けながら口にする
「マイナスから…」
父親が話を続ける
「だからプラスからスタートした者(才能がある奴)がマイナスからスタートした者(才能がない奴)の気持ちなんか分かるわけないしバカにするんだ、なんであんなこともできないのかって」
自分の無力さに嫌悪感を抱いている玲夜に父親は笑顔で言葉を投げる
「だがマイナスからスタートした者は悪いことだけじゃない!マイナスから進んできたからこそ困難を知り努力の仕方を学び誰かを助けようと思うんだ」
「それにプラスからしか進んだことがない奴がもし、マイナスからスタートすることに手を出したら困惑して諦めるだろう でもお前みたいにいつもマイナスから進む者は我慢して対処して諦めないだろ?」
「玲夜…人生は才能という宝を探す探検でもあるんだ」
「宝を見つけるためには必死に我慢して探し続けるんだ、じゃないと掘れるものも掘れない」
「だからせめて宝を見つけるまでは生きろ! 必ずあるはずだ、お前の奥に埋まっている宝が!」
玲夜は泣き止み微笑む
「わかったよ、親父」
「宝…頑張って見つけてくるよ!」
親父が亡くなり俺は親戚からもらった遺書を読む
「玲夜!宝を見つけるまでは死ぬじゃねぇぞ!」
「お前の努力というツルハシは必ずすごい宝を掘り起こせるはずだ!」
「なぜかって?俺もお前みたいに宝を見つけれなくて努力で掘り起こした人間だからだ!だからお前もできるはずだ!なんてたってお前は俺の息子だからな」
玲夜はポロポロと涙を流す
「親父…ごめん…」
「俺…親父を勝手に才能のある奴だと決めつけてあんなこと言って…人の努力も知らずに…」
「必ず見つけるよ…だから見守っててくれ!」
田中の手がすぐ目の前まできている
玲夜が全てを諦める
「親父…本当にごめん…」
その時、和室の奥に飾ってある埃まみれで古びた刀が水色に光り輝く…!
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