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素敵な書籍のかきおろし

書籍版『東の魔女のあとしまつ』の表紙素敵すぎるー!!!

書き下ろしも楽しみすぎるー!!!

すぐ予約完了しましたわ!!!


開示された書籍の情報と、「後宮も2度目なら」の素敵すぎる長編書き下ろしにインスパイアされてお話を書きました。

「やはり自誠エンドこそ本来あるべきルートだと思うのです。皇帝に愛されて栄華を掴む、彼女を認める秀女達も側にいる、完璧な終わり方ではないですか」


「それでも私は礼央 エンドこそ至高だと思うわ。自力で掴んだ新しい居場所。彼女の意思を尊重ながら新しい色の上に違う絵を描く、素敵じゃないの」


(もう1時間は議論してるよ、どうしてこうなった……)


 レイノルドとエミリーの論争に絶賛巻き込まれ中のマルティンは、その原因を思い出していた


 きっかけは2冊の本と、分厚い紙束だった


 昔、アデルを召喚しようと時空を操る魔法を研究していた頃、マルティンは安全面を考慮してまず非生物を引き寄せることから始めた。


 魔法陣は命令書きと似ている。術式で引き寄せる対象を上手く指定する必要があるのだ。そこでマルティンはアデルを引き寄せる練習として陣に[黒髪で、お人よしで、ちょろくて、よく勘違いされる若い女性、の書かれた本]という指定範囲を書き込んでみた


 そこで召喚されたのが、2冊の本と、分厚い紙束だ。

 中村颯希と言う人物が書いたらしい。

 両方とも、恐ろしく上質な紙に、異様に整った文字で書かれていた。異国の文字にもかかわらず、何故か読める。おそらく魔力的な補正が入っているのだろう。


 本の方は「白豚妃再来伝 後宮も二度目なら」と言うタイトルで全2巻。黒髪美女が主役の後宮勘違いラブコメだった。

 分厚い紙束は、製本される前の試作版らしい。


 引き寄せた当初、マルティンは美麗なイラストとあらすじに興味を惹かれたものの、研究に忙しくて読む暇がなかった。


 それで、師匠のことがひと段落したタイミングでふと思い出して読んでみたら……これがとんでもなく面白かった。それで、アデル、エミリー、レイノルドの3人にも勧めてみたところ、3人とも見事にハマった次第である。


 それで


「「「流石は一番弟子!」」」


 と終わればよかったのだが、試作版の方がマルチエンディングとなっていて、自誠エンドと礼央エンド、どちらの終わり方がより素晴らしいかでレイノルドとエミリーの意見が割れ、侃侃諤諤の議論が交わされているのが現状だ。


「そもそも、自誠はむしろ、焼印の位置を変えることで、しがらみの多い中、最大限に珠麗を守ったのです。」


「それを言うなら、礼央は二年間も彼女を庇護していたわ。より彼女を理解しているのは彼よ。」


 本人達の名誉のために言うが、レイノルドもエミリーも非常に理知的な人物だ。普段は他人の嗜好に口など出さないし、もう一つのエンディングの良さも充分理解している。どちらも100点満点のエンディングで甲乙付け難いことも。


 ただ、レイノルドは尊敬する師匠に聖都で栄華を掴んでもらい、またその彼女の素晴らしさを人々に広めたいと考えていて


 エミリーは敬愛する師匠と昔の様に、彼女がいるべき場所ーーアデルの家で一緒に暮らしたいと思っており


 またそれぞれが、自誠(ヤンデレ)礼央(ストーカー)に感情移入することで話がややこしくなっていた


「「マルティン兄さんはどっちがいいと思いますか?」」


 非常に困る。どちらを答えても角がたつ。

 かと言って、玉虫色の回答など望んでいないだろう


「間をとって、宇航エンドが最高ってことでどう?」


「「それはないです」」


 なんでや


 ――名前を呼ぶのは、嘘の証。

 それを知るのは本人と、あの鈍すぎる馬鹿ばかり。


 最高じゃろがい


「気に入るつもりじゃなかった―宇航―」を踏まえて「4.戻るつもりじゃなかった(4)」を読み返したら、「横恋慕したわけじゃないから、安心して、()()兄」だぞ、興奮しすぎて変な声がでたのは自分だけではないはずだ


「あら、どうしたの皆、楽しそうね」


 こっそりと推していたエンドを否定され、マルティンも議論に加わろうかと言うところでアデルが部屋に入ってきた


「あ、師匠。ぜひお伺いしたいことがあります!」

「師匠は『後宮も2度目なら』を読んでどうおもいましたか?」


 レイノルドとエミリーが問いかける

 マルティンも内心気になる

 聞きたいのはもちろん、アデルはどのエンディングを推すかということだ



「そうね……まず、表紙が素敵だったわ」


 その言葉をきいた3人は思う。

(((書籍版の感想と勘違いしている......)))


 ただ、それはそれとして確かに書籍の表紙は素敵だった。

 付き合い長いマルティンには師匠の心の声が手に取るようにわかる。


 きっとアデルの脳内では

『ああああー! 凄いわよね!1冊目の凛とした目力ある黒衣美女のイラスト!2冊目の4人も麗しいし、そういえば白い衣は一冊目と対比で暗喩にもなってるのかしら!花もメッセージ!?鏡に2人映っているけどあれはもしや......ずっと手元においておきたくなる表紙ー!ていうか色使いすっご!』

 みたいに、思考があちこちに散らばった、早口でまくし立てるかのような言葉になっていることだろう。


「あと、書き下ろし......すごかったわね」


 そう、イラストも素敵だったが、書き下ろしはそれ以上に、とんでもなくすごかった。


 1冊目は225ページから269ページにかけて珠麗の朱櫻桜時代が詳細に語られており、試作版では名前の出てこなかった「楼主」や「妓女の姐さん」も名前付きで出てきた。そして彼女らから見た珠麗の2年間が面白くもあり、感動的でもあった。マルティンは時空間魔法の研究でトライエンドエラーを繰り返した自分の経験と重ねて、ちょっと泣きそうになったほどである。また、失火で焼け落ちた後の朱櫻桜がどうなったかや、楼主がどんな気持ちで珠麗を手放したかも言及されていて、完璧な補完だった。


 2冊目は229ページから293ページにかけて、試作版の後の話が語られており、礼央、自誠、宇航、花蓮に()()まですべてのキャラクターの要素の入った、トゥルーエンドとも呼べるような納得の結末だった。自誠と礼央と彼女の「二度目」も、それぞれの成長と、彼ららしさが感じられて凄く良かった。4年間積み上げてきたものと、これからの四年間が楽しみになる話かつ締め方で、珠麗もばっちり幸せになっていた。プロット版のエンディングを100点とすると、120点!と言いたくなるような出来だった。


 アデルの言葉をきっかけに、弟子3人の関心は、『プロット版のどのエンディングを推すか』から、『書籍の書下ろしについて語り合いたい』に変わった



 弟子二人が和解し、場の雰囲気が平和になったことに安堵しつつ、マルティンはいろんなことを思った。


 弟子同士でちょっとした諍いが起きても、間にアデルが立てばあっという間にお開きとなるのも、珠麗と似たところがあるなぁ。

 師匠も天運の持ち主なのだろうか。いや、お人好しで人を素直に賞賛する所のほうが似ているな。


 プロット版に書籍化御礼書き下ろしとあったが、書籍化する前はどこかで無料公開でもしていたのだろうか。だとすれば、なんて気前のいい作者なのだろうと、商家出身として思う。ただ、それで書籍が売れなくなる様なことはないだろう。何せ、これだけ素敵なイラストと、合計100ページを優に超えた、素晴らしすぎる書き下ろしがあるのだから。きっと、重版出来しているはずだ。


 思えば、プロット版のマルチエンドも、2度目とも言える書籍版で誰もが心躍る完璧で至高のエンディングを書くために必要だったのかもしれない。きっと作者は、才能だけでなく努力の人でもあるのだ。複数の作品を世に出しているようだが、もしかすると、駆け出しの頃はプロット版でエンディングに少々失敗......まではいかないだろうが、納得いく出来にならずに書き直したことだってあったのかも。もしそうなら、作者も珠麗の様に自称「失敗」から学び、今だってますます上達している最中ということだ。




「ところで、もしこの作者が私達の話を書いたら、どうなるのかしらね」


 アデルがたった今思いついたことをそのまま口に出した


 それはきっと、とても楽しい話になるだろう。

 だって「後宮も二度目なら」を執筆した時よりも、さらに成長した中村颯希が書くのだから。試作版の時点でも、師匠の勘違いを楽しく表現しつつ、少々暴走しがちな末弟子の情念だって、「これは、まあ仕方ないよね(笑)お幸せに」と読者を納得させることくらい、しれっとやってのけるかもしれない。


 そして書籍になるときには、美しいイラストと素晴らしすぎる書き下ろしまでつくのだ。


 ——買って読んでみたい


 それが、この場にいる4人の総意だった。

「後宮も2度目なら」の書籍版、本当に買って良かったです。

ネタバレできないけど、「ヤンデレ自誠パートやっべぇえええぇぇ!」とか、誰かとめっちゃ語りたくなる素敵すぎる書き下ろしでした……(笑)


ちなみに漫画版も素敵。東の魔女はいつ頃コミカライズ告知されるのかな?楽しみー


10/14追記:書籍発売と同時にコミカライズと告知!

そ……ッッ

そうきたかァ〜〜〜〜ッッッ

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こちらを先に覗いていただけたら幸いです
東の魔女のあとしまつ
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