②3職に比べて会社員は税金で「絶望的に不利」
質問者:税制面で圧倒的に不利と言うことなのですが、具体的にどう言ったことで不利なのですか?
筆者:まず、普通の会社員の方は天引きされた後の金額しか注目していないと思うので、
正直この真実には気が付きにくいと思うんです。
そんな中、「3職」は税制で有利であることをあまり「告白」しようとはしません。
何せ、こんなことが世間に大きく広められてしまうと、
税制が不利になってしまう可能性がありますからね。
具体的に申し上げますと、会社経営者や確定申告を行っている個人事業主は先に利益や役員報酬から経費を引いてから給与(役員報酬)を貰うのに対して、
給与を貰っている会社員の方々は給与で税金を引かれてから生活費を支払います。
質問者:あの……学生さんは確定申告についてよく分かっていないのでは?
筆者:あ、そうですね。
確定申告は「1年間(1月~12月の期間は固定)までの売り上げから、
経費と控除を引いた額を申告する」と言ったモノです。
その申告した金額が所得税と住民税を決めるための基準になります。
ちなみに、この申告をしない場合は後でバレた時に多額の加算税を取られます。
「3職」だけでなく会社員の方でも土地の売買や株の配当による収入などがある方は税金の還付(払い過ぎた分を戻してもらう)ためにやることはありますけどね。
基本的には会社員の方はそう言った特別な取引による収入以外は「年末調整」で似たようなことを会社の方で勝手にしてくれるので、あまり意識していない方も多いと思います。
質問者:確かに私もあまり年末調整をしたことがありません……。
筆者:制度のあらましを大体理解していただいたところで、
先ほどの僕の発言の中で「売り上げから経費と控除を引いた額を申告する」と言うところに注目して下さい。
「売り上げ」と言うのが、要は会社員の方で言えば月給や年収です。
そんな中で、売り上げから経費を引いた額を課税されるということです。
質問者:なるほど……それで税制で会社員より「3職」が有利と言うことですか……。
筆者:そう言うことです。
しかし言葉だけでは分かりにくいと思うので参考例として実際の数字を出してみましょう。
配偶者控除とか保険料控除とか細かい控除とかはちょっと省略するので、
実際の税金とは異なりますから参考程度で考えて下さいね。
例としては A家庭は夫婦共働きで年収500万円の世帯と考えます。
奥さんの方は住民税がかからない年収100万円と考えておきます。
また、年間にかかる生活費は300万円とします。これは大体モデル家庭の30前後の生活費です。
質問者:ああ、どこかにかありそうな家庭ですね……。
筆者:旦那さんの方は月収33万ぐらいが年収400万円になるので、
月収33万円で見た場合の社会保険料、所得税、住民税を計算すると大体年間年収の2割ぐらいでした。
そうなるとこの家庭では400万(夫年収)×0.8(税金)+100万(妻年収)-300万(生活費)=120万円
税金は80万円でこの余った120万円が年間の貯金と言うことになります。
質問者:何だかリアルですね……。
筆者:まぁ、そうなるようにちょっと頑張りましたから(笑)。
次に、似たような数字を使ってB家庭を見ていきましょう。
B家庭は会社経営をしている資本家で、利益が500万円。
生活費を兼ねた会社経費が250万円。
会社経費を兼ねられない生活費が50万円とします。
(例として子供の学費や役員ではない妻の洋服代などは経費にできません)
そうすると利益の250万円に法人税をかけます。
1億円以下の資本金ですと20%ですので、
250×0.2で法人税は50万円。
500万(利益)-300万(生活費)-50万(税金)=150万円が残ります。
大体毎月の売り上げが同じような会社でスト、
利益を予測して役員報酬を支払えばもっと節税できます。
(経営者は自主的に役員報酬を決めることが出来ます。
ただし一度役員報酬を決めれば期の途中で変えることは出来ません。)
とにかく法人税の場合はA家庭の税金は80万円ですから30万円節約できます。
一般的には「会社経営者」と言っても中小企業ですと事業主の経費が入っている場合は多いですから、結構こういう感じで近いと思います。
質問者:確かに、年収500万円で税金が30万円節税できたら大きいですね……。
筆者:このB家庭の場合は、事業主のですので必ずしも同等に比べるのは違うのでは?
と思われるかもしれません。
ですが、個人事業主であれば同じ金額を稼ぐことに関する労力としては会社員の方とそう変わりませんからね。
基本的に余計な税金や社会保険は払わないに越したことはないです。
ただ、会社員から転向するとなるとお客さんが付くまで時間がかかるかもしれませんがね。
また、妻を役員とすれば妻の役員報酬代も経費になりますし、
実はこれでも条件をより対等に分かりやすくするために、
B家庭の方を不利な形にしています。
ちなみに妻を役員とした場合は計上できる経費が更に100万円増えますから
(500万円(利益)-経費化できる生活費250万-妻の役員報酬100万)×0.2で30万円の法人税になります。
こうなると、A家庭と比べて50万円の税金の節約です
同じ金額だけ貯金をするためにはかなりの額を会社員ですと稼がなくてはいけません。
というのも、給与が上がれば上がるだけ保険料、所得税、住民税が上がっていきますから可処分所得において対等になるためにはかなり大変なのです。
質問者:へぇ~、実際はこれよりもさらにB家庭の方が有利なのですか……。
筆者:「3職」については売り上げや費用については自分で管理し、
お客さんへの損害に対しては自ら責任を負わなくてはいけません。
厚生年金や退職金についても基本的には自分がそこまで貯金をした金額に依存しますからね。
その分の補填を前々からやっておくということも意味します。
これを、『会社員に不利だから「3職」も同じように税制改正しろ!』と言うために書いたわけではありません。
皆さんが「3職」になり、より良く生きて欲しいという強い願いからです。
質問者:日本人の方は給与が高い人に対しても
「ズルい! 自分たちまで下げろ!」とおっしゃる方が多いように感じます。
筆者:そうですね。その傾向は非常に強いように感じます。
他の国でしたら「自分の給与を上げろ!」と言う人が多いのに対して非常に対照的です。
日本人のマインドも変わっていく必要があるように思います。
質問者:しかし、税金の計算について詳しいですね。
筆者:まぁ、このことは僕の本業に近いですからね(笑)。
今はソフトや国税庁のホームページなどで便利に年末調整や確定申告での税金を計算できますが、
“税金の計算実態”がどうなっているかをしっかり知っておくことも大事になってくると思います。
次に会社員の「悲しい境遇」について書いていこうと思います。