謎の女の子
とある土曜。
何をするわけでもなくテレビを見てゲームして本を読んで…いつもの様にゴロゴロとしている。今週もそうだ。たぶん来週も同じだろう。
どこかに出掛けようと思うが…暑いのとやる気がなく結局は家にいる。行動するのが年々面倒くさくなってきた。ただただ仕事の疲れを取るために土日でゴロゴロするだけ。
洗濯物が床に転がっている。「あっ…洗濯しないと…」いや。明日やろう。
今日の天気は…晴。快晴だ。昔なら「最高のドライブ日和」なんて事を言いながら意味もなくドライブをしただろう、とソファの上で寝転がりながら考えている。
「昼寝でもするか…」
こんな生活をもう1年以上も続けている。
もう30代半ばになるというのに、結婚もしてなければ彼女すらいない。人生にはモテ期が3回あると言うが…後1回残っているはずだが、そろそろ来てもいいんじゃないか?
それに、30代半ばは人生の中で仕事もプライベートも充実していると言うが…多数派の意見に過ぎない。少数派の私には関係ない。
自慢ではないが…私は『ジョブホッパー』と呼ばれる人種。履歴書の職歴なんて全部書いたら足りないぐらい転職をしている、ダメ人間。だから、給料も少ない。今の生活で精一杯。だから、どこかに出かけようとも思わない。だって金が無いんだから。借金はたくさんあるけど。
どこで人生を間違えたのか?って自分に問いかけるが返ってくる答えは決まっている「全部」。
それを打破しようと自己啓発本等を読むが…読むのが遅い。途中でやめてしまう。
結局は何も成長しないダメ人間。
「暇だなぁ…」
窓から見える外は本当に良い天気だ。
カップルなら外でデートしてるんだろうなぁって思うだけで気分が落ちる。
よし。何かしよう。立ち上がった。
(まずは何を始めようか…)
床に置いてある衣服を洗濯機の中に入れスイッチを押し、その後近くのスーパーに行き晩飯の食材を買い行った。
「これだけあれば1週間はいけるだろう」
と独り言を言いながら、家路に着く。
すると玄関の前に女の子がいた。見た目は中学生。したかし見た事がない。
過去に子供と関わる仕事をしていたので、大きくなったから会いに来たのかと思ったが、住んでいる場所は違うので、それはありえない。
そんな事を考えていると女の子が私に気付きこちらに向いた。その子の手には紙のような物が握られていた。私の顔を見るなり、その紙をクシャッと握った。
何か覚悟を決めたようにも思えた。そして、ゆっくりとこちらに近づいてきた。
(えっ?怒らせた?見てたのがマズかったか?)