世界最強の散々な10日間
「This is after I broke up with you 10 days ago and met Q.(では、僕が10日前に君と別れてQと会ってからの話をしよう)」
I日目。
「うわあぁぁぁ!助けてえぇ‼︎」
「バカガ!こっチくルな!あっちへイッテのタレシんでこイ!」
「野垂れ死ぬではなく、食い殺されるが正しい」
僕たちは食人植物に追われておりました。
能力を使って僕だけ逃げてもよかったのですけれども、Qの能力で前方の道が常に塞がれておりましたのでできませんでした。
Qの能力『大地の動かし方』でもし僕が少しでも離れようものなら土で壁を作り、すぐに見捨てようとしてくるのです。
僕は頑張りました。
なぜか僕だけしか狙ってこない食人植物の蔦や根っこを避けながら、足の速い二人についてゆきました。
ですが、
「一回死んでも大丈夫でしょ?」
フィーフィーの言葉と共に飛んできた、フィーフィーの愛用武器、モーニングスターの『亜捻状』の鎖部分が飛んで参りまして、避け切ることができずに、僕のお腹が鎖の鞭をお食らいになってしまわれて、後ろに吹っ飛ばされてしまいました。
僕は「ヨクやっタ」「いえいえ、それほどでも」そんなお話をされながら、すぐに見えないところまで走っていかれた二人を見送ってから、頑張って何とかしました。
2日目
「いいいいイィぃぃぃヤァぁああ!」
「バカガ!こっチくルな!あっちへイッテのタレシんでこイ!」
「野垂れ死ぬではなく、圧死するが正しい」
僕は巨大な岩に追いかけられておりました。
そのお岩様はとても大きく、避けられるところはありませんでした、製作者から底知れぬ、押し潰してやろうという悪意を感じました。
だって球ではなく円柱なのですもの。
端っこで体育座りでもしていれば何とかなった可能性もあった球ではなく、端っこで体育座りをしていても押しつぶされてしまう円柱なのですもの。
逃げるしかありません。
能力を使って僕だけ逃げてもよかったのですけれども、Qの能力で前方の道が常に塞がれておりましたのでできませんでした。
Qの能力『大地の動かし方』でもし僕が少しでも離れようものなら土で壁を作り、すぐに見捨てようとしてくるのです。
僕は頑張りました。
こうなったらみんなで仲良く押しつぶされようという、誰も悲しむことのない作戦を言おうとしたところで僕はつまずき、転んでしまいました。
当然押しつぶされましたわ。
僕は「よくやりました」「あア、やっテヤッた」というお話をしておられる二人は足を止めました。
そしてフィーフィーは愛用武器の『亜捻状』を投げて円柱をお砕きになられました。
僕は生き返ってからしくしく泣きました(´;ω;`)
3日目。
「もうやだぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
「バカガ!こっチくルな!あっちへイッテのタレシんでこイ!」
「野垂れ死ぬではなく、爛れ死ぬが正しいと思われます」
僕は被ったら徐々に体が溶けて行くという液体を被ってしまい、二人に助けてもらおうと追いかけました。
既に二、三回この液体で死んでおりますが、一向に液体が離れてくださらないのです。
もしやこの液体で僕に恋をなされているのでは?
いえ、いけません、意志を持たない液体と人とでは愛し合うことはできませんわ。
ああ、そんなに責められても困りますのぉ。
僕は「なんダアいツ」「えぇ、気持ち悪いですね」という祝福のお声をかけて頂き、ゆっくりと液体様と一つになって行くのでした。
4日目
「ぴえぇぇぇええ」
「バカガ!こっチくルな!あっちへイッテのタレシんでこイ!」
「野垂れ死ぬではなく、崩壊死ぬ?ですかね」
僕はトラップにかかり、その時に崩壊の呪いにかかってしまいまして、お二人に助けてもらおうと追いかけました。
ですがこの呪いは触れると移るものなので、お二人とも僕から逃げてゆきます。
既に二、三回この呪いで死んでおりますが、一向に呪いが離れてくださらないのです。
もしやこの呪いをトラップにお仕込みされた方は僕に恋をなされておられるのでは?
自分の才能を僕自身の体で味わわせているだけなのでは?
いえ、いけません、いくら自分の才能を認めさせたいからとこんなことをするのはいけませんわ。
ああ、身も心も崩れるようような恋とはこのことでしょうか。
僕は「なんダアいツ」「えぇ、気持ち悪いですね」という祝福のお声をかけて頂き、ゆっくりと崩れて行き塵になって行くのでした。
5日目
「死ぬううぅぅ‼︎死んじゃうぅぅ‼︎」
「バカガ!こっチくルな!あっちへイッテのタレシんでこイ!」
「野垂れ死ぬではなく、失血死が正しい」
僕はトラップにかかり、その時に失血の呪いにかかってしまいまして、お二人に助けてもらおうと追いかけました。
ですがこの呪いは触れると移るものなので、お二人とも僕から逃げてゆきます。
既に二、三回この呪いで死んでおりますが、一向に呪いが離れてくださらないのです。
もしやこの呪いをトラップにお仕込みされた方は僕に恋をなされておられるのでは?
自分の才能を僕自身の体で味わわせているだけなのでは?
いえ、いけません、いくら自分の才能を認めさせたいからとこんなことをするのはいけませんわ。
でもこの呪いは、あの崩壊の呪いと同じ方が設置した呪いであることが僕にはわかるのです。
ああ、体から血が抜けていって全身が熱い。
これが燃えるような恋というものなのでしょうか。
僕は「なんダアいツ」「えぇ、気持ち悪いですね」という祝福のお声をかけて頂き、ゆっくりと冷たくなって行くのでした。
6日目
「うわあぁぁぁ!助けてえぇ‼︎」
「とウトうゼッキょうもツかイマわしやがったか。とりあえず、
バカガ!こっチくルな!あっちへイッテのタレシんでこイ!」
「とうとう絶叫も使い回し始めましたね、なんと頭の箪笥の少ないことか、脳みそネズミですね。とりあえず、
野垂れ死ぬではなく、爆死が正しい」
「あはっ、フィーフィーにしては結構しゃべったね、とりあえず」
僕はトラップにかかり、その時に破裂の呪いにかかってしまいまして、お二人に助けてもらおうと追いかけました。
ですがこの呪いは触れると移るものなので、お二人とも僕から逃げてゆきます。
既に二、三回この呪いで死んでおりますが、一向に呪いが離れてくださらないのです。
やはりこの呪いをトラップにお仕込みされた方は僕に恋をなされておられるのでは?
やっぱり自分の才能を僕自身の体で味わわせているだけなのでは?
いえ、いけません、いくら自分の才能を認めさせたいからとこんなことをするのはいけませんわ。
でもこの呪いは、あの崩壊の呪いや失血の呪いと同じ方が設置した呪いであることが僕にはわかるのです。
ボンボンと体が破裂して行きます。
これが破裂するような恋・・・・・・・・・・・・そんなのなかった気がしますが、きっと、これが破裂するような恋なのでしょうか。
僕は「なんダアいツ」「えぇ、気持ち悪いですね」という祝福のお声をかけて頂き、体を破裂させては治して行くのでした。
7日目
「うわあぁぁぁ!助けてえぇ‼︎」
「ニドもゼッキょうもツかイマわしやがったか。とりあえず、
バカガ!こっチくルな!あっちへイッテのタレシんでこイ!」
「二度も絶叫も使い回しましたね、しかも死因まで使い回すなんて、なんと頭の箪笥の少ないことか、脳みそ皺がないんですね。とりあえず、
野垂れ死ぬではなく、圧死が正しい」
「いや確かに使い回してるけど、ネタがないんじゃなくて考えるのがめんどくさいんだってよ」
「へー、クズですね」
「あア、クズだナ」
「会心の一撃だなぁ、とりあえず、」
僕は急にグニャグニャと触手のように動き出した壁に捕まり、大きく開けられた口の中に入れられそうになっておりました。
圧殺と食殺が同時に来たようなものでした。
当然のようにお二人は僕を助けてくれません。
むしろ僕が早く死ぬように、お二人は僕を壁に向かって押し付けているほどなのですから。
一体僕は何をしたのでしょう、食料が少なくなってきた中でお二人より少しだけ多く食べただけなのに。
それにしても、壁に食べられた後僕はどうなってしまうのでしょうか、触手のように動く壁にR 18並みのことをされてしまうのでしょうか。
ああ、それはイヤ!
そんなこと耐えられませんわ。
僕は壁にR 18のようなことをされて興奮するような変態ではありませんわ。
「ゴチャごちゃ、ウるせェ」
「です」
モーニングスターの『亜捻状』と、Qの能力『大地の動かし方』で動かしたモーニングスター(石制)が飛んできて、全て直撃し、僕の体はバラバラになってしまいましたわ。
でも、僕諦めない‼︎
絶対に抜け出してやるんだから!
8日目
「うえぇぇぇぇん、分けてくれよー」
「バカガ!こっチくルな!あっちへイッテのタレシんでこイ!」
「野垂れ死ぬで正しいですね、そうイライラしないでください、リオルを殺したくなりますから」
「ならコろスカ?」
「いいですね、そうしましょう」
「やめくれぇ」
僕は仲間二人から磔にされて、再生する体を利用されて、食料として肉を剥ぎ取られておりました。
その激痛たるや、痛覚無効の能力があったから良かったものの、とても痛く、常人では耐えられなかったことでしょう。
ですが僕は耐えました。
何十何百、何千何万と死んできた僕にとって死ぬことは息をするのと同じことなのですから。
その際の痛みにも慣れてしまうというもの。
ですので今痛いのは心のほうですわ。
なんか、なぜか、いえ僕という共通の敵よりも邪魔な味方を連れて行動した七日間で、お2人の心に親愛か、友愛か、それとも性愛なのか。そのようなものが生まれているというのは間違いないですわ。
これは恋のキューピッド=僕作戦を決行できるのではないのでしょか。
結果を言うと、お二人の間にあったのは友愛でした。
9日目
「バカガ!こっチくルな!あっちへイッテのタレシんでこイ!」
「野垂れ死ぬではなく、爆死するが正しい」
僕は今、いえ、僕たちは今、意志を持つ爆弾に追いかけられております。
大変な状況です。
僕を囮にしてもいいのですが、それでもなんとかできるのは100が限界ですわ、他の爆弾はお二人を追うでしょう。
昨日2人の間にあるのは性愛ではなく友愛であると言うことは分かりましたが、友愛から性愛に変わることもあるのです(本人談)。
なので恋のキューピッド=僕作戦は続行しているのです。
だから僕が囮となるわけにはいかないのです!
ふふふふふ。
おっと、お二人が気持ち悪いものを見るような目で僕を見てきますね。
それも同時に見てきたのです。
やはりお二人の相性は最良。
これはくっつけるしかないですねぇ。
フッ、と力を込めてフィーフィーのお投げになったモーニングスターを避けますわ。
舌打ちが聞こえましたが、気にしないことが一番いいのですわ。
Qが地面から槍のように尖らせた岩を出してきましたが、体の関節という関節を外して避けますわ。
舌打ちが聞こえましたが、気にしないことが一番いいのですわ。
2日前の僕を壁に押し込んだ時と同じように、同時に『亜捻状』と『大地の動かし方』をお使いになられましたが、自分から体をバラバラにして頭だけを前に投げて、お二人を超えたところで体を再生いたしますと、あら不思議、攻撃される前と同じ距離、同じ速度でついて行くことができましたわ。
2人がかりで僕を攻撃して足止めどころか殺すこともできないとは、失笑ですわ。
ドゴォ。
「グアッハァ‼︎」
お二人のモーニングスターが僕の体を後ろから貫きましたわ。
ふふっ。
油断大敵とはこのことですのね。
僕は口の端から血を流しながらそう思いましたわ。
周りに爆弾さんたちが群がってきて。
この爆発の瞬間、日付が変わったのですわ。
10日目
「それで今に至るのですわ」
「話してる最中ずっと思ってたんですけど、なんなんですかその喋り方は、でもって、ウロウ、イラつくのはわかるけども、足はもう無くなってるから食うのをやめなさい」
そう言って、僕はウロウの脇に腕を入れ、野菜を引き抜くように全身を使って、リオルの体からウロウを引き剥がし、「グルルルル」と唸っているウロウを僕の足の間に座らせて、髪を動かして隠すところはちゃんと隠せるようにする。
身じろぎされたらそれで見えてしまうのだが、それは僕がまた髪をかけてやるだけでいいだろう。
「それで、肝心のウロウの事、一言も出てこなかったんですが」
「そりゃねぇ、真面目なことをあんなおふざけで言えるわけないでしょ」
「そうですか、さっさと言って下さい」
じゃないと、僕とウロウと、ウロウに止められている子供たちがそこの2人に混ざることになるぞ、と、
『もーにんぐすたー』だと思われる武器でリオルの体を抉ったり、潰したりしている2人、フィーフィーとQの2人を指差していう。
「あはっ、それはやだねぇ、この2人だけでも僕の体使われきっちゃってるよ」
なら早く答えろよと、僕は思う。
フィーフィーとQは今日に喋るのに支障が出ない部分だけを抉ったり、潰したりしているので話せるはずだ。
そう思った瞬間だった。
リオルは相変わらず、大切なことをなんでもないことのようにいう。
「ウロウちゃんの腹の中に緑の宝玉と紫の宝玉が入ってるからだよ」
ズバッと、僕の足の間に座っていた、
つまりは、腹を無防備に晒していたウロウの腹が、パックリと開いた。
当然、血は出る。
吹き出す。
緑色が、黄緑色が、深緑色が、全部全部、一緒くたに赤黒く、血の色に染まっていく。
驚いて、声も出なかった。
ウロウの腹が開かれたことが一番でかいが、それだけでは僕は動きを止めたりしない。すぐに止血しようとするはずだ。
地面から急に生えてきた、生身の人間の腕が、ウロウの腹を開いたのでなければ、
そんな超常的なことが起きてなければ、僕はすぐに動けていた。
遅まきながら、ウロウの腹が血を吹き出して1秒後に、ウロウの切り開いた腹に腕が手を入れかけた瞬間に、僕は後ろに飛び退いた。
飛び退いたというか、後転したというか、とりあえず、腕から離れる。
「あーあー、ザーンネン。これで取れれば、オレノシゴトハオワリダッタノニナァ」
はーあ、ザーンネン。
ため息をつきながら、ズズズズと人が1人、土の中から出てくる。
「誰だ、オマエ」
「いやいや、キミモシッテルダロ、悲しいなぁ。ボクダヨ、Qこと、エルデネンス・クラミリア、だよ」
覚えてもらえてないなんて、カナシイナァ、はあ。
ウロウが腕の中で暴れて、僕はすぐに離して立ち上がる。
骨の短剣を構えて。
ウロウの腹から、もう血は出ていない。
何という超回復。
でも、失った血はどうするんだ。
「ああ、そこら辺は大丈夫、それもお腹の傷と一緒に治してるから」
僕たちとQの間にある険悪な雰囲気なんて気にしてるとも思えない声でリオルは言う。
だが、それで分かった、とりあえず、大丈夫。
改めて、僕は短剣を構える。
「ねぇ、オレニソコノコノハラノナカミクレナイ?」
「駄目だ。絶対に」
僕はそう言った。
「きゃー、アウト君カッコイイイイ!」
あんたはちょっと黙ってろ‼︎