71回目 あえて情報を隠していた理由
「しかし、なんで新兵器が?」
敵の新兵器の情報。
それが出た後に、そんな疑問が出てくる。
「今まで全く見なかったが」
もし、より強力な兵器があったならば、なぜ出してこなかったのか?
もしかしてこれは、新規に開発されたものなのか?
そんな異世界人達から疑問が出てくる。
それらを日本側の人間が否定していく。
「いえ、これらは何年も前にこちらでも確認してました」
「なに?!」
「それはいったい、どういう事なんだ?」
異世界側の者達が騒ぎ始める。
「まず、人工衛星からの監視で発見自体は既にしてました」
それもそうだろうと異世界側の者達は思った。
衛星軌道から監視が出来るなら、こういったものも発見してるはずである。
「それを今まで公表しなかったのは?」
「皆さんの士気を落とさない為です」
この辺りは、第二大陸での事もある。
情報収集や抵抗組織を作ろうにも、誰も協力しなかった。
来訪者を恐れてだ。
その為、実力を先に見せる必要があった。
第一大陸でも実際には似たような事があった。
はたして日本に撃退出来るのか、という不安が異世界人の間にあった。
あからさまではなかったが、不信感を抱いてるのはうかがえた。
それが第一大陸ではあまり表に出なかった。
不信感もすぐに払拭されたからだ。
日本が来訪者の軍勢を蹴散らすのを見て。
だからそう大きな問題にはならなかった。
それでも、疑うような素振りは見せていた。
そんな者達に手に入れた情報をなんでも見せるわけにもいかなかった。
それで士気がくじけたら、より悲惨な状況になっていたかもしれない。
全てを諦めて降伏しようと。
助けを求めた日本に敵対する事も考えられた。
「だから、ある程度落ち着くまでは情報を秘匿したのです」
「なるほど、そういう事か」
話を聞いた異世界人は何も言い返せなかった。
確かに最初の頃にこんな情報を聞けば、その場で抵抗を放棄しただろう。
目の前にいる軍勢ですら太刀打ちできない。
それより強力な兵器が背後に控えてる。
そんな敵に勝てるわけ無いと。
だったら、奴隷になってでも生きようと。
そう考える事になっていただろう。
そのときの事を思い出した異世界人は、日本人の懸念を否定する事が出来なかった。
「でも、今の皆さんなら大丈夫だろう。
そう判断したんです」
「それはありがたいな」
そこまで信用されるようになった。
それはありがたい。
だが、同時に切ないものもあった。
今まで全く信用されてなかったとも言えるのだから。
しょうがない事だと納得出来るけども。
「まあ、今更ここで諦めたりはしないよ。
対抗できる力を手に入れたんだからな」
そう言って異世界側の代表者は気持ちを伝える。
「ここまで来たら最後まで戦う。
我々の自由の為に」
「お願いします。
我々にも皆さんが必要なんですから」
あらためて両者は、今後の協力を確かめていった。




