62回目 来訪者が受けるべき当然の報いと、それを為す者達による報復
来訪者達に悪いことをしてるという意識はない。
むしろ、これ以上ないほどの善行をつんできてるという思いがあった。
彼らの神であるイエルの教えに従ってるからだ。
その神の教えに従い、この世界でなすべき事をした。
教えの通りに活動してきた。
だから何一つ悪い事はしていない。
むしろ、褒められるべき善人であると誰もが自負していた。
いや、自負というのは違うだろう。
彼らは当たり前の事をしたのだ。
心の底から思ってる。
彼らの考えや行動の基準からは何一つ外れてない。
だから、やってる事が悪い事だという意識は無い。
意識する事も出来ない。
それがおかしいと言われれば、彼らはこう言うだろう。
「なあ、俺たち何か悪い事をしたのか?」
そう言って首をかしげる。
むしろ、そんな糾弾など心外だとすら思う。
それが来訪者達である。
「きっと、あの野蛮人達は御心が分からないのよ」
子供に問われた母はそう答える。
そこには紛れもない哀れみがあった。
彼女が蛮族と呼ぶ異世界人への。
「あの人達は道をあやまったわ。
だからきっと地獄に行ってしまう。
かわいそうだけど……」
そういう母親の言葉に、周りの者達も憂鬱な顔をしてため息を吐く。
それは、無言での同意だった。
母親が口にしている事への。
「だからね、ボクはああなっては駄目よ」
「うん…………」
我が子を優しく抱きしめる母。
そんな母に子供も頷く。
母の言いつけを守ろうと。
そんなトラックが爆発する。
潜んでいたゲリラによるものだ。
ロケットランチャーによる一撃で、トラックは盛大に爆発する。
とっさの事に、魔力による防御をする事も出来なかった。
トラックも、乗っていた者達も盛大に吹き飛ぶ。
それでもなんとか生きている者もいた。
しかし、それらも飛び出してきたゲリラに処分されていく。
手にした銃で、あるいは鉈や斧や包丁などで。
「おい、どうだ?」
「終わったぞ」
「こっちも片付いた」
生存者がいない事を確認していくゲリラ達。
その目には激しい怒りが宿っている。
「ふざけやがって」
来訪者を見る目には微塵も優しさはない。
例外なく誰もが怒りを抱いている。
「あれだけ好き勝手しやがって」
「逃がすと思ってんのか」
そんな声があちこちから上がる。
そこには紛れもない憎悪があった。
怒りがあった。
そして、歓喜があった。
ようやく出来るようになった復讐への。




