57回目 異世界人の戦争 4
海においても似たような状況だ。
来訪者側の航路を妨害する。
そして、自分たちの海路を守る。
その為に広く展開する海軍は、来訪者艦隊を次々に撃沈していく。
来訪者たちも馬鹿ではない。
航路を邪魔しにくるなら撃退する。
それに、輸送艦隊を放置出来ない。
それが増援を続々と送り込んでくる。
来訪者としては、これを絶対に阻止せねばならなかった。
だが、それが簡単にいかない。
空はF15戦闘機やF2戦闘機が護衛をしている。
これにより、戦闘機による攻撃が阻止される。
ならば艦隊戦をしようにも、それもままならない。
日本と第一大陸の艦隊が出てくるからだ。
日本艦隊にかなわないのは来訪者も分かってる。
なので、可能な限りこれを避けている。
しかし、だからといって第一大陸の艦隊に勝てるかというと、そうではない。
その艦艇もまた、日本の既存技術で作られた廉価品だ。
性能もほどほどである。
大きさもそれほどではない。
何せ、基準排水量が1000トン。
全長も100メートル足らずである。
現代の感覚からすれば、小型船というしかない。
しかし、これもまた「この世界において必要にして十分な能力」をもっている。
空から近づく敵には、射程距離を延長した連装携帯対空ミサイルが迎撃。
それをすり抜けても、CIWS20ミリ対空機関砲が相手をする。
艦船には、遠距離・大型艦艇用に、発展改良された魚雷が。
近距離・小型艦艇用には76ミリ艦載砲が。
それぞれ敵を撃沈していく。
また、ほとんど必要ないが、潜水艦対策として爆雷も搭載している。
今はまだ確認されてないが、来訪者が潜水艦を持ち出した時に備えて。
その為に、対潜水艦ロケット砲を復活させて装備させている。
当然ながら、レーダーも水中探知機も装備。
接近する敵をいち早く見つけていく。
いずれも能力は日本海軍艦艇に劣る。
だが、当然ながら能力は来訪者の艦艇を大きく上回る。
それが証拠に、戦闘になればほとんど損害もなく勝利を得ている。
これらが日本艦隊がまかなえない数と範囲を補っていく。
それらが第二大陸への航路を守っている。
そして、来訪者の航路を潰す為に広範囲に展開する。
第二大陸にいる来訪者たちは、次第に孤立していく。
それと同時に、第二大陸は本来の持ち主たちが自分の勢力を回復していく。
それでもまだ来訪者たちは、日本と第一大陸の手の及ばない海を通っていく。
更に遠回りになっていくが、まだ完全に行き来が途絶えたわけではない。
しかしそれも、いつまで続くのか。
日本と異世界人は、来訪者を居座らせるつもりはない。
第二大陸からも一掃するために活動を活発化させていく。




