39回目 来訪者たちの困惑
日本と異世界人が動き出してる頃。
来訪者たちも動いていた。
第一大陸での敗北。
それは大きな衝撃をもたらした。
これまで連戦連勝だった来訪者たちである。
それが最後の最後で頓挫するとは思わなかった。
しかもその敗北は完膚なきものだった。
いったい何がどうしてこうなったのか。
その解明のために様々な手段がとられた。
だが、もちろん分かるわけがない。
情報を得ようにも、現地の事を知る者がいないのだから。
分かってるのは、現地から送られたてきた報告。
それらだけが状況を知る唯一の手段だった。
「とはいえ……」
その報告書をめくる者達は困惑する。
そこに書かれていた事に面食らってるからだ。
「なんだこれは?」
要領を得ない内容だった。
戦闘機は突然爆発したとか。
戦車は敵に近づく前に撃破されたとか。
軍艦も航行中に突然爆発しただの。
そんな記述ばかりだった。
とにかく詳細が分からない。
ふざけてるのかと誰もが思ったのだが。
「本当にそうなんだ」
数少ない生還者はそう繰り返すだけ。
「とにかく、分からない。
ただ、突然やられたんだ」
念のために魔術などを使って確認する。
嘘をついてないかどうかを。
その結果は、いずれも潔白。
誰も嘘はついてなかった。
むしろ、これ以上無く真実を語ってる。
つまり、本当に分かってないのだ。
何が起こったのか。
どうしてそうなったのか。
唯一分かってるのは、地上戦くらい。
そこから生き返った者達は、これまた口を揃えてこう言う。
「敵の戦車はこちらの攻撃を受け付けない」
「敵の攻撃は、こちらを遠距離から撃破する」
兵士たちも同じだ。
「敵の攻撃は、こちらの魔力防御を撃ち抜いてきた」
「爆発もあちこちで起こった」
「魔術なのだとは思うが。
だが、魔力が動いた気配はなかった」
肉薄して戦った者達も、概ねこのような事を繰り返す。
しかし、何が起こったのかは分かってない。
いずれも、起こった現象をただ口にするだけだった。
それはそれで問題は無い。
仕組みが分かってないなら、そう言うしかないのだから。
だが、そこから何が起こってるのかを調べるのは難しい。
「何がどうなってる……?」
調査を担当する者達は困惑した。
とにかく、理由や原因が分からない。
どうしてそうなってるのか?
全てが不明だった。
しかし、数少ない情報から分かる事もある。
完璧ではないが、相手の力量をはかる事は出来る。
例えば、地上戦。
そこでの証言から考えるに、敵の戦車はこちらの戦車よりも性能が上。
攻撃も防御も上回っている。
機動力の方もだ。
途中から参戦してきた敵の戦闘集団。
それらは迅速に進み、戦場をかきまわしていく。
その目撃情報から、ある程度の速度が分かる。
それもまた、来訪者たちの兵器を上回る。
そういった所から察するに、敵の兵器の性能もある程度予想出来る。
それらを出来るだけ数値化していく。
砲撃距離、命中精度、防御力、速力などなど。
それで分かった敵の性能。
それに来訪者たちは驚愕する事になる。
「まさか……」
「嘘だろ」
「信じられん」
解析を続けていくうちに、担当者たちの顔面は蒼白になっていった。
それらが示す事実は一つ。
敵は圧倒的に自分たちを上回ってる。
このことに行き当たった来訪者たちは頭を抱える。
調査に当たった者達はこれを上層部に報告。
上層部もこれに頭を抱える。
最初は否定し、しかし無視する事も出来なくて。
「なんという事だ……」
誰もがそんな思いを抱いた。
抱きながらも、対策を考えていく。
この敵に何が出来るのか。
自分たちはどうすればいいのかを。




