31回目 壊滅的な減少、地獄の撤退路
「急げ!」
司令部から様々な指示が出る。
それらは、効果的に安全に残存部隊を合流させる為。
少しでも兵力を回収する為。
迫る日本軍に対抗する為に、少しでも多くの兵力を帰還させる為。
もう勝利の為に出される指示など存在しない。
「敵が来る!」
迫る日本軍への備え。
その為だけに兵力を集める。
残った唯一の独立勢力。
それらを駆逐するという目的などもう考えてない。
圧倒的な兵力を難なく駆逐した敵。
それが迫っているのだ。
身を守る事を優先するしかない。
だが、状況は厳しい。
残存兵力を集めても、たいした数にはならない。
戦闘機は1000機ぽっち。
戦車を含めた戦闘車両は、5000輛
軍艦は300隻。
これが手元に残った全戦力だ。
今までであれば、十分な戦力だった。
過剰とすら言える。
異世界人だけならば問題なくこれだけの戦力で蹂躙出来た。
だが、もうそういう状況ではない。
戦闘前はこの10倍くらいの戦力があったのだ。
それが今や、この程度しか残ってない。
しかも、各地の残存部隊をかき集めてだ。
撤退中の部隊が合流すればもう少し増えるのだが。
それらが無事に到着するか分からない。
撤退中も、日本軍が攻撃を仕掛けている。
航空攻撃が主だが、それによって移動中の来訪者部隊が壊滅。
更に、撤退する部隊と接触する位置にいる日本軍による撃破。
これによって、来訪者の残存部隊が幾つか消滅している。
取り残された部隊が、開放地を制圧する異世界人部隊に殲滅されたりもしている。
こうした事により、無事に合流を果たす者が減っている。
どうにか安全な場所を伝って移動できるよう誘導もしているが。
それでも来訪者達の部隊は、日本軍に見つかって消えていく。
衛星軌道からの監視と航空機の偵察によるものだ。
来訪者達の動きはほぼ筒抜けである。
例外は、単独や数人程度の小数で動いてる者達。
見つけにくいこういった者達でもなければ、無事に帰還を果たす事は出来ない。
それでも、それなりの数の部隊が帰還する。
数の多い来訪者の軍勢に対して、日本軍の数は少ない。
全ての敵部隊に対応するなど不可能だ。
ただ、日本軍に接触した部隊は、ほぼ全て壊滅していく。
これもまた、まごう事なき事実だった。




