3回目 外向使節派遣と、国内のちょっとした状況
危険を考えて、自衛隊を護衛につけての外交使節派遣。
この異常な状況を考えての措置だった。
これについて国内から反対は出なかった。
全国民が天照の声を聞いていたからだろう。
反対してる場合ではないという事を誰もが理解していた。
それでも反対する者は誰かしら出てくるものだが。
そういった者も今回は黙っていた。
黙っているというより、いなくなっていた。
ものの例えでも何でもない。
本当に日本から消えていた。
「転移の時にこっちに来なかったんだろうなあ」
誰ともなしにそう言い始めた。
実際、その通りだった。
何かにつけて自衛隊派遣を止める者達。
そういった者はことごとく消えていた。
それが分かるのは、後に人口動態などを調査した時だった。
在外日本人が帰還し、在日外国人が母国に帰った。
そうなると、どうしても人口に変化があらわれる。
それを正確に把握する必要があったからだ。
その結果、日本の人口は2000万人ほど減った。
国会議員から政府・官公庁、民間企業や各団体、隣近所といった様々な所から。
意外と外国人は多かったようだ。
その為、一時的に機能が停止した組織や団体、部署なども出てきた。
それを補うのに幾らか時間を費やす事にもなる。
だが、そんな状況でも外交使節は派遣された。
必要な人材を集めて。
他の部署から引き抜いてでも。
それだけ緊急で行わねばならない事だった。
そうして出航した外向使節と護衛艦隊。
彼らは目指す場所へと一直線に進んでいった。
日本のこれからを背負って。