18回目 準備期間
日本が異世界転移して3年目。
異世界に作った産業・生産地帯がある程度まともに動き出す。
教育や訓練を終えた現地人が増えてきたためだ。
同じように軍隊の方も兵員が充実しはじめていく。
こちらも初歩的な教育と兵士としての訓練を終えた者が増えてきた。
足りなかった前線を補う兵力。
これがだんだんと揃っていく。
ただ、空軍と海軍はそうはいかない。
戦闘機も軍艦も簡単に作れるものではない。
搭乗員の教育には、それ以上の手間と時間がかかる。
これらはとりあえず現状維持をするだけで限界だった。
それでも兵力は増えた。
これで少しは余裕が出来る。
とはいっても、全く安心出来ない状況だ。
「敵の増強が厄介だな」
増えるつづける来訪者達の軍勢。
それは脅威でしかなかった。
所狭しと並ぶ敵の戦車と戦闘機。
そして、海上に浮かぶ軍艦達。
一つ一つが弱くても、大勢になるとさすがに脅威だった。
対抗するために弾薬などの増産は続けている。
しかし、それで足りるかどうか。
一斉に襲いかかってきたら防ぎきれるかどうかも怪しい。
日本と異世界人も、それに備えて防衛体制を作っていく。
しかし、守るべき場所の広さに対して、備えは薄くなってしまう。
やむなく、一部地域は放棄していく。
全てを守るのは不可能という判断からだ。
守る場所が減れば、それだけ守りの手間も減る。
疎開が始められ、住人の避難が進められていく。
入れ替わるように軍隊が出向き、準備を進めていく。
敵を食い止め、少しずつ削りながら後退するために。
その為に少しでも前に出る。
迎え撃つ体制を作るために。
そうして3年目が終わろうとしていく。
日本・異世界人も来訪者も相応の準備をととのえていく。
どちらも、いつ動き出してもおかしくない。




