13回目 まず最初に人を作る
はじまる戦力強化。
その為の第一歩として、まずは人への教育がはじまる。
生産工場を任せるにしろ、兵士として戦うにしろ。
何にしろ、基礎的な教育が足りてない。
読み書きや計算が出来ないというだけではない。
命令をしてもその通りに動けない。
そもそもとして、命令された事を理解できない。
そういう段階である。
複雑な言い回しや言葉。
それらを知らない者が多いのだ。
なので、指示を出しても理解できずに戸惑う者が出てくる。
極端な話、「前に進め」「後ろに下がれ」といった事くらいしか理解できない。
教育水準の低さのためだ。
これらをすぐに改善する事は出来ない。
だが、そうも言ってられない。
今すぐにでも戦えるように、作業が出来るようになってもらわないと困る。
その為に、最低限の事を教え込まねばならなかった。
まず基礎の基礎。
戦闘や作業と関係ない所から。
兵士や作業員としてではなく、人としての基礎を訓練していかねばならない。
それこそ、挨拶の仕方から、掃除のやり方まで。
そこからやっていかねばならない。
その為の機関が作られ、やり方が考えられていく。
それだけの手間をかけねばならない状況だった。
でなければ、戦場で無駄死にが積み重なる事になる。
作業で損失を出し続ける事になる。
それを避けるためにも、必要な措置になっていく。
「とんでもない事になったな」
担当する者達は頭を抱える。
兵士としても作業員としても、使えるようになるまで何年もかかる。
やらねばならない事だが、それまでは日本が支えねばならない。
「まあ、時間をかけてやっていくしかないか」
上は大臣から、下は現場の担当者まで。
それぞれが同じような事を呟いた。




