12回目 交流からの、武器提供
日本が異世界に転移して1年。
その間、日本は現地における産業基盤の構築。
そして、現地の詳しい状況の調査を続けていた。
まず、この異世界がどういうものなのか。
文明や産業の発展具合はどうなのか?
この世界にある魔術とはどういうものなのか?
人々の考えや行動規範などはどういったものなのか?
そういった事をつぶさに調べてもいた。
相手と交渉する為にも、知っておかねばならない事だ。
文化や習慣が違えば、考え方なども変わってくる。
ちょっとした仕草が、相手にとって最大級の侮辱だという事もある。
その逆に、何気ない事が相手への最上級の敬意をあらわす事もある。
そういった違いで、無駄な誤解やすれ違い、衝突に摩擦を発生させない為にもだ。
これらを知るために、日本も異世界側も様々な交流をもった。
どちらも当面は、敵に対する為に様々な協力が必要になるのだから。
それららの目処がある程度たってきた。
完全ではないにしても、相手の事がだいたい分かるようにもなった。
それを踏まえて、日本は異世界側に武器を与える事にした。
もちろん、制限はつけるが。
今のところはどうにか日本軍だけで敵を撃退出来ている。
しかし、このままでは敵を押し返す事は出来ない。
奪われた地域の奪回など不可能だ。
そこで、単純に兵力を増やすために、日本の武器を提供する事になった。
異世界側の人間の思考がだいたい分かってきたからでもある。
この先どうなるか分からないが、危機的な状況で馬鹿なことはしない。
それくらいの信用は出来る相手だと判断してだ。
でなければ、怖くて武器など渡せない。
まずは歩兵用の装備。
銃と手榴弾。
このあたりから提供していく。
ただ、さすがに連射機能や機関銃などは除いていく。
さすがにそこまで信用して良いのか分からない。
様子を見てからになる。
そしてもう一つ。
大陸に生産工場も作っていく。
日本国内の設備だけでは足りなくなるからだ。
この一年で、日本における生産施設も格段に整備されたのだが。
それでも、今後必要になる消費量に対応できなくなるからだ。
なにせ、異世界の者達も銃などを使うようになる。
そうなると、銃弾の消費量が格段に増える。
今の段階でも、結構ギリギリなのだ。
このままでは対応できなくなる。
その為、異世界の者達にも生産に参加してもらう事になる。
武器を手に取り戦闘にも参加してもらう。
今までは圧倒的な兵力差があったからそれもままならなかったが。
これからは違う。
日本は少ない戦力を補うため。
異世界の住人は自分たちの居場所を取り戻すため。
手を取り合って次の段階に進もうとしていた。




