k01-51 終幕
濛々と舞い上がった砂煙が収まり、徐々に明らかになるバトルエリアの様子。
……まず、シェンナの姿が見て取れた。
両手を前に突き出したまま、肩で息を切らしている。
その手からは粉々になった魔鉱石がパラパラと崩れ落ちる。
次第にその周りの様子も見えてくる。
地面は粉々に砕け散り、まるで激しい爆撃を受けたような有様。
唯一シェンナが立っている周辺のみが無傷のままで形を残している。
その様子から、結界の内部は相当な衝撃だった事が伺える。
そして、火球が直撃した爆心地の砂ぼこりも徐々に収まり出す。
その中から姿を現したのは……
マスター・ジンだった。
漆黒の刀を正眼に構え、今までに見たことの無い鋭い目つきでシェンナを睨む。
その後ろでは目を見開き唖然とした様子のカルーナがへたり込んでいる。
騒然とする場内……。
シェンナが擦れた声を上げる。
「――どういう事よ!! 何であんたが居るのよ!! 痛ッ……」
散弾銃でのダメージで立つのもやっとの状態。そこに輝石魔法の反動も加わり、そのまま倒れ受け身も取れずに倒れ込む。
地面に頭を打つ瞬間、素早く駆け寄ったジンが受け止める。
動けないシェンナをそのままそっと床に寝せると……ジンはそのおでこに向かって結構キツめのチョップをお見舞いする!
「痛ぃ……! 何すんのよ!!?」
「おめーの方こそ何してくれてんだよ! こんな狭い所で広範囲焼壊型の中級魔法なんかぶっ放すんじゃねぇよ! しかも威力増強の補助魔法陣まで増し増しで!」
そう言って声を荒げるジンの顔からは、さっきまでの険しい表情はもう消えていた。
「まったく、焼壊範囲の調整もされてねぇし……こんなもんまともに炸裂したら半径数十メートル残さず消し炭になるわっ!」
「ち、ちょっと! なに言ってんのか全然分かんないんだけど! 私はノートに載ってた通りやっただけだし……」
「マジかぁ……。お前、あの落書き見ただけでって……。いや、マジか……」
そう言って大きくため息をつくジン。
ジンの肩を借りてどうにか立ち上がるシェンナ。
「まぁ……確かに思ってたより派手に爆発してびっくりしたけど、ほら現にこうして会場も無事な訳でそこまで大した事は……」
「無事になるように爆散させたんだよ! 俺が!」
「ん……? てか、あんたが消し炭になってないってことは、失敗?」
「違うわ! 単純に俺が凄いの! てか、下手したらお前も巻き込まれてたぞ! 手榴弾を思いっきり足元に叩きつけるような使い方した訳で……!!」
そんな感じの口喧嘩が始まったところで、どうにか我に返ったカルーナが口を挟む。
「ど、どうなって……どういう事よ!? 説明しなさいよ」
「どうもこうも、見て分かるだろ? あんたの負けだよ」
そう言ってカルーナに視線を落とすジン。
「……ま、負け? 私が……? ち、違うわよ! わ、私は怪我の1つもしてないし、なんなら麻痺だってそろそろ解けてきたわ! 私は、負けてなんて……!」
そう言って立ち上がろうとするカルーナを遮り、ジンが係員席の教員に声を掛ける。
「おい、記録係! 今の爆発の威力値出せるか!?」
呆然としていた職員が、急に声をかけられ慌ててモニターを確認する。
「き、記録取れてます。威力値……102,000!?」
「10万!? 戦車砲の10倍以上じゃない!!」
シェンナが自分で驚く。
「だから言っただろ! もしまともに炸裂してたらこんな演習用の結界、シャボン玉みたいに消し飛んでたわ!」
そう言って再びシェンナの頭にチョップをお見舞いする。
頭を押さえて呻くシェンナを尻目に、ジンはカルーナを見据えながら告げる。
「もしあんたが、私は戦車の主砲10発くらっても全然平気だったわ、と言い張るならそれでも良い。今回の試合は無効として後日再戦しな。その場合、次は容赦なくしょっぱなから今のやつお見舞いしてくると思うぜ? 次は助けてやんねぇからな。後は好きにしろ」
そう言って、その場を去るジン。
その後ろ姿を鋭い視線でを睨みつけていたカルーナだが、やがて諦めたようにそっと目を閉じ溜め息をつく。
「……分かったわよ。シェンナ、あなたの勝ちよ」
カルーナの発言を聞き届け、シエンが声高らかに宣言する。
「そこまで! 勝者、シェンナ・ノーブル・フェイオニス! これにてリベライルの終了を宣言する!!」
会場から溢れんばかりの拍手と喝さいが沸き起こる!
『すげぇぇぇ!!』
『何ださっきの!!』
『え、え? 結界が無事なんだし見た目程凄くないんだろ? そうだよな?』
『ウソつけ! 会場揺れまくってたぞ!』
『さすが俺のシェンナちゃんだぜ〜!』
『誰がお前のだよっ!!』
会場の熱気は暫く覚める事は無かった。






