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k01-41 救世主?現る

「うぉ! びっくりした……何か人いっぱい居るし。何? あ、いらっしゃいませ」



 このホームの主、マスター・ジンがひと際呑気な様子で部屋の入り口に立っていた。



「ま、マスター……!」


 その姿を見てアイネが再び泣き出す。


「な、なんだよ!?」


 突然のことに慌てふためくジン。



「あら、丁度良い所に! マスター・ジンあなたにお聞きしたい事があるの!」


 そう言ってカルーナが歩み寄る。



「いや、色々お聞きしたいのはこっちだが」


 泣いているアイネに、床に散乱した本やガラス瓶……どう見てもただ事じゃない。



「黙りなさい!」


 ドン引きしているジンにはお構いなしに、カルーナは手に持った機器を突き付ける。


「これはガルガティア製の機器ね?」



 焦点が合わない程の眼前に突き付けられ、思わず1,2歩下がるジン。


「……そうっぽいな」


「認めるのね!」


「認めるもなにも、基盤に刻印されてるしな」


「……どうして敵国の機器がここにあるのかしら!?」


「あーー、それねぇ……。ん~~困ったなぁ。それ、言っちゃいけない約束になってて・・・」


「言い逃れ出来ないようね!? 一緒に教務課……いいえ!! 警備室まで来て貰うわよ!?」


「いやぁ……。それも困るんだが」



 そう言ってバツが悪そうに笑うジン


 この事態で何ヘラヘラ笑ってるのよ!?



「だいたい、私は最初から怪しいと思ってたのよ!! その黒髪に黒い瞳。あなた、黒が表す言葉知ってる? ……"災厄"よ」



 キプロポリスでは髪と瞳の色はその人を現す上で大きな意味を持つ。


 私の実家、ノーブル家では代々"赤"がその象徴。

 炎や火薬、情熱や正義を現す。


 青は水や氷に、冷静さや知性。緑は大地や木々、優しさ……。


 その中で極々稀に現れる"黒"を持つ者。

 彼らは異端者として扱われる事が多い。


 最も……髪色なんて染めれば簡単に変えられるから、このマスターも趣味で染めてるんだと思ってたけど。





「……そう"厄災"。それに、"変革"と"終焉"ね」


 突然、開けっ放しになっていた扉の外から声がして、驚いた全員がそちらを見る。


 扉を開けて入ってきたのは……グランドマスター・シエンだった!!



 ーーーーー



「その機器、私が調査を依頼したのよ」



「ど、どういう事ですか!? グランドマスター」


 突然のグランドマスターの登場に、分かりやすく顔を引き攣らせたカルーナが冷や汗を流しながら問いかける。


「それね。演習エリアで発見された物なんだけど。職員にあまり詳しい者が居なくてね。私からマスター・ジンに調査を依頼したのよ。彼こう見えて機械とか強いのよ?」



 そう言いながら部屋の中央まで歩みを進める。


「で、その調査結果の聞き取りと、新しいホームのお披露目も兼ねて案内してもらっていたのだけれど。中々立派なホームじゃない。良いセンスね」


「だろ! 我ながら気に入ってんだ……ですよ」


 そう言ってグランドマスターの横に並ぶジン。



「そうね。冬は少し寒そうだけど、コタツなんかも良いかしらね……。それはさておき、ごめんなさいねあなた達。今日はマスター・ジンと大切な話があって……。申し訳ないのだけれどファミリアの部外者は外して頂けないかしら?」


 そう言って、カルーナが持つ機器をひょいと取り上げるシエン。


「……! お、お待ちください、グランドマスター! それはガルガティア製の機器ですよ! そんな物がおいそれと演習場に落ちているはずが……」


 必死に食い下がるカルーナ。


「……マスター・カルーナ。私の言葉が聞こえなかった? こう見えてそれなりに忙しいのよ。余計な時間を取らせないで貰えるかしら」


 そう言って静かな視線をカルーナに向ける。



 ……とんでもない迫力だ。


 さっきまで横暴の限りを尽くしていたカルーナが小物のような扱い。


 ただ静かに睨まれただけで、決してこの人に逆らってはいけないと思い知らされる類の迫力。



「い、いえ。申し訳ありません……失礼します」


 そう言ってカルーナはそそくさと部屋を後にする。



 それに続いて、エーリエも一礼し部屋を後にする。


 部屋を出る時、一瞬悲しい目で私の事を見た気がした……。



「……あ! すいませんマスター・ジン、ひとつだけ! アイネ、怪我しててその手当だけすぐにお願いできますか?」


「ん? そうなのか? 大丈夫か」


 アイネは慌てて血の出ている手を後ろに隠す。


「あ、いえ、全然平気です! そんなに大した事ないので! そんな事よりシェンナ、すぐにマスター・カルーナに謝りに行こう! 私のせいで大変な事に……」


「アイネは心配しなくて良いから。これは私の問題……では失礼します!」


 そう言ってグランドマスターと、マスター・ジンにお辞儀をし足早にその場を後にした。

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