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k01-36 急な呼び出し

 エーリエと別れた後、真っ直ぐ寮に戻り軽く夕飯を取った。


 ファミリアの課題を少し片付け、シャワーを浴び終えると時刻は20時を過ぎていた。


 ふと見ると、脱衣所に置いた端末が着信を告げている。



 髪を拭きながら内容を確認すると……マスター・カルーナからだった!


 慌てて折り返すと、出来れば直ぐに会いたいとのこと。


 時間も時間なので私服のままで良いというので、念のため綺麗めなジャケットを羽織り急いでホームに向かう。



 こんな時間に何だろう……。


 退院後、マスターとは1,2度顔を合わせて言葉を交わしたけれど、それ以外は殆ど話していなかった。


 連日の調査で相当忙しいみたいだったけど……。



 ーーーーー


 ホームのドアをノックし、マスターの返事を確認してから中に入る。



 奥にあるテーブルで、マスターとエーリエが向かい合って立っていた。


 他の皆は既に帰宅したのか、2人きりだ。



「ごめんなさいね、帰った後だったのに呼び出したりして」


 酷く疲れた顔で私を労うマスター。


 連日の調査や心労でまともに寝れていないんだと思う。



 エーリエの隣に並んで立つ。




「2人とも来てくれてありがとう。どうぞ掛けて」



 マスターに促され応接テーブルに据えられたソファーに座る。


 反対側にはマスターが。


 ………



 しばらく間を置いた後、マスターがおもむろに口を開く。



「唐突だけど……あなた達、アイネ・ヴァン・アルストメリアと交友があるわね?」



 ……!


 てっきり事故に関わる話だと思ってたから、突然な話に思わず一瞬目が泳ぐ。



 話の意図が全く読めない。


 “大罪人“とつるむのはファミリアの評判に良くないから縁を切れとか?


 もしそう言われたら私は何て答えよう……それならいっそ関係の事自体黙ってた方が良いのか?



 色々と思考を巡らせ、一瞬答えに詰まっている間に、先にエーリエが答える。




「はい! たまにご飯食べる程度ですけど、なんやかんやで最近は良く一緒に居ますよ!」



 そう答えるエーリエの顔に、迷いは一切無い。


 それが何か問題ありますか? と言わんばかりに真っ直ぐマスターを見つめる。



 嘘偽りのない彼女を見ていると、どこまでいっても保身的な自分の思考に嫌気が刺す。



「……私は幼少の頃家同士交流があったので元々面識がありました。

 長い間疎遠でしたが、最近はまた少し顔を合わせる機会が増えました」


 それ以上でもそれ以下でもない、ありのままの説明。



 マスターは私とエーリエの目を交互に眺めた後、再び口を開く。




「そう、それは良かった! それで、彼女の所属ファミリア、ジン・ファミリアについてなんだけど……。ホームの具体的な場所って分かるかしら?」



 続けざまに想定外の質問が来て再び視線が泳ぐ。


 同時に、つい数時間前にアイネから言われた事が脳裏をよぎる。



『ここの事は他の人には内緒にしておいて! お願い』



 ……いくらマスターが相手とは言え、アイネを裏切る訳にはいかない。



「いいえ、詳しいことは……」


 当たり障りなく返答する。



「すいません。うちも詳しい事は何も知らなくて……」


 続いてエーリエも答える。



 良かった……まぁ、エーリエの事だからあっさりアイネを裏切る事は無いとは思ってたけど。

 とりあえず私達の意志は一緒なようで安心した。



 ここで、こちらから探りを入れる為質問に転じてみる。



「教務課に問い合わせれば分かるかと思いますけど?」



「……勿論問い合わせ済みよ。でも学園から提示したのが“演習エリアの一画”なんてだだっ広い範囲なもので、具体的な拠点が分からないのよ」



 そう言って机の上の書類に目を落とすマスター。


 テイルの敷地図の隅にあるだだっ広い森。

 その中の一部に大きく丸がつけられている。


 演習エリアの奥地は、魔法障壁で外部とは隔離されているとは言え殆ど管理されておらず手付かずの森。


 そんな中でこれだけの広範囲となると、これは確かに見つからないわ……。




「まさかマモノの居る森の中で地面に教科書を並べて授業してるとも思えないし、洞穴なり仮説テントなり何かしらの拠点があるはずなのよ」



 確かに、普通はそう思うわよね。


 それがまさか、書斎にキッチン、リビング、トイレは勿論、露天風呂まで完備したラグジュアリー空間で優雅に過ごしてるなんて。


 部屋の中に視線を向ける。

 他のファミリアと比べても結構立派なうちのホームだけど、あれを見せられてからだと流石に見劣りするな……。





「ちなみに、ジン・ファミリアがどうかしたんですか?」


 続け様に質問を投げかける。


 ………


 一旦ソファーの背もたれに寄りかかり一息入れるマスター。

 座り直すと、声のトーンを抑えて話す。



「……いいかしら、今から話すのはここだけの話よ。私が信頼しているあなた達と私の3人だけの話。他言は無用で」



 そう言ってマスターが私達の目を見る



「はい……承知しました」


 私とエーリエが答えると、マスターが続ける。


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