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k01-25 魔兵器その威力

 トレアさんが話し終わるとほぼ同時に、藪の向こうから悲鳴が聞こえる!


「う……うわぁぁぁ!!」


 繰り返される猛攻耐えかね、男子生徒の持つ防御障壁がついに音を立て消し飛ぶ。


 それとほぼ同時。


「行くよ!」

「はい!!」


 トレアさんとカーティスが藪から飛び出しブラックウルフに向け駆け出す。


 2人が接敵するまでの僅かな間に、私とエーリエも、別々に藪の中を駆け互いに距離を取る。


 鬱蒼とした藪の中、小枝がどんどんと顔に当たり折れていく。

 枝で少し頬を切ったみたいだけどそんな事を気にしている場合じゃない。



 走りながら、手に持っていたライフルを背中の小型ランチャーと持ち替える。


 腰のポーチに入ったいくつかの榴弾の中から、緑色でマークされた物を取り出し弾倉に詰める。


 装填が完了するとほぼ同時に、ライフルの発射音が聞こえる!


 音の方を確認すると、トレアさんが対象に向けライフルを連射している。


 確か弾丸は――5.5×45mmストーンニードル弾!


 ライフルから連射された弾丸は、即座に鋭く尖った石片へと姿を変え、標的の頭部付近に突き刺さる!



「!? グゥゥゥ……!!」


 突然の攻撃に驚いたのか、押さえ込んでいた男子生徒を離し素早く向き直るブラックウルフ。


 トレアさんはそれを確認し、目標を中心に円を描くように駆け出す。



 走りながら、

「リロード!」

 と叫びライフルの弾倉を開放する。


 空になったマガジンが落下し、取り出した替えのマガジンを差し込む。

 素早く無駄のない装填。


 けれど、よりも遥かに速くブラックウルフがその巨体を宙に舞わせトレアさんに飛び掛かる!


 危ない!!

 援護するためランチャーの狙いを対象に合わせる!


 けれど、私が引き金を引くより先にひと際大きな発砲音が響く!


 死角から不意打ちを受けたブラックウルフは、攻撃を中断しそのまま地面へと着地した。


 リロードの合図を聞いたカーティスが、タイミングを合わせ目標の側面から横腹に向け至近距離でショットガンをぶっ放した!


 12ケージ・スパークショットシェル。


 無数の火の粉が拡散して飛び散り、それぞれが着弾点で小さな炎を上げている。


 その間に装填を完了させたトレアさんが再びライフルの連射を浴びせる!


 息の合った見事な連携!!




 ……だけど、何かおかしい。


 一連の攻撃は的確に急所を捉えてた。

 相当なダメージを与えたはず。


 中級とは言え、防御力の低いマモノならそろそろ倒れても良いはずなのに、どう言った訳か、目標には目立ったダメージが見て取れない。


 ブラックウルフはブルブルと軽く身震いをし、体制を立て直す。


 四足を地面に食い込ませ、姿勢を低く落とすと……飛び上がりそのまま大きく水平に一回転!!


 鋭い爪が斬撃の輪を描く!


「!!」


 瞬時に反応しどうにか飛び退く2人。


 その一瞬をブラックウルフは見逃さない。


 着地と同時に再び地面を蹴り、トレアさんへ向かって飛び込みの斬撃を繰り出す!



 危ない!!


 でも――この瞬間を待ってた!!!



 ランチャーのトリガーを引く!


「ポン」と圧縮された空気が弾ける音がし、榴弾が放たれる。


 ランチャーで使用する榴弾は弾速が遅く、無謀にに撃っては動きの速い対象には避けられる可能性が高い。


 確実に命中させるため、一番無防備になる状態……相手の攻撃の瞬間に合わせてカウンターを狙う!!



 狙い通り、飛翔した榴弾は目標の脇腹に命中!


 次の瞬間――


 強烈な爆風が放たれ目標を吹き飛ばす!


 40mmストームランス弾!


 内蔵された風の魔鉱石から放たれる風撃は、威力を高めるため一方向へ収束するよう調整されている。


 そのお陰で着弾地点付近でも射線から外れているトレアさんへダメージが及ぶ心配は無い。


 暴風は強力な突撃となって対象を吹き飛ばし、さらに圧縮された空気の刃は無数の刺傷を与える!!



 ブラックウルフの巨体が数メートル吹き飛び背後の大木を直撃、木ごとなぎ倒しながら地面に崩れ落ちる!


 見たかこの威力!!



 立て続けに、倒れている目標に向けて離れた藪から何かが投げ込まれる。


 その物体は着地と同時に……爆発!!


 強烈な爆風と共に激しい熱波が走る!



 投擲型火炎手榴弾、パイラーファイアボム!



 轟々と音を立て、木の高さ程の強烈な火柱が上がる。



 エーリエが投げたみたいね!


 あれだけの火柱が上がるってことは結構な重さの榴弾のはずなんだけど……あの子見た目からは全く想像できないけど、結構な怪力なのよね……。



 休む間も無く、トレアさんとカーティスが燃え上がる炎に近づき容赦のない弾丸の雨を浴びせる!


 全ての攻撃が的確に決まった!!


 さすがに終わったでしょ!



 祈るような気持ちで、火炎により上がった黒煙が晴れるのを待つ。



 どう……!?


 炎と煙で目標の様子が分からない……。



 全員に緊張が走る中、


 黒煙が晴れるよりも前に……


 煙の中から黒く細い何かが一瞬にして伸びる――



 それは音も無くトレアさんの脇腹を貫通し背後の木に突き刺さり静止した!



「……ぐはっ!」


 トレアさんが小さく声を上げて口から血を吐く。

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