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k01-20 正義のヒーロー

「3番手か、悪くない順番だね」


 同じ1班のカーティスが開口一番切り出す。


 出発順発表の後、解散した生徒たちはパーティーごとに集まり各々作戦会議や装備の物色を初めている。


 私たち1班の順番は3番手。


 現在時刻が09:35だからほぼ1時間程の猶予がある。順番としては理想的ね。


 近くにあったテーブルに集まり取り急ぎ作戦会議を行うことにした。



「せやな! 先行するパーティーは2組だけやし、アイテム取得でリウォード狙いも悪くないんやないか?」


 同じく1班のエーリエ。


 初めての演習なので、ある程度見知った人とパーティーを組まされる事が多い……とは聞いたけど噂の通りみたいね。


「ええ、エーリエさんの作戦も勿論悪くありません。

 しかし僭越ながら、経験上申し上げるとアイテム散策で得られるリウォードは、消費する時間から考えるとコストパフォーマンスにやや難があります。

 道すがら見つけたら回収する程度に考えておいた方が良いですよ」


 そうアドバイスしてくれたのは、クァイエン・ファミリア所属、グレード13の“トレア先輩"


 マッシュルームカットに銀縁眼鏡が印象的な、いかにもインテリタイプな優男。


 けれども、魔兵器による銃撃は勿論、陽動による支援、薬学に基づいた的確な回復までオールマイティーにこなすかなり優秀な人だって聞いてるわ。



 ……というかうちの班、私にカーティス、エーリエ、トレア先輩。


 全員ファミリア内成績トップ5以内なのよね。


 特に私とカーティスはグレード内でも1,2位。

 エーリエとトレア先輩も15位以内。


 パーティー発表時から今回の演習、1位は1班で確定、2位争いが本題、って影で言われ続けてるし……。


 何かしら。変な忖度でもしてるのかしら……。



「……ところで先輩、顔合わせ時から気になっていたのですが、どうして後輩である我々に敬語なのですか」


 カーティスが怪訝な顔で問いかける。


「それはだって、ウィステリアを代表する名家の御子息御息女ですよ。

 本来なら一般家庭育ちの私なんかがお話する機会もないような方々です」


 トレアさんは仰々しく頭を下げる。


「あ、うちは違いますよ。ごく普通の家の子です」

 エーリエが慌てて手を振る。


「御学友とあれば同等です」


「……先輩。確かに家の事をとやかく言う者も多々おりますが、テイルでは我々は先輩と後輩という間柄です。僕自身先輩の事は尊敬しています。

 どうか一つ、先輩として我々を導いては頂けませんでしょうか」


 カーティスが丁寧に頭を下げる。


 家柄の事でアイネをあんなに毛嫌いするあんたが言えた口か!!?


 ……とツッコミたい気持ちはいっぱいだけど、時間もないので今は我慢する。



 カーティス。

 アイネに対してはあんな態度だけど、それ以外は基本的に悪い奴じゃないのよね。


 礼儀や上下関係に厳しくて、根っから正義感が強く不正は許せない正義の味方タイプ。


 ちょっと融通が効かないのが欠点だけど、女子に人気なのも分からないでもないわ。

 私は苦手だけど。


「……さすが学内で噂になる程の実力者は心がお広いですね。

 ……分かりました! お言葉に甘えて、先輩として精いっぱい責務を果たさせて貰います!

 3人共改めてよろしく!」


 トレアさんが私たちを順に見渡す。


「こちらこそ!」

「よろしくお願いします!」


 カーティスとエーリエが元気に答える。


 私もそれに続く。


「よろしくお願いします! 絶対1位になりましょうね!」



 そんな青春っぽく爽やかに友情を育む私たちを他所に、気付けば装備品テントの方で何やら怪しい動きをする人影が……。





「おい! 見ろよアイネ! 

 こっちの散弾銃は拡散機構に延焼の属性追加オプションが組み込まれてるし、こっちのライフルなんか超高精細光術スコープ付きだぞ!!

 ポーション類なんてどれも純度Aクラス以上だし! いいなぁ……こんな山程あるんだから1,2個ネコババしてもバレないんじゃないかなぁ……」


「ちょ、ちょっとマスター!! やめてください! 係りの人がめっちゃ睨んでますよ!!

 ……あぁ!? この対裂創ダメージ用のアクセサリー、デザインが可愛くて凄い人気なんですよ! ショップじゃどこも即売り切れて買えなかったのにこんなに沢山!!」


 テントの横で、マスター・ジンとアイネが他人のファミリアの備品を物色しながらなにやら騒いでいる。


「あいつら……性懲りもなく……!!」

 カーティスが怒りをあらわに、鉄槌を下そうと歩み寄る。


 が、そんかカーティスを制するよりも前に、係の教員に締め出された2人はそそくさとその場を後にしていた。


「あ、あはは……。しょうもない人たちね。

 さ、私たちも装備を見に行きましょう!」


 私の提案で、皆で揃ってテントへと向う。



 一通り装備を整え、作戦とルートの詳細を固める。


 フォーメーションや号令の確認などを行なっている間にあっという間に時間は過ぎていった。


 時刻は10:10過ぎ。

 もう間もなく私たちの出発時間だ。

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