邂逅
2作品目です。頑張ってホラーに挑戦したけどあんまりホラーじゃないかも
脱出
1話:邂逅
「聴いたか?今年の新入り、何でも天才がいるらしいぜ?」
「知ってる知ってる!何でも、どんだけ離れた的でも、射程が届けばど真ん中に当たるっていうやつだろ?」
「俺らも負けてられねえな…って言いたいが無理だよな〜」
(別に俺がすごいんじゃない、ただずるいだけだ)
小学校くらいだろうか、俺は気がついたら周りの物事のすべてが見通せるようになっていた。こんなのただのずるだ、俺の力じゃない。そう思いつつも使ってしまう。
「遼護!食堂行こうぜ!」
「海人か…もう昼か」
海人は小学校からの友達だ。俺の『ずる』について知ってるのは海人だけだ。
「今日何だっけ?」
「金曜だろ?カレーじゃないか?」
「おーカレーか〜」
「曜日くらいおぼ…え…あれ?…目が…かす…ん…で」
「遼護?」
「か…い…と…」
「遼護!?しっかりしろ!遼護!!」
俺は気を失った。そして気がついたら
「ここどこだ?」
知らない空間にいた。まるで地面や側面、天井などがないかのように景色が動いている。俺はいったいどこに立っているんだ?それすらも分からない。そして俺の他に4人倒れている。
俺は『ずる』を使い、4人の状態を探った。全員外傷も異変も無く、ただ気絶しているだけのようだ。俺も特に異変は無いし、外傷も無い。良かった。
そう安堵していると
「…ここ、どこ?」
「僕はいったい…」
「ここどこなのよ…」
「ここはいったい…ふむ、興味深い」
全員目を覚ましたようだ。
「どうも…俺もよく分かってなくて…とりあえず情報交換しませんか?俺は浅見 遼護。自衛官です。急に目が霞んで、気がついたらここに」
「私も同じような感じだよ。私は、神谷 恭司。医者であり、学者でもある。…この未知な空間、興味がある。研究してみたいが、そんな状況でも無さそうだ」
「僕は、神楽坂 翔太。高校生です。僕も目が霞んで気づいたらここに…」
「私も同じ感じ。木村 理沙。翔太の幼馴染よ」
「私は…高野…涼子…ネット…で…情報屋をやってる…私も目が…霞んで…」
「はっきりしゃべりなさいよ!」
「やっぱり…しゃべるの…なれない…基本…これで…話す…」
そう言うと空中に❲よろしく❳と言う文字が現れる。
「ふむ…あなたも私と同じで特殊な『何か』を持っているようですね。私は解析をその場で道具なしで行え、治療も可能ですよ」
「俺はその物事のすべて、例えば安全状態や起動とか、いろんな物が見える」
❲私は情報を調べたり、今みたいに空中に文字を出せる❳
「私は一回見たものを永久に完全記憶出来るわ。忘れることも自由にね。」
「僕は、周りから見えないようになれます。昔殻影が薄かったからかな…」
「影が薄かったは関係あるのか?」
「ふむ…影がどんだけ薄かろうと見えなくなる事は無いはずだがね」
「翔太…それ絶対関係ないって前から言ってるじゃない…」
❲関係ないと思う❳
「そうかな〜」
俺らの情報交換が終わったときだった。
「やあやあ皆さん、無事のようですね」
「「「「「!!!」」」」」
全員が驚く。そこには黒いマントに黒い服、そして黒い仮面と黒いハットに身を隠した男がいた。誰だ?
「私が誰か…なんかよりここからどう出るか…が大事なのでは?」
「ふむ…一理ある…」
「あなた達には能力がある!それを駆使してこれから移動される部屋から脱出しなされ。どう脱出するかは…自分達で見つけなさい!」
男が指を鳴らすと周りは白い部屋へと変わる。
「因みに、死んでも生き返れます。生きる意思を捨てない限り…ね。因みにこれが生きる意思を捨てた者たちです」
そう言うとドサドサと大量の死体が落ちてくる。その死体はバラバラに裂かれていたり、心臓を一突きだったり色々だ。
「もし生きることを諦めたら現世での人々の記憶から消えますので、そこはご了承を。ではご武運を」
そう言うと、男は消え、死体も消えた。それより…
「あの光景見て誰も取乱さなかったんだな。俺は自衛隊に入隊した時点で死体を見る覚悟はしてたから大丈夫だが」
「私は医者だ。死体なんか山ほど見たよ」
❲情報まとめるときとかにたまに見る❳
「僕は、特になぜってことは無いけど大丈夫でした」
「私も、てか脱出しなきゃいけないのにいちいちあんなので取り乱してられないわよ」
「それもそうか、とりあえず、脱出しよう!」
「当然よ」
「私もまだまだ研究したいことがある。脱出しなくてはならないね」
「僕も将来立派な企業に務めるんだ!そのために脱出する!」
❲私もまだ若いから生きたい❳
それぞれの思いもある。絶対脱出する!