⒐過去⑻ 彼との付き合い③
よろしくお願いします。
ポツリポツリと、時に前後しながら私の過去を全て話した。
端的に事故で両親は他界、他に親戚もいない、引っ越し続きで知り合いもいないなどとは友人達にも言ってあったが、気持ちまで織り交ぜて話したのは初めてだった。
「今まで車に乗る機会がなかったから、自分でもこんな事になるなんて知らなくて…ごめんなさい」
「そっか、そうだったんだね。…俺は、他に無意識に理々子ちゃんを傷つけていたことはない?
最初の時も、悲しい思いをさせちゃってたんだね」
「あれは!…あれは私が今思うとどうかしてるくらい過剰に反応しちゃってたんです。
お世話になったのに素直に甘えられなくて。
それにいつだって裕也さんは私のことを考えてくれてた!変な態度をとっても、自分の殻にこもっても、受け止めてくれてた!」
本当に裕也さんがいなければ私はダメになってしまうくらい、甘やかしてくれてばかり…
最後の方は恥ずかしくて顔を見て言えなくて、抱きついてモゴモゴ言った。
「もっと、甘えていいよ。
いや、もっと、俺が理々子を甘やかしたい、の間違いだな」
そこから始まった裕也さんの言葉を尽くした甘やかしは、私の人生初のとろけるような甘味を感じさせてくれた。
迷惑をかけたくない、負担になりたくないと同時にかわいそうにと同情されたくない、望んでもいない施しを受けたくない…いつも人間関係ではそんなことを思っていたけれど、初めてその枠を超えられた。
その夜初めて共に過ごし、身も心もさらけ出せる人を得たことに信じられない思いで夜明けを迎えた。
その後、時に始発で帰宅するようになった私に先輩達は事を察し、しばらくは心配そうな目で見られていた。
しかし数ヶ月経っても朝帰りの回数は変わらないままに、仕事にも集中できていた私に周囲も安心したようで、徐々にからかわれたり相手について聞かれたりすることも出てきた。
後から、私は情緒不安定という程ではないが、どこか硬くて脆そうなところがあったけど、笑顔が柔らかくなったと言われて、恥ずかしく思うと同時にありがたいなぁと思った。
それでも私は裕也さんに送ってもらうことはせず、一人電車で帰って来ていたので誰にも相手については知られなかった。




