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⒍過去⑸ 生い立ち①

説明会は読み飛ばす人用要約:

普通の家庭で育ちましたが、両親他界しちゃって祖父母も頼れません。

 職場に就職したキッカケは高校生バイトからの正職員登用。


 なかなか異例なことだという。

 なぜ高級温泉宿なんて、そんな評判がモノを言う場所で、こんなSNSなどなんだのが発達した時代にバイトを雇う。

しかも女子高生?

 破滅願望あるのかと思われるような状況だ。


 でも幸運にも私は雇ってもらえた。

コネである。

 私の家が、ではなく高校の友人からの紹介であった。



 私の家はごく一般的な家庭であった。

会社員の父、職場で出会いクリスマスケーキ理論に沿って寿退社した母。

郊外の一戸建てに住み、遠くの田舎に居る祖父母はお盆には母方、年越し年始は父方に帰省していた。


 私はというと、ほどほどの地方都市であったため公立の学校でも学力はほどほどで、不良の数人はいても荒れているということもないため徒歩圏内の学校に通学。

帰宅後は近所の友達と遊び、成績も上の中。

体育も不得意ではなく、週一でのピアノ以外の習い事はなし。


 本当にごくごく一般的な家庭であったのだ、12歳の誕生日のその日までは――――。



 私が就学してから日中のみのパートを始めた母、そのお小遣いでちょっといいレストランに家族3人で食事に行き、その帰りに父の運転する車が事故に巻き込まれた。

詳しくは説明されたのかもしれないが、わからない。

 いわゆる玉突き事故だったが、最後尾であったため後部座席に座っていた私は打撲程度の怪我しかなかった。

 しかし両親は揃っての他界。

お葬式はとりあえず父の職場の世話で2人分行われ、その間に父の従兄弟という人が親族代表でやってきた。


 祖父母は年齢的には健在でもおかしくない年代だが、母方の祖父母はここ数年の間に相次いで他界していた。

持病がある父方祖父と、その世話で離れられない祖母。

 田舎から出てきて私の世話をするには状況が悪かった。

 両親共に兄弟姉妹なし。

 一番近い親戚で身動きがとれる父の従兄弟というおじさんの世話になり身辺が落ち着いた後は祖父母の家で暮らすこととなり、財産の処分や諸々の手続きをしてもらった。



 父の従兄弟というおじさんは悪い人ではない。

むしろ、子供の頃はともかく、ここ10数年疎遠になっていた従兄弟のために仕事も休んで自分も慣れない様々なことを行ってくれた。

 一先ず、と連れ帰られたおじさんの家ではおばさんとはとこである姉弟に同情をもって労られた。


 いきなり祖父母宅へと行くには準備が必要であった。


 祖父母宅は田舎も田舎にあり、過疎化が進み、小学校への通学は徒歩で片道一時間といったところであった。しかも豪雪地帯というわけではないが、冬場は地面はほぼ雪に覆われる。

 通えなくはない。

似た状況で通っている子供もいる。

しかしまずまずの地方都市で育ってきた女の子にいきなりその状況は無理があるのではないか?

後数ヶ月で小学校は卒業するし、むしろ中学校の方が最寄りのバス停から1本で通える所にあり、それまでの間はおじさんの家に世話になった方がいいのでは?と申し出てくれた。


 そのまま何事もなければ今でも私はおじさん一家に感謝して、時に連絡を取り、帰省時にはお土産を渡しつつ近況報告。

はとこの結婚式にはお祝いに行って…などといった適度な距離を保ちつつ良好な関係を築けていたかもしれない。

 いや、今でも感謝はしているのだ。

 ただ、現在では連絡先ですら知らないほど疎遠になった。


 小学校卒業までの間に祖母が他界した。



 そこからは冷ややかな日々を淡々と過ごした。

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