⒌過去⑷ 彼との付き合い②
短いです。
初冬には私の誕生日があった。
それまでは電車のある時間内に帰るライトデートのみだったが、この日ばかりはディナーを共にする約束をし、帰りは車で送ってもらうことになっていた。
裕也さん(付き合い始めてから下の名前で呼ぶようになった)の車に乗ってから、急に気分が悪くなった。
楽しいデートの雰囲気を壊したくなくて必死になったが、すぐに我慢できなくなり、私は泣き叫んでしまった。
止められない叫び声をあげ続け、私は意識を失った。
目覚めるとベッドに寝かされていた。
裕也さんはすぐに隣に座っていて、心配そうに私を覗き込んでいた。どうやら過呼吸を起こしてパニックになった結果気を失っていたらしい。
「病院に行くか迷ったんだけど、俺の部屋に連れてきた。
意識を失ってすぐに寝息も安定し初めて、あんまり大袈裟にしない方がいいかと思ったんだ。
こういうこと、時々あるの?初めてなら今からでも医者に行く?」
その問いに私は首を横に振った。
「今までこんなことになったこと、ない。
でも多分…原因はわかるから大丈夫」
目線で先を促される。
「私の12歳の誕生日、両親が亡くなったの。
お祝いの外食の後、車で帰宅中に。」