表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/21

⒉過去⑴ 私の職場

説明会は読み飛ばす人用要約:

職場は高級温泉宿

 オーベルジュ。


 何でも洋風に言えばいいってもんじゃないけれど、私の職場を一言でわかってもらうにはそう言えばよかった。


 ただし、純和風。


 かつての天皇陛下のご利用もあったという、由緒正しい温泉宿だ。本邸にはお部屋が7つ、離れは3つ。大浴場・露天風呂がそれぞれ男女用にあり、離れにも内風呂・外風呂がそれぞれ付いている。

 そして全ての部屋と露天風呂が日本海に面しており、入り陽を望む絶景が楽しめる。


 源泉掛け流しの温泉は泉質も柔らかで云々という話で私も一応通り一遍は紹介できるが、何よりの売りは料理とおもてなしの質。一見さんお断りって本当にあるのねー。機密保持なにそれ?当たり前すぎて口に出すのもおかしいわ。芸能人とかを見ることはほとんどないけれど、何々社の本家の方みたいなVIPが常連さん。



 今代のオーナーの経営方針により、ランチと日帰り入浴プランがありになったが、そんなネット予約出来そうなポップな内容ではない。

季節毎の旬の食材を使った本格懐石料理がメインで、一見さんお断りの方針は変わらず、会談ならばここを用意するのが最上のといった格式も保たれている。


 そんな場所にも近代化というか現代の忙しない時間の使い方は影響を及ぼすようで。要は交通網の発達により都市部から1時間程度で訪れられるようになったことを好機と捉えて宿泊のみならずサービス内容の拡大に踏み切ったのだ。


 単なる一従業員にはそんな俯瞰的な視点はないが、古参の方々が言うには数年前からのその試みで益々成功しているとのこと。

 オーナーは元々はここら辺の網元+地主の合わせ技のような家で、代々商才まで受け継がれ、この不況の中でも売り上げを伸ばしているとのことでもあるようだ。

 いやはや、職場が安泰であるのは良いことです。



 就職してしばらくはがむしゃらに働いた。

 それまでは学生が本分だったのでバイトは土日と長期休暇中だけだったが、平日にも働き始めて、週に一度の休日はひたすらに寝ていた。18歳以上になり深夜業務が解禁になったことも大きい。


 身体が慣れてくると、周囲の勧めもあり街に行ってみた。

最初は何をしたらいいかわからなかった。

ひたすら図書館で勉強していた中学時代、高校ではずっとバイトをしていた。


 そして今、やっと自分の自由になる時間とお金がある。

 私は何をするでもなくても休日はいつも街に出て行くようになった。




 そして、恋をした。

 始めてのデートは映画だった。

 私にとってはそれが2人の初デートだったのだが、彼にとってはどうだったのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ