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18.現在⑶ 壊れた私と、 (最終話)

医者も弁護士もエセです。

本当にはこんな事言わないはずだ。

 弁護士事務所



「で、医者は『精神的におかしくても、それが日常生活において支障をきたさない場合は治療の必要はない。

 そもそも精神的におかしくなったのは病気ではなく環境の問題で、薬飲んで治るようなものではない。

 だから一番は環境を変えることが重要で、その為に例えば離婚を望むなら弁護士に相談するとかそういう話になる』って言ったのか?

 なんだそのヤブ医者!」



 今日は弁護士事務所に夫と一緒に来ている。

 興奮して口が悪くなっているのは夫の友人の弁護士だ。


「裕也さん、弁護士費用っていくらくらいかかるのかしら?」


「いいよ、気にしなくて。

 臨時ボーナスで弁護士費用も出せるように上乗せするから。」


「小野、何言ってんの?

 お前も頭おかしいの?

 そんな相談、オレヤだよ!」


『お前も』ってことは、私を頭おかしい認定してるのか。

 人から言われるとムッとする。


 というかそれ治す為に離婚しようとしてるんだから、拒否されると困るなぁ。

 どうしたものか思案していると


「じゃあ吉瀬、離婚に強い弁護士紹介してくれる?」


「……いやいやいや、おかしいでしょ?

 いや、おかしいよ!

 百歩譲ったとしても、それはオレが奥さんに言うセリフで…」


「なら早く言えよ」


「いやいやいやいや!」


 絶対頭おかしい!

 妻の離婚希望に夫が弁護士雇ってやるってなんなの?

 自分らで離婚届書いてりゃいいけだろそれ!

 そんな紹介オレの頭もおかしいと思われる!


「俺は離婚する気ないんだから、離婚届書くわけないだろ」


「はぁ!?

 じゃあ何が希望だよ!

 弁護士に何を求めてるんだよ!!」


 ってゆーかオレの頭もおかしくなりそう!

 もーいやー!



 叫んでいる吉瀬さんから目を隣にいる夫に滑らす。


 この男も大概壊れてきてるのかな。

 前はもっと、どこにでもいるような男だったのに。

 いや、いい意味で。

 とぼんやり思う。



 家は旧家。

 イケメンだし金もある。

 そういう意味ではそこら辺にいるような、とは言えないのはわかってる。


 ただ、家は次男だから継がないし、勝手にしろの方針だからあの料亭を使えるコネはあれど、自分で会社を立ち上げて軌道にのるまではすごい苦労があったことを知っている。


 ついでにそこで産まれた時からの順風満帆人生で初めての挫折をし、プライドをへし折られ、凹んで、孤独に泣いて、でも成功して調子に乗って私に鬼畜なことを言ったことも。


 そして頭が冷えるとそれを後悔するような、普通の男だったのに。



 傷付けた私に、それでも耐えきれず手を出そうとして、「給与は頂いておりますので、そのような報酬は不要です」と言われて、しかもそれが嫌味でもなく本当にそう思っての言葉だと知った時の呆然とした顔。

 しばらくは私の顔を見るたびに後悔に押しつぶされそうな顔をしていた。


 それが、悩みながらも婚姻届けを私に「永久就職の契約書。これで理々子も安心だろ?」と出し、夫婦間においてはセックスは業務だと唇を震わせながらも言うようになり…。


 今まで気付かなかった、慣れって怖いわーと他人事のように思った。


 ってゆーか思えば私より先に私のおかしさに気づいていたんだよね?

 病院連れて行こうと思わなかったのかなぁ。

 あ、壊れてた方が都合がいいからか、納得。




 もちろん離婚はしなかった。

 よく考えてみたら精神科の医者の言うことはもっともな事だと思えたからだ。

 自分の思考のおかしさに愕然とすることはままあれど、生活といった面では支障を来さないから。

 正しさだけが最善ではない。

 生活の安定は重要です。


 夫に対しては今はあまり何も思わない。

 されたことを覚えてはいるけれど、許さないと怒ったりも、許すよと泣いたりもしない。

 上手く回線が繋がらないような感じで、何に怒ればいいのかイマイチわからなくなってしまった。


 恋愛感情もないんだけど、結婚して数年もたった夫婦に恋愛感情って今更必要なのかな?と考えると、これでまあいっかって思った。


 あちらは仕事が忙しい中私を気遣い、マメに家事を手伝い、記念日とプレゼントとロマンチックなデートを忘れず、妻を溺愛していると評されている。

 子供も可愛がっている。


 そう子供と言えば。

 女の子が無事に産まれてきてくれた。

 子供は実に10年ぶりに得た本当の家族だ。

 まだ全然しゃべったりしないし、寝不足でお世話も大変だけどいてくれるだけで感謝!

 存在自体が、可愛いすぎる。


「私に家族をくれてありがとう」



 素直に感謝したら夫はひさびさに泣いていた。

これにて本編終了です。


理々子は小野に対してだけ壊れちゃって、シリアスもふわふわになっちゃう。それで現在ではこんなかっるい感じの語り口になっちゃうんですね。

小野は理々子から壊れたと思われていますが、所詮元々がヤンデレストーカー。

どうなんでしょうかね。

そして結局は小野は何にも失っていないんですよ。

ザマァはなし。

タイトルの『割られた鍋に綴じ蓋』は、元の言葉は『割れ鍋に綴じ蓋』でこの結婚を表してました。

小野に割られた鍋=壊れた理々子、と綴じ蓋=小野、というわけです。

ちょうどピッタリ合っちゃいましたー的な。


頑張って整合性がとれるように、自然な流れになるようにと言葉選びに気をつけましたが、初投稿、お目汚し失礼しました。

後一話番外編的なものを書きかけてますが、そちらはもう少し推敲してからupします。


ここまでお読みくださりありがとうございました。

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