幻の脳筋
「どこだ?ここは」
気がつくと俺は妹の琴里と一緒に見知らぬ土地に立っていた。あたりに広がる草原。遠くには街のようなものも見えるが…
「お兄ちゃん!ここどこ?なんか急に知らないところに来ちゃったんだけど、なんか楽しそーー」
「これはあれだな、異世界転生ってやつだな」俺が急な環境の変化にあまり驚かずに冷静な判断を下していると
「異世界ってことはモンスターを討伐したりするのかな?楽しみだなぁ」
と琴里が1人てはしゃいでいる。俺も異世界で冒険するのに憧れてたから心の中では少しはしゃいでいたりするが、見知らぬ土地でよくここまで元気で入れるのが不思議である。
「あそこに人がたくさん見えるぞ。きっとあそこがRPGによくある集会所だな」
「じゃあさっそく集会所へ向けて出発だー!」
「お、おいちょっと待て琴里。もっと慎重に進めよ俺たちはまだ武器も持ってないし職業もないただの一般人なんだぞ?モンスターに鉢合わせでもしたらどうなるんだよ」
俺は盛大なフラグを建ててしまった。
-プルプルプル-
可愛らしい音をたててスライムが襲って?きた。
「おいおいどーすんだよ。いくらスライムとはいえ俺らは武器もなi…」
言い切る前に琴里がスライムの方に走っていった。
-ベチャッ-
琴里は勢いよくスライムを蹴飛ばした。どうやら倒したらしい。
「よし、これでおっけー。さぁお兄ちゃん、あの街に向かおう」
俺は思い出してしまった。琴里は何も考えずにとりあえず力でねじ伏せる超脳筋であることを。
「やっと街に着いたな。さて、さっそく集会所に行って情報を集めなi…」
言い終わる前に琴里が走ってきた。
「お兄ちゃーん!あそこで職業を決めれるらしいよ!はやく行こうよ!」
「お、おぉ、相変わらず琴里は仕事が速いなぁ…」
受付には巨乳のお姉さんがいた
「冒険者志望の方ですか?でしたらこの水晶玉に触れてください。この水晶玉に触れると自分の身体能力に合った職業を見つけることができますよ」
「じゃあまず俺から」
-ピカーン-
水晶玉が鈍く光り出した。光が消えた水晶玉に映った職業名は
-プリースト-
「男性の方でプリーストは珍しいですねぇ…」
受付の巨乳のお姉さんに苦笑いされた。確かにそうだ。回復役といえばかわいい清楚な女性というイメージが強い。普通の男子がプリーストになって苦笑いされるのも無理はない。かといって戦士系の職業になろうとしても多分良いアタッカーにはならないだろうし…。ここは恥ずかしさを感じながらも仕方なくプリーストになることにした。
「つぎは私の番だね」
-ピカーン-
光が消えた水晶玉に映った職業は…
-剣士-
この文字を見た受付の巨乳のお姉さんや周りで見ていた人はとても驚いていた。
「剣士は普通、戦士を極めたものしかなれない上位職です!」
「なんか私すごい職業になっちゃったね。剣士かぁ、ずっと習ってた剣道が活かされたのかもなぁ」
「じゃあ琴里、さっそく簡単なクエストにでも行くか」
俺は涙目で琴里に言った。
「いやいや、難しいクエストに行こうよ!」
「それはダメだ、いくら上位職でもレベル1で難しいクエストに行けるわけないだろ。何か作戦でもあるなら別だけどな」
「作戦?そんなのないよ。とにかくモンスターに向かって突撃するの!」
なんで見た目は普通にかわいいのにこんなに脳筋なのだろう。こんな脳筋野郎が上位職なんかで良いんだろうか。この先この世界で生き抜けるか不安だ。
-追記-
周りの方々からのアドバイスを受け入れて妹の職業をサムライから剣士へと変更しました。それに伴って少し文章が変更になります。