8023J列車 朝日に照らされ
「北斗星」は青函トンネルの最深部を通り過ぎる。
「おはよう。」
そう言いながら、お母さんも起きてきた。
「お母さんおはよう。」
「おはよう、」
「二人とも早起きね・・・。」
あくびをしながら、お母さんもソファーに座った。
「北斗星」は最深部を通過すると北海道へ向けて駆け上がっていく。途中の吉岡海底駅が通過し、なお登る。吉岡海底駅を通過してしばらくの間僕はロビーカーの窓に顔を近づけ、下の方を見ていた。お父さんがさっき言っていたけど、青函トンネルはちゃんと分かるようになっている。それがなんなのか気になるのだ。
するとトンネルの下の方に青いライトが見えた。それを同時に視界が広がった。大きい自然が目の前に広がる。「北斗星」は青函トンネルを抜け、ついに北海道へと入ったのだ。僕が始めてきた北海道である。
「うわぁ・・・。」
広い、ただただ広い。最初に見た感想だ。
「ついに来たな。」
「きたわね・・・。」
「・・・。」
「ほら、あなた。智暉。」
そう言うとお母さんは一枚写真を撮った。お母さんがソファーに座るとこんな声が聞こえてきた。
「おいしいアイスはいかがですか。」
「アイス・・・。」
「んっ、智暉アイス食べる。」
お母さんの問いに僕は「うん」と即答した。
朝日に照らされる北海道の大地を「北斗星」は走る。
函館に到着すると僕たちは「北斗星」から降りた。この先「北斗星3号」は青いDD51の十連で札幌を目指していく。その連結と発車を見送る。
「さて、そろそろ行こうか。」
お父さんが荷物をまとめて肩に荷物をかける。すると横をここまで牽引してきたED79が単機で通過していく。
「さようなら。」
僕はそう言った。そして、この時僕はまた「北斗星」に乗れると信じていた・・・。