表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

8021J列車 後悔先に立たず

「んっ。」

ベッドの中から起きた。今はどこを走っているのだろう。上段のベッドからはしごを下り、通路へと出た。あたりはまだくらい。どこを走っているのかは全然分からない。あれから何時間ぐらい経っているのだろうか・・・。

(あっ・・・。)

そうだった。大事なことを忘れていた。僕はすぐさま1号車へと向かった。寝起きの重い目をこすりながら、先頭へと向かう。扉を開け、よく揺れる連結部を超え、1号車の室内へと入る。1号車のデッキに入り、貫通扉のところまできた。

「あっ・・・。」

変わっている。貫通扉の向こうにはさっきまで型式番号が見えていた。だが、今の機関車は型式番号が見えない。その代わりに機関車にも扉みたいなのが付いている。この機関車は青函トンネルを通過するためのものED79電気機関車だ。もうすでに青森は通り過ぎていた・・・。

(そんな・・・。)

見逃した・・・。ああ、あのとき寝ちゃわなきゃよかった・・・。その後に時計を見て分かったことだが、今日の就寝時間は2時間。この間に一ノ関から青森を超えて津軽海峡線に入ってしまっていたのだ。

「・・・。」

がっかりして、僕はロビーカーに行った。ベッドに戻る気は無かった。戻るとまたやらかしそうな気がするからだ。

 6号車のロビーカーに行くと一人だけソファーに座っていた。お父さんだ。

「お父さん。」

「んっ・・・。おはよう智暉。起きたか。」

「うん・・・。ねぇ、お父さん。機関車交換見逃しちゃった・・・。」

「ほら。」

ふと顔を上げると、お父さんはデジカメを僕の前に差し出した。デジカメの液晶は撮った写真が表示されている。

「あっ・・・。」

「あのとき、浅虫温泉を通過してることが分からなかったら、俺も見逃すところだったよ。」

「お父さん見たの。」

「ああ、途中からだったけどな。」

「いいなぁ・・・。」

「でも、取ったのはあまり多くないから、それで我慢してね。」

「うん。」

こういう形だけど、機関車が交換されているところを見れたのだから満足だ。後は函館で降りた時に見逃さないだけだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ