表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

8020J列車 まさか

 ふと目が覚める。上の寝台を覗くと自分の息子が寝息をたてている。起きていられなくなったんだな。そう思いながら、トイレに行く。静まりかえった車内にはレールを軽快にたたく車輪の音が届くばかりだ。

「ピィーッ。」

甲高い汽笛が客車のほうに届いてくる。

(ロビーカーにでも行くか・・・。)

そう思い6号車のロビーカーに行った。ロビーカーの中にも人はいない。隣に連結された食堂車も今は静まりかえっているようだ。お酒の飲めるパブタイムという時間はすでに終了していることだろう。まぁ、隣の「グランシャリオ」にいけるだけのお金は持ち合わせていない・・・。

 ソファーに座り、外を眺めるとちょうど駅を通過した。目をこらして、明かりに照らされた駅名標を見てみる。通り過ぎた駅はどうやら「浅虫温泉」駅らしい。確か、兄さんの息子・・・淳平君のお嫁さんこの近くの出身だったよなぁ・・・。

 しばらく「北斗星」は夜の闇の中を走り続ける。すると「北斗星」は見る見ると速度を落とし始めた。あたりには線路が多く広がり始める。速度からしてどうも「北斗星」は停車するみたいだ。こんな駅でもない線路の大量にあるところに止まるとは・・・時間調整か・・・。

(んっ・・・。)

すぐにその間違いに気がついた。

「まさか。」

私以外誰もいないロビーカーには大きな自分の声がこだました。

 ロビーカーを出ると2号車の自分の寝台へと急いだ。出来るだけ足音を立てないように走り、すぐにデジカメを手に取った。やたら重く感じる自分の足と寝台とデッキを遮る扉を開け、1号車との連結部を超える。1号車の通路を走り、デッキへと入った。

「やっぱりかぁ・・・。」

そう声を上げた。

 今まで先頭にいたEF81はどこにもいない。その代わりに私の目には刺さってくる光が見える。貫通扉に近づいて、下の方を見てみる。すると黄色いヘルメットをかぶった人間が見える。

(ちゃんと納めとくぞ・・・。)

本当ならビデオの方がよかったかもしれない。だが、今記録できるものはデジカメしかない。それでも十分だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ